春に放りだされ
春は、苦手だった。
そんなことを思い出した、雨降りの春の日。
今日みたいな雨の日。
つめたい雨。
昨日まで属していたものから、一度解かれる年度末という、終わり。そして、「新しく」始まる年度始め。
春は、終わりと始まりの間に放り出される時間だ。
私は、そんなに簡単に終わりにも出来ないし、そんなに簡単に始まりを準備出来ない。
私は春に放り出された。
間に心許ない気持ちを抱え震えながら。
家族のいさかいの声を、空気を、感じをまといながら、寄る辺ない時空間を生きていたあの頃。
あの頃も、今日みたいな雨が降っていた。
サクラの蕾は希望なのか?
雨にうたれる桜の蕾は、泣いているように見えた。
終わりと始まりのあいだは、短くてはいけない。
あいだを、大丈夫に生きたい。
桜の蕾よ、泣かないで。
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