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『ミュータンス・ミュータント』百景episode5…「冷製と除熱のあいだ」

 外からの雨音が、途切れることなく続いている。

朝にラジオできいた天気予報では、「昼過ぎから雨模様でしょう」と話していた。天気予報を鵜呑みにするつもりは毛頭ないが、午前中は大丈夫だろう、と鷹を括っていた。

しかし、である。
11時を過ぎた辺りからポツポツと降り始め、間もなく14時になる今は、本降りの風情だ。

もはや畑の作業はできないので、畑の傍らにある丸太小屋に避難した。そして今は、ゆったり胡座をかいて農業雑誌の最新号を読んでいる次第である。まさに晴耕雨読を実践中だ。

桧山は、この小屋を〝桧山庵〟と呼んでいた。

農作業で使う鎌や鍬といった道具や肥料などの保管場所も兼ねつつ、狭いながらも畳の小部屋をこしらえて書斎代わりに利用し、定期購読している農業雑誌を中心に旅行雑誌やお気に入りの小説などを本棚に並べていた。

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