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レス・ポール&メリー・フォード
こんにちは南仙台の父です。
今回もGibsonにちなんだ話題ということで、レスポールモデルの父ともい
える「レス・ポール」について取り上げます。
ついでといっては怒られますが、切っても切れない関係にある「メリー・
フォード」も一緒に取り上げます。
レスポールモデルの父であるレス・ポールはジャズギタリストとして活躍
しただけでなく、数多くのギターに関する発明なども行っています。
パテントなども実際に持っていたことはよく知られています。
ギブソン社は1930年代からフルアコのエレクトリックギターを開発・発売
していましたが、1950年代になるとレオ・フェンダーによるソリッドボデ
ィのギターが誕生し、工芸品的なイメージではなくモダンで科学的な匂い
のするギターに多くの注目が集まるようになりました。
フェンダーは最初のモデルである「テレキャスター」、その後は今でも絶
大な支持を得ている「ストラトキャスター」で一世を風靡しました。
これらのギターはネックとボディがデタッチャブル構造で接合されており
、ストラトではピックガードとアッセンブリーが一体化した画期的な構造
を持っていました。
また、独特の音色を持つ木材の選択、人間工学的な発想によるボディ構造
などもあって、徐々にギブソンのビジネスにも大きな影響を与えることに
なり、その対抗策として目をつけたのが発明家でもあったレス・ポールで
した。
当時はテレビが一般的になった時期でもあり、ミュージシャンにとっても
テレビ映えするギターは重要な問題でした。
そんな中でフェンダーは一早くそれに応えるギターを出して実績を上げる
中で、ギブソンは昔ながらのエレクトリックスパニッシュシリーズしかな
く、ソリッドボディのギター販売は急務でした。
そんな中でソリッドボディやピックアップに関するアイデアを持つレス・
ポールの存在は魅力的でした。
こうして登場したのがレスポールモデルシリーズになるわけです。
そもそも、フェンダーとギブソンの違いを示す上で重要なことがあり、そ
れは各々が別の起点からギター造りを始めているところにあります。
フェンダーはソリッドボディのギター開発の前にスティールギターで実績
を持っており、その技術を応用して作られたのがテレキャスやストラトに
なっています。
そのため工業製品的なイメージだけでなく、音質などもその影響を受けて
います。
元々がスティールギターがカントリーやブルーグラスなどの音楽を中心に
使われていたため、それを基盤とする音楽の発展とともに成長したのがフ
ェンダーのギターでした。
今でもブルースなども含めて、多くのこうしたジャンルのギタリストを中
心に愛されているのはこうした事情があります。
それに対してギブソンはマンドリンから始まり、アコースティックギター
やエレクトリックスパニッシュシリーズに繋がる、伝統的な工法によるギ
ター製作であったため、レス・ポールの意見を取り入れて作られたレスポ
ールモデルも伝統工法を活用した造りになっています。
両者を比べると大きな違いがあるのもこうした背景がありました。
ただ、より近代的に見えるフェンダーのギターはその後も大きく伸びてい
くことになり、ギブソンはレスポールモデルをもってしても厳しいビジネ
スとなります。
レス・ポールはギタリストとしても活躍しており、当時はテレビ番組にも
出演していましたが、その際に一緒に出演していたのがメリー・フォード
です。
彼女はレス・ポールの奥さんで、元々はボーカルとギターで活動していた
ところをレス・ポールに見初められて活動を始めて、その後結婚していま
す。
そんな二人の活動はギブソンにとっても大きな広告となりました。
表題の写真はその一例ですが、今はYouTubeでも実際の動画を見ることが
できます。
私も実際に動画でこの二人の演奏と歌を見たのはYouTubeからでした。
この二人はその後一緒に活動を行っていましたが、メリー・フォードが先
にこの世を去り、レス・ポールは90歳を超えても現役で活動を行って、ラ
イブを行うくらいのレジェンドとして知られています。
レスポールモデルは伝統的な工法による生産性の問題や塗装の不備による
変色・変質といった問題が多発しました。
現在でもレモンドロップ塗装などが市販されていますが、これは最初から
こうした塗装があった訳ではなく、変色した状態を再現したものだったの
でした。
オールドギターの多くが変色したこともあって、皮肉な話ですが変色した
ギターを再現するといった形でビジネスが成立した事例です。
また、白黒テレビの時代にサンバーストのようなカラーリングは目立つこ
とはできず、ゴールドトップやレスポールジュニアなどの黄色味を帯びた
ホワイトカラーも時代の要請だったようです。
実際探すとレス・ポールとメリー・フォードの動画や写真でもレスポール
モデルを使っている写真はあまりありません。
レス・ポール自身も色々と自身で手を加えて独自の仕様に変えて使ってお
り、亡くなるまでオリジナルレスポールも使っていました。
レスポールモデルは不遇の時代を長く過ごすことになり、不良品ともいわ
れた変色したギターが今でもオールドギターとして残っています。
当時は21世紀でも製造・販売され、一定のジャンルでは重要な地位を占め
るギターとしてレスポールモデルは存在しています。
レスポールモデルがなぜ厳しい状況を脱して、隆盛していったのかは別の
機会に触れたいと思います。
レス・ポールとメリー・フォードは「世界は日の出を待っている」が有名
なので、興味があったら音源や動画を探してみてはいかがでしょうか。