EP.32【台湾発】食卓から生まれたアイデア
台湾農業がやめられない農薬
2018年、農業部(MOA)は2027年までに台湾の農薬使用を半減させることを目標に「化学農薬半減10年政策」を推進し、今年で6年目を迎えた。 台湾メディア『ETtoday』が農民、学者、植物学者、農業部(MOA)関係者に取材したほか、最前線の農業現場を視察したところ、昨年も台湾全体の農薬使用量は9,371トンと多く、基準年に比べて2.5%増加していた。 その原因は、MOAの政策支援策が指導不足だったため、農民側が無害な「生物農薬」の使用に切り替える意欲が乏しかったことにあるという。
台湾は亜熱帯に位置し、気候は暖かく、湿度が高く、作物の害虫や病気の成長を助長し、常に過去に農薬を使用されている主要な国である、国連食糧農業機関の統計によると、2014年から2017年の間に台湾の1ヘクタール当たりの平均農薬使用量は、17位から14位、韓国、日本と似ていますが、日本よりも高い世界ランキングで。 台湾の農業は長い間、即効性のある化学農薬に依存してきたが、問題に応じて適切な農薬を使用するという概念が欠如していたことに加え、土地利用の効率を極限まで追求し、収穫頻度を高める必要があったため、農薬の使用量を長期的に削減することができなかった。
農薬使用量の増加は、農民自身の健康に真っ先に矛先が向くことになる。 米国立衛生研究所の環境医学研究所などが2004年から2017年までの農家と一般人の労働災害の比較を調査したところ、農家が入院を伴う農薬中毒事故に遭遇する確率は一般人の2.3倍であることがわかった。
第二は食の安全リスクである。 農水省農薬検査所の過去12年間の野菜・果実のサンプリングデータによると、全体的な残留農薬の不検出率は年々低下しているものの、カブなど一部の冬野菜は気候変動の影響で不検出率が高いことが判明している。
現在、台湾政府が認可している生物農薬は40種類しかなく、台湾での農薬の登録や上場のコストが高いことも相まって、投資しようとするメーカーはほとんどない。 化学農薬の使用を半減するという政策を成功させるためには、政府は農家が利用できるバイオ農薬の種類を増やさなければならない。
農家は確かに化学農薬の削減に協力的だが、それは収穫が減らない場合に限られる。 気候が温暖化し、害虫の抵抗性が増す中で、化学農薬の効果は減少の一途をたどり、農家にも消費者にも環境にも悪影響を及ぼす。 生物農薬が登場したのはここ数年のことで、まだ独自の対策を持っていない害虫や病気もあるが、生物農薬には害虫の抵抗性の問題はなく、残留農薬の心配もないのだから、政府はその普及に力を入れるべきだ。