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第73回 歴史総合の振り返り・世界史探究の計画案(「歴史総合」研究チーム)

第73回は「歴史総合の振り返りと世界史探究の計画案」として発表していただきました。
 歴史総合1年目を終えて、世間では「教科書が1/3しか終わらなかった」などが話題になり、大学受験に「不公平」といった声も出ているようです。しかし、報告者は昨年度「資料を読む→話し合い→発表」を繰り返して歴史総合の授業を実践され、改善点はあるものの、生徒たちの反応に手応えを感じているということでした。
― 歴史総合を終えた生徒たちの感想 ―
「問いの答えが結局どうだったのか知りたい」
「歴史の大きな流れを掴めてよかった」
「授業中に知識を入れるのではなくて、自分で考える練習ができた」
「グループワークで話す機会も多く、楽しかった」
「最初は面倒くさかった資料の読解もしっかり読もうと思えた(読んで隣の子に意見を言わないといけないから)」
「資料の何に着目すべきか、わかるようになった」

では、歴史総合を終えて「世界史探究」をどうしていけばよいか、ということですが、おそらく多くの学校で、3年生で世界史探究を履修する(3年生で、又は2・3年生で分割して)と考えられます。その場合、「E(4)地球世界の課題の探究」はどのように扱われるのか。進学校では受験のために扱われなかったり、2・3年生で担当者が変わればうまく接続されないこともあるのではないか、という懸念もあり、報告者から「E(4)も含めて世界史探究で学ぶべき内容を1年間ですべて終える。2・3年生で履修する場合は文化史にスポットをあててもう1周」という提案がありました。A〜E(4)まで順番に進めるという学習指導要領の条件もクリアしつつ、E(4)もきちんと扱えるというメリットがあります。これまでの世界史Bを考えると時間的に厳しいように感じますが、何を学ばせたいかを重視した「逆向き設計」で授業をつくることで可能になるのではないかということでした。

― 以下議論 ―
・資料読解→考察ばかりだと飽きてくる生徒はいないのか。しんどくて我慢できずに苦悩になり、話し合いもせず自分で考えようとしなくなる生徒も出てくるのではないか。→なぜ、それ(資料を読む、話し合いをする)をする必要があるのか、を伝えるように心がけている。一朝一夕には身につかないものであることも伝える。あまり難しい資料ではなく頑張ればわかるものを準備する。1学期はサブクエスチョンを簡単に設定。2学期は3行程度の文章で答えるなど小さなステップアップを生徒が感じられるような工夫をした。
・生徒たちに身に着けてほしい力、歴史総合でのねらい、世界史探究との違いは?→歴史総合は歴史の大きな流れをとることがねらい。表現する力や資料読解の力もつけたい。現代の諸課題と合わせて考えさせたい。世界史探究でもやはり大きな流れは掴ませたい。歴史総合と内容が重なる産業革命以降については資料の数を増やしたり、比較させたり、レベルアップしていきたい。
・世界史分野では国際理解の要素もあり、重点を置きたいところだが、報告者は世界史探究では何を伝えたいのか→何をどう学ぼうがすべて繋がっているのが世界史の面白いところ。生徒たちは、自分の頭の中にある用語が繋がると喜んだりする。すべて繋がってることに自分で気づいてほしい。
・歴史総合をやりきったら世界史Bに帰れるぞ!みたいな感覚もあったので、そんな感じで進めるとE(4)をきちんと扱えないかもしれない。見通しとしてはE(4)は3年生の最後。どんな事象を扱うにしても現代の問題と関連付けて考えることに意義があるので、歴史総合での活動をヒントに、学習活動を進めていければいいかな。
・報告者の案は好評。歴史総合も含めて、視点を変えて3周はおもしろい。探究科目は個人の作業にむかっていく。だから3周目はセルフで。それができたら生徒自身が独り立ちできて、総合科目や探究科目の目標は達成できるのではないか。
・報告者の案について、歴史総合の最後と繋げてもいいのではないか。そうすればE(4)スタートもスムーズにできる。感染症の事例など最初にもってきて時代を超えた共通性や人間そのものを考えさせるところからスタートしたり、先生方は様々な切り口で世界史探究をスタートさせている。歴史総合みたいに各大項目の最後に現代のパートに繋げる方法もある。


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