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〇第53回議論「『地理総合』実践報告」(「地理総合」研究チーム)

第53回は「地理総合」研究チームから地理総合(B)(1)生活文化の多様性と国際理解の実践報告をしていただきました。

「東南アジアに日本製の家電を売るならばどのようにローカル化すれば良いか?」という問いを設定して、生徒たちが現地の自然環境や社会環境を踏まえて製品を考える中で、生活文化の多様性やそのために国際理解が容易ではないことを学んでいく取り組みをされたそうです。


製品提案の時間を多くとってしまったために、生徒たちはよく調べてそれらしいものを提案し、どこか満足気になってしまったことから、国際理解の難しさが伝わったのかが課題となったそうです。

現地の人に、役に立たないと指摘してもらい改良を考えることでより理解できるのではないかと卒業生のツテを頼って現地の人と繋がることを模索中ということでした。


大気大循環や風、地形など、この単元で扱った内容にそぎ落とすべき部分があったのではと悩まれているということで、ねらいに直結しない内容をどうしたらよいか、を議論しました。

また、降水量についての学習でGoogleEarthProを利用されており、ICTの活用方法についても議論のテーマとなりました。

【以下、議論】
・ゼロから1にする作業(例えば「どこの国を対象とするか」から考える)は時間がかかる。どんな工夫をされたか→ゼロで投げて時間をかけたので反省点が残る。
1時間で、できないな、で終わった方がよかったかもしれない。


・中高一貫校では、中学校→地理総合→地理探究で考えてるのか?大切にしていることはなにか?→全体を通して考えられていないのが現状。
中学時の担当者が調べ学習→発表に力を入れていたのでそこは踏襲したいと考えて進めている。


・相互に大事にしたい価値観(例えば日本企業の譲れないことと現地消費者の大事にしていること)がぶつかったときに生まれるジレンマがあってこそ国際理解の難しさを実感できる。
家電のローカル化は企業側が妥協すれば解決してしまう。

・国際理解が容易ではない、がねらいでいいのか?「〇〇を理解した」にした方がよいのでは?

・ねらいに直結しない学習内容については、学習指導要領に指示はないが、教科書には載っているので生徒の実態や教師の思い(受験を想定しているかどうか)によって左右される。


・一概にいるか、いらないか判断できないので削ぎ落とさなくてもいいんじゃないか。地域別にグループをつくり、その中で地形担当、歴史担当、気候担当など分担すると全部できる。

グループ内で意見が別れても、いろんなものを背景にして文化が成り立っているという理解につながる。

・総合科目は初めての年なので網羅的にやってみてやりやすいものを次年度へ。ブラッシュアップしていきたい。


・単元の問いを貫いた内容をやっている。
そぎ落とせない怖さは、受験や保護者の目など授業以外の要因。それとどう向き合っていくかの問題。受験等が気になる生徒にはサブ問題集などで対応するなど方法はある。興味を引く授業をしていれば学力や偏差値はついてくる。


・ジグソー法など他の人が学んだことを共有することで最低限の知識は保証できるのではないか。方法を工夫するのもよい。

・内容がどう構成されているかがポイントに。地理学の学問体系で、教科書に沿って、指導要領、子供の興味関心、それぞれの立場でぜんぜん違う授業になる。何を削ぎ落としていくかは授業しながら自信をもって判断できるようになる。


・教科書会社としては前の指導要領に残ってるものは残したい。何を扱うかは現場の先生に任せられる。教科書に載っているから教えなければ!という保守的な傾向はどの科目にもある。

・手書きのワークシートがよい。ICTが進んでいるが、手書きの地図に取り組んだりさせたい。


・実際製品開発に携わる人は1年程現地に住んでからとりかかる。
3時間、ネットで調べて理解は難しいので、導入として1時間でやってみて、その後自然環境、社会環境と別々で進めるのが現実的ではないか。
また設定する地域が広い。東南アジアでも国や地域が違ったら大きく違うことは多い。

・ICTについては学校の環境が十分でないことが多く、PC室だからできることもある。現時点では共有やアウトプットに利用するのが良い使い方ではないか。

・MANDARAのHPがどうなるのかが気がかり。
みんなが使い続けたら、誰かが引き継ぐだろう。


・授業について迷っているのは先生自身が主体的に判断している証。

・悩みながら授業をされているのがよい。
失敗も共有していく中で地理総合はおもしろいとなることを期待。


・多文化理解や異文化共生が重要になるが、生徒の感想からそれができているのがうかがえる。民主主義を守るために他人の人権を守ること。
それは日本国民だけではないこと。が理解できたらいい。


・その地域の文化に寄り添ったものを作る取り組みだったのでよい。
しかし経済的要因を先にもってきてしまったことに疑問。
経済要因からの異文化理解になってしまった。
日本企業は技術力はあったが、消費者が本当に必要なものに特化できなかったり技術者を大事にしなかったために衰退してしまった。だから消費者ファーストに戻ろう!という発表になっていてよかった。


・これからはローカル化じゃなくてパーソナル化。個人のニーズに合った商品を作っている時代になるかもしれない。
参加人数 21名

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