イデオン リメイクに関する考察
イデオンをリメイクするにあたって描くテーマを定めたいと思います。
旧作では戦争へと巻き込まれていく人の理性と本能の葛藤を描き、その無念さや残酷さ、抗えない「業」を描いて最期は輪廻転生を迎えています。
この物語をリメイクする意味はあるのでしょうか?
今、この作品に求められる要素は、有史以前から拭えなかった「業」をどうやって乗り越え、人類がこの先を生きていくのか?といった人類最大のテーマを提示することではないでしょうか?
今の社会問題である一部の者たちだけがコントロールし、搾取するだけの仕組みを暴き、異星人との戦争に中で種の違いを超えた人本来の”生きること意味”を考えさせ語らせ、イデと神の違いを明確にして”神とは?”そして”人とは?”を作品の中で表現し、観る者全ての人へのメッセージを込める作品にすることでその意義を成し得るのではと考えます。
では、神とは?人とは?
誰もが分かっているフリをしてうやむやにしたがるこのテーマを本作では本氣で突き詰めたいと考えます。
それにはソロ・シップやイデオンだけでない第六文明人の遺物の解明が手掛かりとなり、戦闘中でもソロ・シップ内でその作業は進められます。
同様にバッフ・クラン側にもソロ星以外で発掘した第六文明人と思われる遺跡の調査により巨神やそれを取り巻く謎に解読が進められて行きます。
旧作の活かしたい台詞
「…何で私の人はみんな、死んじゃうのー!」
「キレイだった人がこんなに…」
「そうよ、みんな星になってしまえ!」
「こんな甲斐のない生き方なんぞ俺は認めない!」
「バカな…俺はまだ何もしちゃいないんだぞ」
「これがイデの成せる技なのか?」
「ダラム…助けて…」
「…己の業を乗り越えられんことだ!」
リメイクで新たに追加したい台詞
「人類はここまでじゃない!」
「俺たちは今まで誰も成し得なかった事に挑んでいるのかもしれない」
「自身を顧みず、他人のせいにして…他人ばかり憎んで…」
「それが…イデが超えられなかった理由だろ!」
輪廻転生でしか浄化を成し得なかったイデが既存の人類に希望を見出し、破滅ではなく生きる為の力を貸そうと動きます。
ラストシーン
ガンド・ロウの光子が全てを包み込んだ時、そこは死ではなく真っ白な世界でコスモ達は氣がつきます。
周囲に武器はありません。「俺たちは…死んだのか?」
やがてその白い空間はメシアが発する光であることに氣付き引き寄せられてゆく人々。
祈っているのか?はたまた眠っているのか?後光に包まれ宙に浮かぶメシアを見上げる集まる人々。
どこからか聞こえて来る優しい音色、いつしか手を合わしメシアを崇め始める人々。
夢を見ているように優しく微笑むメシア。
このラストが旧作同様死後の世界なのか?それともイデが創造した新たな世界なのか?観る者に問いかけます。たぶん「ワケわかんない」が多数だとは思いますが、それこそが単に絶滅し輪廻転生させていたこの作品をリメイクする意味だと思います。
最新技術の美しい映像でこの作品をリメイクし、世界に向けて発信して今のこの世の中の仕組みを再考させ、人類が22世紀に向けて新たな仕組みを構築する基盤となり得る作品としてイデオンをリメイクする価値は充分にあると考えます。