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Gibson ES-150
こんにちは南仙台の父です。
今回はちょっと真面目な話題なので笑いが期待できないことだけ先に断っ
ておきたいと思います。
LinkedInで「Gibson ギター保存会」という会というか、徒党というか、秘
密結社のようなものを作りました。
そこの投稿用としての記事なんですが、長々した話になるのでnoteに元原
稿を上げてみることにしました。
第一回ということで世界で初めてエレクトリックギターが登場した頃の話
をしようと思いました。
もちろん生まれる前の話なので実際に見た訳でもありませんので、文献な
どで残っている話であることも断っておきたいと思います。
エレクトリックギターが登場したのは1930年代の話なので、まだ90年程度
しか歴史がない新しい楽器と言っても差し支えありません。
さも昔からあるように見えていても高々その程度の歴史しかありません。
技術的な進歩はもちろんありますが、基本的な構造はあまり変わっていな
いこともあります。
多くの楽器が進化はしても基本構造が変わらないというのはエレクトリッ
クギターも同じです。
歴史を紐解くと、世界最初のエレクトリックギターは米・リッケンバッカ
ー社が作ったといわれる「フライパン」と呼ばれるラップスティールギタ
ーなのだそうです。
ボディがアルミ製で、電気信号で音を増幅するという形式が初めて世に出
たものとされています。
リッケンバッカー?(ちょっと軽いトラウマがあります・・・。)
そう、例の熱狂的なファンを持つ60年代に大活躍したとされる某バンドの
方々も愛用したギターで有名ですが、エレクトリックギターとしてはリッ
ケンバッカーが栄誉ある最初のギターとされています。
その後、本格的なエレクトリックギターとして登場したのが、表題の写真
に置いてあるギブソン社が出したES-150とされています。
こちらが登場したのが1936年だそうで、時は第二次世界大戦に向かって暗
い世相になっていた時代でした。
![](https://assets.st-note.com/img/1728878909-IaiRQFNcj3dhMzDGSwXxpUT4.png?width=1200)
写真を見るとわかりますが、表題のES-150は写真を見ても現在でも市場で
流通しているフルアコのエレクトリックギターっぽさがあります。
でもフライパンは何も説明がなければギターにも見えません。
形からすればインドのシタールみたいな感じにも見えませんが、最初はこ
んな感じからスタートしました。
後にアルミボディーを使ったギターも色々出ましたが、軽量化を狙ったも
のが殆どで、日本だとトーカイのタルボが有名でしょう。
形状的に見ればカントリーやデキシーランドジャズのような音楽を狙った
ものなのかなとも感じます。
視た感じはバンジョーにも似てますから・・・。
1930年代になるとビッグバンド形式のジャズが流行っていた時代で、ギタ
ーも当時はエレクトリックではなかったのですが、どうしても音量で勝て
ないギターでは話にならず、当時はギターの役割はリズムを刻むことにあ
って、インプロビゼーションやアドリブといった感じではなくて奥に引っ
込んだ楽器の扱いでした。
その中でジャズギターの祖としてES-150を手にして、ベニー・グッドマン
の楽団にスカウトされたのがチャーリー・クリスチャンでした。
![](https://assets.st-note.com/img/1728879396-HxmVNhRwJakdO3sn1rW8lC4o.jpg)
写真がチャーリー・クリスチャンですが、弾いているのが本格的な世界最
初のエレクトリックギターとされるES-150です。
リッケンバッカーのフライパンとは大違いです・・・。
この人も伝説の多い人で、レス・ポールからギターを譲り受けたとか、生
活そのものは後輩とも言える、ジミー・ヘンドリックスと同じ感じだった
ので、わずか25歳で生涯を閉じたのでした。
ギターがジャズの世界でメインに立って、アドリブを弾きまくるというの
はこのチャーリー・クリスチャンが最初と言われています。
リッチー・ブラックモア、エドワード・ヴァン・ヘイレン、数々の引き倒
し型のギタリストの祖先がこのチャーリー・クリスチャンであり、ES-150
でした。
ちなみにチャーリー・クリスチャンは最長で90分程度のアドリブを弾き倒
したそうです。
仮に当時CDがあったとしても録音しきれません。
その後ギターは大きく進化しますが、フルアコ(Gibsonでいうとエレクト
リックスパニッシュ)からソリッドボディーになったり、ピックアップも
パッシブからアクティブになったりしました。
今でも、どジャズ用としてフルアコのモデルも販売されていますが、すべ
てのギターの祖先がすべてES-150に集まってくる感じになります。
人間の祖先がサルみたいな感じかもしれません。
よく楽器屋さんでいかにも高そうに鎮座しているフルアコのギターを見ま
すが、そりゃこいつらが真の正当なES-150の後継だし、手工芸の極みとも
言われるギブソンの木工技術から生まれたギターなので、簡単に触らせて
もらえない重々しさがあります。
見た目いかにも爺くささも感じるフルアコのエレクトリックギターが実は
なければ今のようなジャンルを問わずに活躍するエレクトリックギターの
存在はなかったし、それを使ってギターの存在感を高めたチャーリー・ク
リスチャンがなければ、きっとジミヘンも登場しなかったかもしれません。
少なくともES-150がなければ、ひょっとしたらリッケンバッカーのフライ
パンみたいな奴がポップシーンを今でも飾っているとしたら・・・。
良かった・・・。
ES-150からあるべき進化を遂げたエレクトリックギター、それをメインの
楽器として世に見せたチャーリー・クリスチャンが居て・・・。