版画家中島通善さんのこと
日本の著名な版画家である中島通善氏が今年5月5日に亡くなられました。
独学で自画・自刻・自摺による木目を生かした透明感ある独自の木版画「版木画」を確立された方です。
版画の制作には、本来、絵師、彫師、摺師という役割分担があるのですが、中島先生は、全部お一人で制作されていたそうです。
フランスでは何度も個展を開催されるなど、日本よりフランスの方で有名だったかもしれません。
HPの自伝では、次のように説明されていらっしゃいます。
『版木画』とは、『版木の彫りと摺りがつくる画』といった意味で自分の木版画に私がつけた名です。基本的には『浮世絵伝統木版画』と同じ道具と材料とを使った手仕事ですが、私の場合、自分で描いた下絵(自画)を自分で版木に彫って(自刻)自分で摺って(自摺)います。大きな違いは摺りにあります。版画は摺り物ですから摺りが生命となります。
※https://tsuzen-nakajima.com/profile より
10数年前、個展で作品を購入させていただいたとき、お会いすることが出来ました。
パリの個展の話をお聞きしたら、「作品を運ぶのは、全部自分一人なんです。飛行機に作品を積んで、着いたら飛行場から会場に運ぶんですよ。本当に大変だった・・・」と笑いながら話されました。
妥協なんかするか!と言わんばかりの精悍な顔つきと鋭くやさしい眼が印象的でした。
図録にサインをいただきました。独特で迫力のある実に素晴らしい字です。
(小さい写真だとわかりにくいかもしれません)
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購入した先生の作品は部屋に飾って毎日眺めています。毎日見ていても、風情ある日本的風景と独特の木目の美しさに魅せられます。
※https://tsuzen-nakajima.com/
合掌