私の野球人生④「自分が下手だと気づいた時は伸びている時だ」
本当に下手な時は自分が下手なこともわからない。それに気づくのは上達してきたから。
大学を卒業後、私は独立リーグに入団し、地元の大学出身ということもあって開幕戦で開幕投手を務めた。5回を投げ、勝ちは付かなかったが、試合を作るピッチングはできた。社会人やプロを目指していた自分にとって、この程度のピッチングは当たり前だと思っていた。
しかし、当時の監督やGM兼選手をしていた、メジャー経験もある元プロの方たちに「お前なんてまだまだ下手くそだ」と言われた。その言葉の意味を理解するのは、割とすぐだった。
開幕から少し間が空いたが、2度目の登板で、ヤクルトや巨人にいたラミレスや元オリックスのカラバイヨを含む元プロの選手が数人いるチームとの試合に先発したところ、3回も持たずに9失点。その試合で、初めて自分が「下手くそだ」ということに気づかされた。
そこから、監督やGMにプロになるためのアドバイスをたくさん聞いた。プロで活躍するためには、体の強さ、ボールの強さ、コントロール、投げる体力がまだまだ足りないと痛感した。その他にも、投手としての心得を数多く学んだ。
「半ズボンなんて履くな」「ドアは利き手で開けるな」「熱いものを利き手で持つな」「日焼けはするな」など、プロは普段の生活から常に野球のことを考え、気を遣っているということを教えていただいた。自分がどれだけ何も知らなかったかを思い知らされ、独立リーグでの時間は本当に勉強になった。普段の意識を変えなければ、プロは到底無理だと悟った。
その後、肩の状態も徐々に良くなり、調子が上がってきた頃、GMに「斎藤雅樹さんの真似をして投げてみたらどうだ」と言われ、YouTubeで動画をたくさん見てキャッチボールから徹底的に真似をして練習した。すると、ピッチングが格段に良くなり、そこから三連勝、完封勝利もできるようになった。
その年のオフには、もっと上手くなりたいという思いと、海外野球への興味から、コロンビアのウインターリーグに参加したいと社長にお願いした。監督には「コロンビアではバッターをよく観察しろ。投げるだけではなく、どんな反応をするか、得意なとこや苦手なとこを見抜けるようにしてこい」と言われ、コロンビアで3ヶ月間の武者修行で投球術を磨いた。この時間が、私にとって貴重な経験となった。
続く:私の野球人生⑤(コロンビアでの3ヶ月)