レベル・リッジはカタルシスの先を見ている

「レベル・リッジ」監督:ジェレミー・ソルニエ 2024年

あらすじ

 元海兵隊員の男は、従兄弟を保釈するために準備した現金の入った袋を警察に不当に押収されてしまう。小さな町にはびこる腐敗に立ち向かう男の運命はいかに。


この映画にハマりそうな人

 序盤はシンプルな復讐劇かと思って見ていたら、物語が展開していくにつれて「そこまで足突っ込むか〜」となった。ランボー的な鮮やかなアクションでスッキリという要素は途中途中であるにはあるが、それ以上に主人公を含む登場人物の心情の細かな変化を楽しめる映画だと思った。骨太なアクションを楽しみつつも、ゆっくりと物語がドライブする感覚を味わいたい人にとってはうってつけの一本だと言えるだろう。
 
 

感想(ネタバレなし)

 2時間11分という上映時間は絶妙だったと思う。それ以上長くなると物語が冗長になり過ぎるし、逆に90分や100分だと登場人物の細かな心情の機微がおざなりになってしまっていただろう。
 主人公と共に行動することになるサマーの「お礼にお礼を言うわ。」というセリフが良かった。セリフそのものというより、このセリフで彼女が「ああこの人は助けを差し伸べる人にも敬意を払う人物なんだ。」と、キャラクター造形を簡潔に提示してくるからだ。このシーンでこの映画が単なる復讐劇ではなく、人間ドラマの方にもかなりの焦点を当てていることが分かった。
 主人公達が立ち向かう敵は今のアメリカ社会に共通するところが多分にあるんだろうなと思った。ラストシーンで主人公達が本当の意味で安堵する世界が来る日はまだまだ遠いのだと感じた。






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