見出し画像

「動物病院四方山話」38(乱闘事件!?)

私の名前は「みぃ」
動物病院で暮らしている猫
私が経験した動物病院での四方山話を紹介しています

前回の動物病院四方山話はこちら


ゴールデンレトリバーのジロウ君。

ちょっと待って!
『ゴールデンレトリーバー』って言う人もいるわよね。
『ゴールデンレトリバー』なの?
どっち?

どっちでもいいんじゃない?
いい慣れてる方で。
一応、ジャパンケンネルクラブの表記は
ゴールデン・レトリーバー
になってるけどね。

話がそれちゃったわ。

そうそう、ゴールデンレトリバーのジロウ君。
飼い主さんはその筋(893)の人という噂。
あくまでもウワサよ。
でもね、若いけど礼儀正しくてとってもいい人なの。
言われなければ昔やんちゃしてた人かしら、って感じ。
そういう方達はほとんど院長ご指名の患者さん。

一平ちゃんも、何度か院長と一緒に診察したりしていたので、よく知っている患者さん。
院長不在の時には一平ちゃんが診察したりもしていたわ。

秋も深まったある日。
その日はそんなに患者さんが多くなかったの。

そこへ新患さんがやって来られたの。
ヨークシャーテリアを抱いた恰幅のいいご婦人と、ひょろっとしたご主人。
時を同じくして、ジロウ君と飼い主さんも。

ジロウ君はとっても人好き。
遊んで欲しくてそのご主人に飛びつこうとしたの。
飼い主さんが、リードを引っ張って制したので、飛びつきはしなかったんだけど・・・。

ただ、このご主人さん、ワンちゃんはあまり得意ではないみたいだったの。
驚いた拍子に、ポテッとしりもちをついてしまわれた。
もちろんご主人にケガなどは無く、すぐに立ち上がられたわ。

ジロウちゃんの飼い主さんも
「大丈夫ですか?」
「申し訳あり・・・」
と、ご主人に謝ろうとしていたその時、

「なにさらしてくれとんじゃ、ワレ―!」

わっ、『ワレ―』って😱
そんなヤ○ザみたいな言葉つかって、もうっ😅

って思ったら、さらにかぶせるように、

「うちの人に何するんじゃ、このバ○犬がー」
「殺○ぞコラー!」

(注:少しお下品なお言葉だったので、ところどころ『〇』で隠しております)

ええーっ、なんでそんな展開になるのよ~。
と、そうしたら売り言葉に買い言葉で、

「何じゃと、このく○バ○ァ!」
「もう一遍言ってみー」

「なんぼでも言うたるわ!」
「お前んとこのバ○犬に、バ○犬言うて何が悪いんじゃ、コラー!」

そうです、この決してお上品とは言えない言葉でまくしたてておられるのは、ご主人ではなく奥様の方だったの😅

・・・ご主人はこの時、奥様の後ろで大人し~く二人のやり取りを見守っておられるのでした・・・

病院の受付で大げんかの始まりよ!

どうなっちゃうの?
受付にいた患者さん達もあっけにとられてるわ。
巻き添えを食ったりしたら大変だものね。

そこへ、院長先生が飛び出してきて、
「里塚先生、一緒に来てー!」

「はいっ!」
一平ちゃんも急いで院長先生の後へ。

こういう方も時々おられるので、対応には慣れている院長先生、

「里塚先生、とりあえずジロウくんと飼い主さんに第二診察室に入っていただいて、診察しておいて!」

とのご指示。

当の院長先生は、
「どうされました~?」
お相手の怒りを削ぐような、のほほ~んとした話し方でご夫婦のもとへ。

院長先生がお話しされているスキに、ジロウ君と飼い主さんと共に第二診察室へ入って行った一平ちゃん。

ジロウ君の飼い主さんは元々とてもいい方。
診察室の中では半ば呆れたような口ぶりで、
「なんじゃあいつは。」
「誰がバ〇犬やっちゅうねん、なぁ、ジロウ。お前はおりこうさんやのになぁ。」

でしょ?


ジロウ君には甘々な飼い主さん。
先程の事はもうほとんど気にしておられなさそう。
そんなこんなで、第二診察室では穏やかに診察が終了。

先程のご夫婦は院長先生が別室で診察。
途中、一平ちゃんが処置室に呼ばれて、例のご夫婦が帰られるまで、ジロウ君達を診察室の中で待っていていただくようにとの指示を受けた。

ジロウ君の飼い主さんも分かって下さって、暫く談笑しながら時間をつぶす一平ちゃん。
そうこうしているうちに、ご夫婦のワンちゃんの診察も終わり、お帰りに。

ふーっ、これで安心ね。

第二診察室に院長先生も入って来られ、暫くお話をしてジロウ君達の診察も終了。

大事にならなくて良かったわね。

『お大事にどうぞ。』
受付の方の声が聞こえてきた。
ジロウ君達も病院を後にされたみたい。

「大事にならなくて良かったですね。」
病院のスタッフにも安堵が広がった・・・のもつかの間。

・・・ん!?
外から、何やら争うような声が・・・

『さっきはこの人に何してくれたんじゃー』

『なんやと、ワレー』
『お前の旦那がボーっとしとったからこけたんと違うんか、コラー』

『なんやと、コラー!』
『お前んとこのバ〇犬が・・・・』
『・・・・』
『・・・』
  ・
  ・
  ・

アッチャー、先ほどのご夫婦というか奥さんが病院の外で待っておられたもよう。

その時、院長先生は冷静に、

「警察に電話してー。」
『病院の外で喧嘩してる人がいるみたいです』って。」

数分後、パトカー到着。

警察が仲裁に入って何やらやっている様子。
病院の外なので、詳細は分からず。

そうこうしているうちに、お巡りさんが一人待合室に入って来た。
事の経緯を聞き来られたのだ。

「どういう経緯で喧嘩が始まったのですか?」

「さあ、病院の駐車場で喧嘩が始まったみたいで・・・。」
「私達にもよく分からないんです。」

なにすっとぼけてるのよ!

違うのです。
こういう時は、とぼけた方がいいのです。
何かを言ってしまうと、どちらかがどちらかの味方をしたと思い込んで、病院まで巻き込まれかねないからなのです。

実際の現場を直接見た訳ではないのですから、ウソはついていないですしね。

こういう場合、我々に非がない時は『知らぬ存ぜぬ』で完全中立を貫くのが得策なんだそうよ。

おわり

いいなと思ったら応援しよう!