踊りたい欲を発散した話
職場で、講師を招いてよさこい鳴子踊りを習う機会があった。
子どもの通う施設であるので、当然子ども向けのイベントではあったが、子ども以上の前のめりで大人が参加するのは我々の職場ならではだ。
よさこいは高知県発の踊りの文化で、鳴子という、元々は田畑で鳥を追い払うために提げていたものを、打楽器として両手に持って鳴らしながらダンスする。真ん中の板が羽みたいに開閉することでカッ!という気持ちのいい音が鳴る。
引っ込み思案な子どもたちが多いが、これを両手に持って鳴らせるというのが、彼らの踊りに対する恥ずかしさを少し減らしたように思う。
私も講師の動きを追うのに必死だったが、誰もが講師をよく見て真似をしようと、体を動かしていたのを目の端で見られることができた。
よさこいは高知県から何と北海道へ渡り、あの有名な『ソーラン節』とも融合して『よさこいソーラン』という踊りができたそうだ。また、よさこいは各地でその文化と融合し、今では色々な種類のよさこいがある、というのを、講師が講座の冒頭で話していた。
実際に講師が踊って、3種類のよさこい鳴子踊りを見させていただいた。
そして、その中の1種類、千葉県で広まった踊りを教えていただくことになった。
踊りを学ぶことは、多分中学校以来だったかもしれない。体育祭で片手に薄い布を持ってお淑やかに舞う踊りだった。迫力は必要なく、練習では決められた手順で手足を動かすために、1フレーズ1フレーズ先生が丁寧に教えてくださった。全体が揃って綺麗なことが求められた気がする。
今回は逆に、1時間弱という限られた時間の中で行うこともあり、フリを完全に覚えるというより、動きを何となくでも真似して、楽しく踊ることを目的としていた。
だからか、講師の口から「違う」や「もっとこうしよう」などの指導の言葉は一切聞かれなかった。子どもたちが普段よりも体を動かせていたのはその講師の『とにかく楽しもう』という態度も影響していたのかもしれない。
教え方も『覚えこませる』というやり方ではなかった。一度は曲なしでフリをゆっくり見せてはくれるが、1フレーズどころかAメロBメロを一気に見せてから『さぁ早速曲を流して踊ってみよう』という感じだった。正直、大人でもそんなに長い尺のフリは覚えきれなかった。けれど、フリを覚えることが目的ではないので、フリを習う時間より実際に曲を流して通しで踊っていた時間の方が長かった。
体育の時間でもこんなにぶっ通しで動かない、というくらい、子どもも大人も講師のダンスに一生懸命ついていった。私は大人の中でも体力のない方だったので、まるでビリーズプートキャンプに参加しているような心地だった(笑)
だが、とても楽しかった。
最後に、鳴子のいらない踊りをすることになった。踊っている最中に、だんだんと輪を作っていく流れが面白かった。
鳴子踊りの時は、講師の背中を見て個々で踊っていたのが、顔を見合わせて踊ることになったのだ。
多分、鳴子を持って踊る過程がなかったらもっとみんな恥ずかしくなって、あんなに手足を広げて動けなかったんじゃないかと思う。輪になって向かい合って踊るのもとても楽しかった。
拍手でよさこい鳴子踊り講座は終了した。
普段、ダンスにはとても興味があるのに、踊りたい動画を見て学ぼうとしてもなかなかやり通せたことはない。
(SnowManのダンスがしたいなと密かな野望を持っている。素人なのに目指すところが高すぎるのも問題だろう。)
以前、『逃げるは恥だが役に立つ』のドラマの主題歌・星野源さんの『恋』に合わせた恋ダンスが流行った時は、私もその流れに便乗できた。ドラマの公式がYouTubeにダンス動画をあげてくれて、誰に披露するわけでもないのに真似して楽しく踊ったものだ。
よさこい鳴子踊りの講師の教え方は、何か踊れたら楽しいだろうなという私の気持ちにピッタリで、1時間もしなかったのにとても充実した時を過ごすことができた。
ダンスの種類は問わない。ぜひまた何か楽しく踊りたい!
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