空飛ぶ秋刀魚、他。
暇であるから、秋刀魚を飛ばそうと思う。
突飛な発想だが、それぐらいしなければ頭が頓馬し、グズグズの豆腐になってしまう。そもそもグズグズで、「何を書けばよいか分からん」などとガード下のルンペンより不明瞭な思考回路をぐわんぐわんさす毎日。
そりゃ、秋刀魚も空を飛ぶわね。
ある日突然、おもむろに日本近海の秋刀魚たちが、海中から空中へ引っ越す。スペックを無視して飛行しだす。銀色の線が太陽光を反射し、ぬらぬら光り輝いて、すっ飛ぶ。
直線的に、時に直角に彼らは空を飛ぶ。
困るのは漁師である。なんとか秋刀魚の飛行ルートを分析し、網を空中に仕掛けて捕獲する方法を確立する。
これでは漁師というより、空師か。
しかし、すべての秋刀魚を捕獲できはしない。なので、漁業権をもたない一般人たちの密漁が止まらないだろう。たまたま、秋刀魚の飛行ルートの真横に家をかまえる住人は、網を設置し、タダで秋刀魚取り放題である。
文字通り腐るほどあるので、仲卸業者と取引を開始、不労所得でウハウハである。
一方で、自動車なみのスピードで飛行するため、秋刀魚との衝突事故が多発し、死者もでる事態に陥るだろう。
道を歩けば、秋刀魚にあたる日常を想像してみよう。
明朝、出勤のため家をでる。
爽やかな青空に、銀色の閃光が無数に飛行している。それは慣れた光景で、すたすたと最寄り駅に向かう。マンションのベランダで、秋刀魚を網で捕まえる住人に出くわす。これも、慣れたもので取りこぼしの直撃を避けるため、注意する。電車に乗っても、窓の外に銀色のラインは走っている。事故を避けるため、線路にも網が仕掛けられており、駅によっては地産地消の「名物・秋刀魚弁当」が大人気。
職場について仕事をこなし、昼休憩になっても、秋刀魚は視界にはいってくる。ビルの屋上で、秋刀魚を捕獲し、七輪で焼いてランチとする強者な同僚たち。
「秋刀魚が空を飛ぶ」が日常と化し、しばらくすると、突然、秋刀魚が空から海に戻っていった。悲嘆に暮れる人々も、一カ月も経てば元の日常に慣れて、まるで無かったかのように生活するだろう。
しかし、また、魚類が空を飛ぶ。
今度は人気者・マグロ。最早、網すら突き破り、人をなぎ倒す。完全に災害であって――。
少しは暇つぶしができた。
それはいいが、文字数が足りない。我ながら空想の天井が低い。もう少し羽ばたきたいが、今所の精一杯である。限界を突破するため、訓練が必要そうだ。今回書いた『空飛ぶ秋刀魚』のように、意外な組み合わせの単語をつくり、想像を膨らませる。
それを繰り返せば、とくにショートショートの進歩に繋がるかもしれない。
そんな欲望を迸らせる日曜日の夕方。
タイトルにある通り、「~他。」について書いていこう。
明日は「敬老の日」である。
月曜休みは天国という話。
何故、天国か。
それは土曜日の場合、家全体の拭き掃除などを行い、日曜日なら庭の草木を刈り、自室やトイレの掃除もある。
しかし、月曜日の休みにはそれらまったくない。ダラダラと二度寝してもよし、読書にゲーム、ネットサーフィンなど何をやってもいいのだ。それは真の休日の醍醐味であり、独身・一人暮らしの特権的天国なのだ。
明日の予定について考えてみよう。
早朝起床し、おそらく読書とゲームをするだろう。そして11時前に出発し、昼食と夕食を買いにいく。帰ってきて、読書とゲームとネットサーフィンのループ。
なんだろう。味気ない。珍しく料理でもしようか。
例えばカレー。
材料は、カレーのルー・何かしらの肉・玉ねぎ・ジャガイモ・人参。
中々、手間と金がかかる。
レトルトカレーを買ったほうがコスパがいいし、残す心配もない。
その理由で手作りでカレーを作らなくなり、何年経つだろうか。そんなことを考えていたら、心に淋しい空気が発生した。
よし。明日はカレーをつくろう。
やってやるよ。つくってやる。
気合いれて、秋刀魚も空を飛ぶぐらいに、くそ美味いカレーをな。
「くそ美味いカレー。糞――」
凄く美味いカレーをつくる。明日はそんな休日にしょうと思います。