『中古車を囲むアーチみたいなやつの行く末』
20231119
時々、中古車を囲むあのアーチみたいなやつが頭に浮かぶ。
最近はあまり見かけなくなったが、おばあちゃんの家に行くとき、大通りに面した車屋さんの前を通ると、中古車の前方にアーチみたいなやつがかかっていることがよくあった。
あれは一体何でできていて、何のためにきれいな放物線を描いているのか。
中古車にアーチをかける理由はおそらく、その車の見栄えをよくするための最大限の脚色だと考えられるが、どうしてもアーチ自体に目が行ってしまう。とても色鮮やかで、カラフルだから。
田舎の方の車屋さんでは、アーチがかかる中古車の列がとてつもない量並んでいたりした。
少し調べると、あのアーチはフラワーアーチと呼ばれていて、個人で購入もできるらしい。自分で組み立てることもできるという意外と手の届きそうな代物であるみたいだ。しかし、それを購入してみようという気にはならない。
なぜなら、最近は見かけないあのフラワーアーチ達はおそらく、僕の推測であるが、車屋さんの裏の倉庫に大量に保管されている可能性が高いからだ。色とりどりのフラワーアーチ達が薄暗い倉庫の中で、大量に積み重なっていることを想像すると少し悲しくなるが、彼らがまた日の目を浴びる時はそう遠くないと信じたい。
車に直接触れずに見栄えを良くする、あの物理的な装飾は、倉庫の中でお荷物となってしまった時、新聞や野菜などでよくある、街中で「ご自由にお取りください」の内の一つとなって、車屋さんの前に置かれているかもしれないし、何かほかのものに加工されて、別の場所で実力を発揮するのかもしれない。
いずれにしろ、僕はあのフラワーアーチの存在を忘れたくないし、車をよりよく見せるために人間が考えた最大限の装飾として、頭の中にとどめておきたい。