△33金型早繰り銀8:▲55角あれこれ
前回
だいぶ話が戻ってしまうのだが、△33金型早繰り銀の成立に関わる形を今回取り扱う。
上図のように、△74歩の瞬間に▲55角を打つ展開だ。
全て後手が互角以上、現実的には有利以上になる。
金銀玉の位置でバリエーションがあるものの、▲55角以下は△73銀▲24歩
△同歩▲33角成△同桂▲24飛△22銀まで共通なので、それ以降を検討していく。
▲69金、▲48銀
図1以下
▲23歩 △31銀 ▲78金 △21歩 ▲36歩 △64銀 ▲37桂 △75歩
▲同歩 △同銀 ▲34飛 △86歩 ▲同歩 △44角 ▲35金 △86銀
▲44金 △77銀成 ▲同桂 △89飛成 ▲69銀 △44歩
▲33飛成 △42銀打(結果図1)
最善をなぞっては見るものの、図1の時点で後手に触れている。
△86銀に▲同銀だと、△同飛▲87歩△99角成▲86歩△89馬(変化図1)とあっさり指して後手有利。35の金が悲しい。
結果図1は壁銀が痛く、△76歩という確実な攻めがあって後手ペースの終盤戦となる。
図1から、▲23歩△31銀に▲21金という手も(悪手だが)ある。
後手がどのように良くしていくかを見る目的で、手順を載せる。
図1以下
▲23歩 △31銀 ▲21金 △45角 ▲22歩成 △67角成 ▲79金 △78角 ▲68銀 △87歩成 ▲58金 △45馬 ▲41と △62玉 ▲22飛成 △71玉 ▲31龍(図2)
△78角がまず驚きの一手で、壁があればこんな手でも成立してしまうらしい。△86歩はさらに欲張った手。▲同歩だと△89角成から△86馬と使って飛車が効いてくる。
図2は後手がいいが、ここで鮮烈な手がある。
図2以下
△69角成! ▲同金 △78と ▲98銀 △69と ▲同玉 △78金 ▲59玉 △88飛成(結果図2)
△69角成から△78とで、飛車成を防ぐことができない。結果図2は次に
△68金があるので▲69歩くらいだが、△99龍と拾っておいて後手よし。
▲69金、▲68玉
図3以下
▲23歩 △31銀 ▲21金 △45桂 ▲48銀 △86歩
▲同歩 △75歩 ▲31金 △76歩 ▲同銀 △33角(結果図3)
△45桂に▲48銀と受けるのでは辛いが、▲31金だと△57桂成▲78玉△86歩▲同歩△33角(変化図2)が厳しい。
結果図3も明確に後手がよい。
▲78金
図4以下
▲23歩 △31銀 ▲48銀 △21歩 ▲36歩 △64銀 ▲37桂 △75歩
▲同歩 △同銀 ▲34飛 △42玉 ▲58玉 △76歩 ▲88銀 △86歩
▲同歩 △同銀 ▲87歩 △75銀(結果図4)
この形の先手は隙がないので、意外にもゆったりした展開になる。
結果図4はいい勝負で、少なくとも後手として不満はない。
これは評価値上の最善を追った展開だが、▲55角を打っておいてこれを
やりたいとはさすがに思えない。しかし最善でこれなのだから、これ以外はもっとひどいということだ。
まとめ
▲55角と打っても必ずしも先手が悪くなるわけではないが、打つ前の局面より悪くなっているのは間違いない。先手が選ぶ順ではない。
次回は、先手の真っ当な工夫を見ていく。