メギドと私と、時々VTuberさん
2022年12月7日。
私は約2年…いや1年半ぶりくらいだろうか、かなり緊張しながら、スマホ画面の、久しく触っていなかった「メギド72」アイコンをクリックした。
ツイッターなど周年のお祝いで盛り上がるなか、せっかくだから、この勢いに私も乗ってみたくなったのだ。一緒に楽しみたかったからだ。ひどく単純で、安易な理由。けれどそれは私にとって、放置に等しかったメギド72に復帰する、十分な理由でもあった。
他者からみれば、たかがソシャゲ、それもしばらくログインしてなかっただけで、気が向いたからまたやってみようと思った程度のことだろう。ささやかすぎて、あまりにくだらない。こうやって書き連ねている私自身ですら、それがなんなんだ、と考えてしまうくらい些末なことだ。わざわざ、なけなしの勇気を振り絞るほどのことではない。
しかし、当時の私には、とても高揚した瞬間だった。以前の記事にも書いたように、私は心身の、特に心の不調がひどくなり、長々と休職していた時期があった。絶不調の真っ只中、かろうじて通院とデイケアに通う毎日、どうしようもなく無気力で、読書好きなのに文字を読むことも一苦労し、ゲームなんてとてもできる状態ではなく、やや調子がよければアニメを観る、そんな日々だった。
メギド72というソシャゲは、はじめた頃から大好きで、夢中になっていたが、弱った私にはプレイが難しいものとなってしまっていた。ストーリーは基本的に重く、戦闘は中盤を過ぎれば試行錯誤しなければならず、常設イベントも多い。私の最推しはアムちゃんなのだが、ちょうど9章に入ったあたりで、どうやら彼女が不穏らしい、との情報に躊躇したことも影響していただろう。推しの悲劇は見たくない。私の状態もよくない。そんな経緯があり、9章一節まで攻略したあたりで、メギド72を避ける生活が始まった。
だが、日々の小さな出来事が、私にメギド72を思い出させた。できるならばプレイしたい、と渇望していた。いつか安定し、心に余裕ができたら、本格的に復帰したいと思っていた。
なにしろ、飽きっぽい私が、続けて遊んでいたゲームなのだ。ログインボーナスはあるが、デイリーもウイークリーもない。メギドと呼ばれるキャラが常設でもらえ、しかも強い。育成したければ周回チケットがある。怠け者の私には嬉しいことばかりだ。また、いつ帰ってきても十分に楽しめる。気軽に戻ってこれるのが、ありがたかった。
最愛のアムちゃんがいる。なにか大変なことがあるらしいが、きっと乗り越えられる。信じている。メギド72は単なる悲劇で終わらせず、キャッチフレーズ通り、「絶望を希望に変えて」くれるはずだ。私はまず、本編に取り組む準備として、メギド達の育成から始めた。9章を駆け抜けるため、仲間を鍛え、一部の常設をクリアして、欲しいメギドやオーブを手元に集めた。
そんな時だった。とあるVTuberさんが、メギド72の実況を配信された。ご迷惑になるため、お名前は伏せるが、とても愉快で痛快な配信だった。メギド72ファンとして、嬉しい内容だった。といっても、私は噂を聞きつけ、1回目の配信はアーカイブで拝見したのだが。
俄然、私はやる気になった。初見のVTuberさんが、盛り上がって驚いて、キャラとストーリーを堪能されている姿は、恐れ多いが、まさしく私が最初にメギド72を知った時と同じだった。懐かしい思い出だった。続きが読みたい、メギドを強くしたい、バトルがうまくなりたい、その一心で、9章まで走ったのだ。
アバドン戦で苦しんでいた私にフォロワーさんがアドバイスをくれ常設に迎えにいった子、アスモデウス戦のノーマルは○○が通ると聞きつけオーブで奮闘、サルガタナス戦でチェインを切る工夫、おかーさんのパヤパヤで爆笑した夜
様々な記憶がある。しかも、そのほとんどにアムちゃんがいた。回復役がいなかった私に、「私がいるから大丈夫です」と言ってくれているようで、本当に頼もしい相方だった。
私は、VTuberさんの楽しい配信を見つつ、応援しながら、自分も9章を攻略に取り掛かった。どんなことが起きても、とにかく進むんだと決意した。初めてだらけのVTuberさんが頑張っている、ならば自分も全力を出そう、と奮起した。
そして、約2ヶ月で、当時の最新話まで追いついた。仕事しつつ、配信を追いつつ、いけるところまでたどり着いたのは、自分にしてはよくやったでは?と思った。
そして、今も元気に最新話のVHまでクリアしている。それもこれも、背中を押してくれたVTuberさん達と、フォロワーさんのおかげだ。気がついたら、何人ものVTuberさんをチャンネル登録し、行ける時は配信にお邪魔している。疲れきっていた毎日に、花々が咲いたような気分だ。ドン臭くてなかなかコメントが打てないが、幸せな時間を過ごさせてもらっている。
気まぐれな私のことだ、いつかメギド72から卒業するかもしれない。あるいは関心が薄れてしまうかもしれない。
だが現在、この瞬間、私はメギド72が好きで好きでたまらないのだから、それでいいではないか、と考えている。いくつものソシャゲを数ヶ月で辞めてきた過去を、打ち破ったゲームなのだから。この先も、未熟なソロモン王として、メギドラルあるいはヴァイガルドでの旅で一喜一憂したい。冒険したい。そのためにも、どうかサービスが長く続いてくれるよう、心から願っている。