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トランプ氏で決まり⁉米大統領選の行方
7月14日、アメリカのトランプ前大統領が選挙演説中に銃撃を受けました。銃弾は右耳の上部を貫通したそうです。
トランプ氏は出血して一瞬倒れ込みましたが、その後がドラマチックでした。
トランプ氏は立ち上がった後、退避させようとするシークレットサービスを制止し、拳を突き上げて何か叫んだのです。
支持者はこれに熱狂し「USA」コールが起きた。トランプも重ねて健在ぶりをアピール。星条旗をバックに流血しながらも叫ぶ写真は、映画の1シーンのようでもありました。
大統領選挙まで約4カ月というタイミングで起きた、衝撃の暗殺未遂は大統領選挙にどのような影響を与えるのでしょうか。
共和党は一気に団結しトランプ批判は消える
トランプ氏の命に別状はなく、15日から18日にかけて、共和党は中西部ウィスコンシン州で全国大会を開きます。この場でトランプ氏が大統領候補として正式指名を受け、共に戦う副大統領候補も明らかになるわけです。
4日間の日程のうち、トランプ氏は最終日に登場して候補の受諾演説を行う予定です。共和党大会は「トランプ一色」になっていて、陣営が結束をさらに強くする場となりそうです。
まさに「トランプ・ザ・サバイバー」、トランプは神格化され、共和党全体が一枚岩になるでしょう。
これまで、共和党の中にはトランプを嫌う勢力もありました。しかし彼らも銃撃事件後にトランプを批判することはできず、党内にトランプ批判者はいなくなります。
トランプ大統領の誕生は決定的で、焦点は上下両院も共和党が制して「統一政府」となるかどうかに移るかもしれません。
大きな影響はないという人もいるが・・・
一方、選挙戦に大きな影響は出ないという見方もあります。短期的にトランプの支持は上がるだろうが、選挙本番が近づいて「トランプ大統領」が現実味を増してくれば、民主党側がそれを阻止するために結束を強めるという考えです。
先日行われたトランプとの討論会でバイデンは低調だったため、メディアを中心に撤退圧力が高まっていますが、世論調査を見てみると、バイデンの支持率はわずかに下がっただけで、大きな影響は見られないこともその根拠です。
米国では社会の分断があまりにも深く、1984年にレーガンが大勝した後、どちらかの候補に一気に支持が傾くようなことはありません。民主党支持者はバイデンが好きだから投票するのではなく、トランプに大統領になってほしくないから対立候補であるバイデンを支持してきたため、誰が大統領候補になっても同じだという意見です。
この選挙はトランプ氏かバイデン氏かの選択ではない
ただ、私はこの選挙はトランプ氏とバイデン氏の戦いではないと考えています。これは民主党が信頼を著しく失い内部崩壊しているからです。
民主党指導部は、バイデン大統領が急速に衰弱している状態を隠し、その状態が明らかになってからも、アメリカ国民に心配する必要はなく、彼が大統領に立候補して選ばれるのが最善だと伝えてきました。討論会でバイデン氏の衰弱ぶりが隠し切れなくなってからも未だにその主張を続けています。彼らは「午前10時から午後4時の間は良好だ」などと主張していますが、大統領は24時間職責を負っています。
その様な主張をする民主党指導部に対して米国民は率直さと判断力に対する信頼を失いつつあります。そして、穏健左派と急進左派の間の分裂を考えた時に民主党の政策が何か分からなくなっているわけです。
民主党は大統領が任期を全うできない場合に何をするかを明確にしていません。共和党が何を目指し、誰がリーダーになるのかは明確ですが、民主党が何を目指し、誰がリーダーになるのかはわからないのです。
民主党はバイデンが任期を全うできないかもしれないことを説明し、その詳細な対応策を説明する必要があると思います。特に重要なのは、バイデンが任期を全うできない場合、誰がリーダーになるのかを明確にし、民主党が何を目指すのかを非常に詳細なプラットフォームで示し、副大統領候補は、どのようなタイプの人々を顧問や閣僚に選ぶのかを明らかにすることが必要でしょう。
その様な対応がない場合、今回の選挙による民主党指導部への不信は、大統領選挙への影響に留まらないのではないでしょうか。
民主党はトランプ氏の共和党と戦う前に、内部で自浄作用を働かせることが必要となっているのです。
トランプ大統領の誕生に向けて何が織り込まれていないか
今後のマーケットではトランプ大統領の誕生を前提に様々な織り込みが進む可能性があります。多くの人は前回のトランプ氏の政策をイメージして方向性を考えるでしょう。
もちろん、それは正しいと思いますが、世界は大きく変化しています。トランプ氏は攻撃的な言動とは裏腹に、戦争は防いでいました。バイデン氏は米国が直接戦争をしているわけではありませんが、ウクライナとイスラエルの問題を抱えています。トランプ大統領が誕生した場合、ウクライナは戦争終結に向かうでしょう。
そうなった時の世界を我々はイメージしておく必要があると考えます。
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