『○○ぶっている自分』
20241020
自分の正体が本当は人間ではなく妖怪だとしたら、今の僕はめちゃくちゃ人間ぶって生活をしていることになる。
ただ、僕は妖怪ではなく人間だから、人間ぶるなよと誰かに言われても、僕は人間なのだからその指摘は当たらず、むしろ「人間ぶるなよ」と言ってくるやつこそ妖怪だろう。
でも自分が人間であることの証明ってどうやるのだろう。
ときどき「センスあるぶるなよ」と言われる。
僕が家で小説や自由律俳句の本などをソファで読んでいると、弟に「センスあるぶってんじゃん、ぶるのやめて」と言われる。僕はそれを言われたら、「大学生ぶるな」と大学生の弟に意味の分からないことを言う。
「良い子ぶるな」
「可愛い子ぶるな」
「オシャレぶるな」
「イケメンぶるな」
「できるやつぶるな」
○○ぶるな、という言葉は、本当のお前の姿はそうではないのに、あたかもそうであるかのように振舞うなよという忠告のような強い意味が込められているように思う。ならば、自分の本当の姿がどれなのかわからない僕は常に○○ぶっていることになる。まともぶっているし、大人ぶっているし、自分の考えを常に持ってますよぶっている。
周りの人には僕が○○ぶっていることを許してほしいし、僕が○○ぶっていることを自覚しているという事実を知ってほしい。
同期に僕の一挙手一投足すべてにツッコミを入れようとしてくる人がいる。
僕はその人にツッコまれて返す言葉が無くなった時、「いやツッコミぶるのやめて」と言うようにしている。すると向こうは、少し間を置いてから「いやぶってねえわ、ツッコミだわ!」と言ってくる。
そして、自然と会話が終わる。これは大変ありがたい。
おそらく、会話が自然と終わる理由として、そのツッコミの彼は「ツッコミぶるな」と言われて、一瞬「自分は本当にツッコミなのか?」「実はツッコミぶっているだけなのではないか?」と自問している時間が数秒生まれて会話のテンポが崩れるため、やりとりが終わるのだと思う。
「自分の正体が本当は人間ではなく妖怪だとしたら、今の僕はめちゃくちゃ人間ぶって生活をしていることになる」
冒頭の文だってきっと「だからセンスあるぶるのやめて」と弟に言われ、ツッコミのやつには「はい!?」とでかい声で言われるに違いない。
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