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生まれて初めて長編小説を書いてみて


この度、野生時代新人賞に応募する為に、長編小説を書きました。

今回は、その際に起きた心情の変化を簡潔に書こうと思います。私と同じように小説を書かれる方、これから小説を書いてみようという方の参考になれば幸いです。


長編小説を書いた際に起きた心情の変化

1、衝動

まず、どうして長編小説を書こうと思ったか。それは突然、心の中に舞い降りてくるような衝動でした。本当に突然でした。それまでは、二次小説の短いお話をネット上で投稿して楽しんでいたのですが、そうではなくて自分でイチからつくる物語を書きたいと突然に思ったんです。それも、「絶対に」書きたいと、体の中から何かがみなぎってくる感覚でした。その時には書きたいテーマがすでに頭の中にありました。


2、ワクワク

目標は長編を書き上げて新人賞に応募すること。応募したい新人賞が決まったら、いよいよスタートです。プロットを考えたりキャラクターを考えたり、ラストシーンを想像したり。もうワクワクが止まりません。これはぜってーに面白い物語になる。すごいものが出来るぞ!っていう舞い上がった感覚です。ノートにプロットを書き出し、物語の枠組みを作り上げていきます。小説を書くノウハウ本を読んだり、一般的な小説も読み漁るようになりました。


3、絶望

あんなにも舞い上がっていたのに?!一気に絶望の沼に突き落とされました。それは、小説を読み漁る中で生まれた気持ちです。本屋大賞の作品、直木賞の作品、そして新人賞受賞作品をたくさん読みました。これがもう、とんでもなく神がかった素晴らしいものばかりでした。また、新人賞一次通過作品なども読ませてもらう機会がありました。こちらの作品、書店で販売されている小説とかわらないクオリティーで、内容もとても面白くて、素直に尊敬しました。でも、それに比べて自分が書き始めた文章、書こうとしているストーリー。陳腐で稚拙過ぎる。こんなもの人に読ませらせない…と、能力の無い自分が嫌になりました。


4、淡々と事務作業のように

小説ノウハウ本、小説講座のYouTube、小説家さんのブログなどで、すべてに共通するアドバイスがありました。それは、「つべこべ言わずに書け」です。最初から上手に書けないのは当たり前。まずは書かなければ、小説はできあがらない、と。また、マラソンと同じ長期戦だから1日何枚と決めて書くこと。というアドバイスなどもありました。なので私は、こんな話つまらない…と思いながらもノルマのように毎日コツコツと枚数を増やしていきました。この時は、長編小説を書くのって、ドラマティックな作業というよりも淡々とおこなう事務作業みたいだなぁと思っていました。


5、波

文字を書いていくと自分の中の創造力や語彙力や感性がHPみたいにちょっとずつ減っていき、空っぽななる感覚がありました。空っぽになると何も書けなくなり、またインプットしたい欲が高まります。そうして小説を読み漁ってはその素晴らしさに落ち込み、しばらくするとまた書きたくなってきて書く。という波を繰り返しながらちょっとずっつ進んでいきました。ざっくりとラストシーンまでの粗い文章は出来上がり、あとはそれぞれの描写の洗練、プロットの見直し、シーンの強化、そんなことを繰り返していきます。


6、怖い

原稿も7割ほどが出来上がり、完成が見えてきました。すると何故か書くのが怖くなっていきました。ゴールが遠くに見えてきて、ゴールするのが怖くて引き返したくなりました。それは何故か、結果が見えてきたからです。当初思い描いていた「最高の作品」とは程遠い仕上がりとして完成するのが予想できたからです。こんなもの捨てて、初めからやり直さなきゃ。根本的にプロットなおさなきゃ、こんなんじゃダメだ…と追い詰められた気持ちになります。


7、根性

「私に足りないのは筆力じゃなくて勇気」と、ある人に言われました。それで私は決めました。ここまできたら、どんな仕上がりでも書き上げるぞ、と。もうプロットはいじりません。とにかくこのままの状態で磨きあげて、書き上げる。とにかく下手でも完成させて、応募する!って覚悟が決まりました。そこからは根性で原稿用紙を埋めて行きます。締め切りまで残り20日くらいでしたが、こんなにも頑張ったことがあるかというくらい毎日毎日頑張りました。


8、覚醒

毎日睡眠を削って執筆と向き合っていたこともあり、ランナーズハイならぬ、ライターズハイ?状態になりました。うまく書けていなかったところが、どんどんブラッシュアップされる感覚がありました。思いつかずに置いておいたセリフに言葉がハマり、各シーンに魂がこもっていくような、そんな感覚です。ジグソーパズルの終盤みたいに一気にパスパスとピースがハマっていきました。


9、最高潮

ラストの一文を書き終えたそのときに最後のパズルのピースがパシッとハマった音が聞こえました。おもわず出来た!って叫びました。応募締め切りの当日朝10:20でした。
きっと本当ならばここからもっともっと推敲する必要があるのでしょうが、今回は背に腹は代えられないので、ここで完成としました。
ものすごい達成感で、走り出したくなりました。その後、車で職場に出勤するのですが、おもわず制限速度を超えてアクセルブンブン踏みたくなりました。(←こんな奴は運転しちゃダメだ)
初めに感じたワクワクと同じように、本当に最高なものが書けたんじゃないかと感情が昂ぶり、書いてきた中で一番の、最高潮の気分になりました。


10、冷静になる

原稿を応募して一夜経ち、興奮も冷めました。
今までのことを振り返り冷静に客観的に考える視点が生まれました。最高なものが書けたかというと、多分そうでは無いでしょう。粗もたくさんだろうし、稚拙なものでしょう。きっとあれは、書けたという高揚感や睡眠不足のハイテンションのせいです笑
しばらくは読み返すのが怖いですね。
でも、原稿用紙250枚以上の枚数を書き上げて応募したという事実は、変えることの出来ない事実です。それだけでもすごいことだと、自信を持ってもいいのかなと思います。何ヶ月もかけて、投げ出したくなったときも諦めずに書き上げられたこと。自分にお疲れ様と言いたいです。


さて、私の心境は↑今ココです。

このあと、どうなって行くのでしょうか。

それは、私もまだ決めていません。長編を書いてみたいという一心で始めた挑戦でした。これからの話もまた機会があればお話できたらと思います。


最後に

個人的な振り返りの手記を読んでくださりありがとうございました。まだ冷静になれていない部分もあるかと思いますが、鉄は熱いうちに打てということで、執筆の感覚が残っている今のうちにしたためさせてもらいました。


それではまた。


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