【読書記録】殺人の肯定「殺人出産」【大学生ブログ】

こんにちは!

多趣味大学生のしゃきしゃきれたすです

今日は読書記録です。



※このnoteはネタバレを含みます


本日読んだ本はこちらです。

『殺人出産』

著・村田沙耶香



あらすじ

「殺人出産」

本書では殺人が肯定されており、十人を出産すると一人を殺せるシステムになっています。

また、そのような10人出産する人は「産み人(うみびと)」としてあがめられます。

このような社会で生きる会社員の女性が描かれています。

「トリプル」

三人でカップルになる=トリプル、が流行っている世界で、トリプルになった少女のお話です。

トリプル側から見た、二人カップルの違和感をすさまじい描写で描いています。

「清潔な結婚」

清潔な結婚を求めて、マッチングアプリで出会った二人のお話です。

性の潔白を求めつつ、妊活をする男女が描かれます。

「余命」

余命を自分で決める世界でのお話です。

自分の命を自分で絶つ男性が描かれます。

感想

「殺人出産」

文章にとっても引き込まれました!

ぜひ多くの方に読んでほしいと思わされました。

今の社会と全く違う価値観が描かれているにもかかわらず、驚くほどの現実感があります。

まず殺人が肯定されているという点に違和感が生じ、次にあがめられている点に意識が向きました。

現代では殺人=悪ですが、この社会では肯定されるどころか10人産んで殺す、という行為があがめられている。

なぜかというと、10人出産→殺人という結びつきが当たり前のように存在し、生の尊さが殺人に直結してしまっているからです。

殺したい一人を想い続ける尊さなんかも追及されていて、自分の考え方との乖離を感じ、ぞっとしました。

こんなに現実感があるのに、こんなに突き放される感覚は初めてで、一日で読み切ってしまいました……すごい没入感!

一瞬の殺意なら抱いたことがある(けれど実行したことがない)という人にはますます世界観にのめりこめると思います。

「トリプル」

多様性を求めすぎた結果、というか……多様性を追求したものの相互承認はできなかった姿、という感じでしょうか。

なかなか言葉にするのは難しいんですが、これも「殺人出産」と同様に現実感のある作品です。

ある視点から見た、多様性への違和感というのが鮮烈に描写されています。

叫ばれている多様性を見つめ直すことができる作品なのではないでしょうか。

「清潔な結婚」

家族に求める理想と、恋人に求める理想が異なる男女が描かれています。

正直私は共感できる部分が多かったです。

ただ、途中の性描写がちょっときつかったです。

「余命」

死への恐怖を思い出させるような作品でした…!

短いながら、訴えかけてくるものは大きかったです。

途中のグロテスクな描写がリアリティを持たせていました。

まとめ

現実ではありえない描写が現実感を伴って現れる……そんな本を読んでみたい方にお勧めです

呼んだ後の余韻はすさまじかったです

なんというか、読み終わっているにもかかわらず、現実で起きたらどうなるのか、とちょっとめまいがしました笑

少しグロテスクだったり性描写があったりしますがそこは文学ということで、

ぜひ多くの方に読んでいただきたい一冊です


それではまた、お会いしましょう~

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