在外研究という制度

大学には在学研究という特別な制度があります
これは,最初の記事でも触れたように,在外研究の期間中,授業などの教育活動や各種会議などの学内業務を免除され,本人の希望する国で研究を進めることができるという制度です。
※ちなみに名目上制度として設定されていても,実態として誰も活用していない,あるいは活用できないような大学もあります。私の最初の所属先は,そもそもそういう制度があったのかどうかすら不明です。不明ですが誰も行っていないのは間違いありませんので,制度が最初からなかったのかもしれません。

希望する国で研究を進めることができる!と言われても,あんまりイメージできないような気もしますので,もう少し具体的に書いてみたいと思います。

在外研究の期間
まず,期間については,1年間というケースが一番多いのではないかと思います。私の所属先では,短期と長期に分かれていて,短期の場合は半年以内,長期の場合が1年となっています。

滞在する国
在外研究でどこの国に行くかについては,その人の希望により決定されます(渡航不可の国は除く)。ただし,1年間生活するということになると,通常の旅行ではないため,ビザが必要となります。大学の教員(=研究者)の場合,このビザを発行してもらうため,希望する国の大学に研究員として受け入れてもらう必要が出てきます。どこそこ大学の研究員として受け入れてもらうと,研究者用のビザ(というのがあるらしい)が発行可能となり,無事に1年間滞在可能となるわけです。
さて,ではどうやって希望する国の大学に受け入れてもらったらいいんでしょうか。国際学会の経験もない私の場合,言うまでもないですが,海外の研究者に知り合いは一人もいません。
これについては,また別のところであらためて書いてみようと思います。

滞在中のお金
授業が免除されて海外に行って自由に生活(研究)ができるとなると,気になるのはお金の問題です。
まず,在外研究中は普段の大学での業務(授業や会議)などがすべて免除されますが,給与は通常通り(ボーナス含め)支払われます。まずはこれが生活費の基本となります。
また,在外研究の場合は,在外研究用の特別研究費が支給されます。これは「研究費」と呼ばれてはいますが,現地での家賃等にも利用できるまさに特別な研究費ということになります。この特別研究費が,私のところではだいたい月30万円くらいになります。ただし,政治家の政務活動費とは異なり,すべて領収書等で清算が必要なものとなりますので,あくまでも上限がそうであるということになります。
以上のように,通常の給与に加えて特別研究費ももらえるということで,かなり恵まれていると言えますが,現在の物価高(2024年2月現在)を考えると,国によってはそれでも生活が苦しいという状況だという話をよく耳にします。

在外研究中の授業や学内業務
在外研究は授業や会議が免除されるということですが,カリキュラムとして設定されている授業を在外研究に行くからとある年だけ非開講とするわけにはいきません。
そのため,在外研究に出る教員は,自分の担当する授業をどなたかに1年間代講してもらう必要があります。複数の授業を担当しているため,それにマッチする代わりの先生を見つける作業も,意外と難航することがあります。
また,学内業務については,同じ学部や専攻の先生たちにすべてお任せすることになり,そうした先生方の協力のもとで捻出される1年間ということをかみしめながら生活することになるわけです。
※無事に在外研究を終え帰国すると教授会等の場で,帰国の挨拶をすることになります。

ということで,私の場合,まだ在外研究に出るかどうかすら決まっていないわけですが,国をどうするか,国を決めたとしてどこの大学に受け入れてもらうのか,滞在費は賄えるのか,学内の仕事は大丈夫そうかなど,いろいろと検討することが山積みになる見込みです。
これらについては,今後少しずつ関連する内容を,経験するごとにまとめていきたいと思います。

おしまい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?