存在するかもしれない日記20/32
存在するかもしれない
湖のくにから友達が泊まりに来た。
彼女はS美ちゃん。
S美ちゃんはかわいい。S美ちゃんは面白い。S美ちゃんは優しい。
そう思う。でもどれも私の感情には当てはまらない気がしてならない。
彼女とは仏のいるところで出会い、複数人で楽しく話す仲だった。
同じゲームにはまったことをきっかけに、二人でも話をするようになった。
好きになるキャラクターはいつも正反対だった。
好きになるキャラクターは自分と似ている人であることが多い、
という説がある。
この説をいったん信じるとすると
S美ちゃんの好きなキャラは一見言葉遣いが乱暴でも芯が強く、
本当は優しいツンデレタイプ。
私の好きなキャラは一見、柔和に見えるが心に闇を抱えていてやみ落ちし、主人公たちの敵になるタイプ。
相容れない。
それぞれのキャラクターが本人に近しいところがあるかと言われると
微妙だが、S美ちゃんは闇落ちはしないだろう。
彼女は肉嫌いなはずなのに、残している人がいればその人の肉も食べる。
彼女は自分が疲れていても、天使を抱っこした母親に席を譲る。
彼女は大事な人の死をすべて看取ってから一番最後に逝きたいと話していたことがある。仏のくにの同期全員の葬式に出たいらしい。
圧倒的な光、闇落ちはしないだろう。
でも、なんか違和感がぬぐえない。
その光に充てられると何かが削られていく。
好きでもない肉を食べて、席を譲って、全員を看取って何になるのだろう。
S美ちゃんに何が残るのだろう。
不快感、疲労、孤独ー。
S美ちゃんは闇落ちしない。きっと。
でも一緒にいると少し窮屈だ。
彼女の光に充てられて削られるのは私の善意のようなものだろう。
何故、そんなに世界に尽くすのか!?という気持ちにさせられる。
私はS美ちゃんが尽くす世界に少し嫉妬しているのかもしれない。
S美ちゃんはかわいくてかわいそう。
S美ちゃんは面白くて滑稽。
S美ちゃんは優しくて寂しい。
大好きだよ♡