日本企業において、上場企業に対する市場や規制当局からのプレッシャーは高まる一方ですが、日本よりも早い時期から、資本市場やアクティビストからの洗礼を受けてきた米国市場における、JP Morgan ChaseのDimon CEOによる最近の発言に注目します。
多くの日本企業は、コーポレートガバナンス・コードが出来、アクティビストが積極的に活動するようになるまで、資本コストに対する意識や株主に対する対応に問題があった事は否定できません。
しかしながら、資本主義の先進国である米国において、このような上場会社に対する行き過ぎたプレッシャーに関する議論が持ち上がってきている事は注目に値します。欧州においても、2000年代に株主資本主義が広がり、資本コストへの意識が高まった事で、市場の平均PBRが大幅に上昇する一方、上場企業数は減少しました。
日本においても、今後、過剰な株主資本主義が広がれば、この様な副作用が出る可能性があることは、意識しておいた方がいいと考えられます。先行事例を踏まえた適切な対応が必要でしょう。
また、議決権行使に関しては、日本でも議決権担当者を中心で形式基準を重視し、柔軟性に欠ける対応が多くなっているとすると問題です。
英国スチュワードシップ・コードでは、議決権行使の場面で議決権行使の担当者が最終判断をするのではなく、運用担当者が最終判断を行う事をベストプラクティスとしています。
ポートフォリオマネージャーは日々運用パフォーマンスの向上を最優先に取り組んでいるため、議決権行使にまで手が回らない事情も理解できます。ただ、議決権行使の一次判断は議決権行使担当者が行うにしても、アクティブファンドで投資する企業に対する議決権行使の最終判断は、アクティブファンドマネージャーの義務の1つであることを理解する必要があると考えます。