見出し画像

第49回議論「歴史総合への取り組みの実際と反省」 (「歴史総合」研究チーム)

第49回は「歴史総合」研究チームから「歴史総合への取り組みの実際と反省」として発表していただきました。
「生徒が自ら考える」を大切に、先生自らプリントを作成したり、パワーポイントを作って授業をされているそうです。
観念や言語の共有から国民国家を考える実践などを紹介していただきました。

自分が調べたものを全て扱いたいという気持ちから分量が多くなってしまったという反省点もあり、教科書資料も積極的に活用してシンプルかつ分かりやすい形に変えていく工夫もされているそうです。
資料を活用した定期考査の問題やパフォーマンス課題も紹介していただきました。
その後、生徒は歴史総合をどう評価しているか、高校1年生のレディネスを考慮したうえで生徒が前向きに取り組める歴史総合には何が必要か、について議論しました。

【以下、議論】
・「思考」をどう考えているか→資料を読解して読み取って感じたこと考えたことを自分の言葉で表現する。その中に思考が働いているのではないか。

・パフォーマンス課題がファンタジー問題になってない?→その通り。生徒が当事者性を感じられない設定になってしまっていたことに反省。

・生徒は何が難しいのか?→プリントの中の問いがスモールステップになっていなかったり、逆に些末なことを聞いてしまっていたり、大事な問いをスモールステップで考えるほうがよかった

・歴史総合の評価に関してはパフォーマンス課題などを生徒に積極的に行っている

・人間的に成長した3年生で歴史総合をもってくる学校もあり、それぞれで歴史総合の扱いが変わってくる。進学校では過去→現代、困難校では現代→過去など進め方も生徒に合わせてよいのではないか。

・生徒の理解度は本当は高くないかもしれない。レディネスとして持ってないものと考えてもいい。網羅的にやるよりは精選が必要なこともある。ワークシートに、既有知識をひっくり返す「なぜ?」を持ち込むことで生徒の前向きに取り組む意欲を高められるのではないか。

・思考力をどう問うかを独立して考えるのには無理があるのではないか。これらの問題は知識と思考を問うてるけどウェイトは思考の方が大きい。など割合で考えてもいい。

・中学校の学びをどう生かしていくのか、中学校の学びを思い出させる工夫で前向きに取り組むことができる。生徒が知っていることとこれから知るべきことを導くものがあってもいい。現代との連続性があるものの方がテーマ設定しやすいかもしれない。

・資料を探してプリントを作成するには膨大な時間がかかる。教科書の資料をもっと活用して授業の内容に時間をかけるといい。生徒がアウトプットできる安心感、楽しさを出せる授業準備が必要。

・今回の発表は日本史が入っていないのでは?世界史と日本史が分離している歴史総合をよくみるが、それをくっつける工夫があってもいいかもしれない。

・カリキュラムマネジメントする際に、先生方での考え方の違いがどうしても出てくるが、両方の先生を登場させて生徒の考えを引き出させる場があってもおもしろい。

・生徒に余裕がなかったという反省点があったが、今とか未来を繋げる内容にしたり、生徒が丁寧に振り返る場面を設けるとよい。

・日本史分野・世界史分野をミックスする工夫をしないと歴史総合の意味がなくなってしまう。アメリカ人とは何かだけではなく、日本人とは何か、ウクライナ人とは何か、という話ができると面白い。

・実践されたパフォーマンス課題について、歴史上の出来事に子どもたちがどれだけ共感できるかというもの。

・生徒を学習課題に関連付けるためには、中学校までの学習内容や経験と日本・地域に求めるしかないが、そこをどう結び付けるかが教材研究の一番のポイント。
無理に資料読解を求めると歴史総合が難しいだけになってしまう。
21世紀の日本の子どもがどうやったら多少なりとも歴史の出来事に迫れるか、そのための資料を選んでくるのが大事。
参加者23名

いいなと思ったら応援しよう!