今年も残りわずかとなりました。今週もマーケットの動きと注目したニュースを確認していきますが、この時期は来年に向けた相場のテーマを考えたり、1年間を振り返ったりしたいですね。
少し時間を見つけてその様な記事も書いていきたいと思っています。
<マーケットチェック>
クリスマス前は相場参加者も減るため落ち着いた動きになることも多いのですが、今週は日銀・FOMCと金融政策のイベント週だったこともあり、比較的大きな動きとなりました。
マーケットでは米国は来年4回の利下げが2回となり、日銀は来年はじめに利上げという解説が多いと思いますが、私はもう少し見方が変化してきていると考えた方が良いのではないかと考えています。今回は少しそのあたりを解説してみたいと思います。
<株式>
米国株もこれまで堅調過ぎたことの反動から軟調な動きとなっていますが、日本株も勢いに欠ける動きが継続しています。
NYダウは12月18日まで50年ぶりに10日連続安となりましたが、上昇相場が変調したとは考えている投資家は少なそうです。
日米の差は企業業績・金融政策・政府の政策ともに差があり、構造変化への動きがなければ、割安感だけで日本株を選択するとしても残念ながら短期的な動きに留まると考えられます。
金曜日にはNYダウも一時大幅に反発しましたが、株価が下落してくると過ぎに市場をサポートする発言が出てくるあたりが、米国らしいと思います。
<金利>
FOMCは予想通り0.25%の利下げでしたが、マーケットではタカ派と捉えられました。ドットチャート25年利下げ見通しは4回→2回に下方修正されていますが、これ自体はある程度予想通りだったと思います。
金融政策の解釈はかなり専門的で細かな文言の解釈もあるため難しいと思いますので、今回のFOMCがタカ派的な利下げと解釈された理由を少し解説してみました。
パウエル議長の発言からは、積極的な利下げサイクルは利下げサイクルは既に終了したと見ることが出来ます。
また、パウエル議長の発言内容に関わらず、 FF 金利の誘導目標レンジを 4.50~4.75%から 4.25~4.50%へ引き下げることなどを決定した段階で、米 10 年金利は4.5%前後であったわけですから、今回の利下げ決定により、2022 年 11 月以来約 2 年ぶりに実効FF 金利と 10 年金利の逆イールドが解消することになったわけです。
また、ドル・ヘッジコストの低下により「ヘッジ付き米 10 年債」の
利回りも約 2 年ぶりにプラスに転じています。
これは過度な金融引き締め状態は既に解消されたことを意味していると考えてよいでしょう。
もちろん、実効 FF 金利と米 10 年金利の水準が概ね一致しているという状態は、引き続き中立金利との対比ではFF 金利自体はまだ高いとも言え、インフレの状況を確認しながら利下げ判断は行われていくという事でもあります。
ただ、米景気は実際に極めて好調であり、また中立金利自体も水準は不安定であることから、この先の利下げについては、慎重なペースとなる可能性が高いわけです。
少し今回と類似性がしてきされている1995~96年の調整利下げについて確認しておきます。
日銀の金融政策も大方の予想通り、現状維持となりましたが、マーケットは想定以上にハト派と捉えたようです。特に植田総裁の会見中に円安が進行しました。
このように現在長期金利は1.0%を超えているわけですが、政策金利が0.25%に過ぎない段階で早くもこの様な議論になってきたことに関して、市場はハト派というよりも日本の物価構造の弱さを再確認したのだと思います。
日本の物価構造に関してはもう少し慎重に見極めていく必要がありそうです。
<為替>
為替は円安が進行しました。日米の金融政策は概ね予想通りだったわけですが、将来予想という点で思った以上に米国がタカ派、日本がハト派と見た向きが多かったと思います。両者ともやや構造的な話でもあったので、単なるタイミングの話とは捉えられなかった面があると思います。
特に、日銀は円安が進行していたとしても、利上げという弾はあと1回と見られだしたのは厳しいといえます。
日本のみ金融引き締め、米国が緩和という流れは終了が近づいていると述べていましたが、そのメッセージが想定よりもやや早く、そしてやや強く出てきたという印象です。
ただ、問題は引き続き緩和を行いたい、欧州や新興国のほうが大きいと考えられ、日米の枠組みだけで捉えないほうが良いというのは従前から説明しているとおりです。
<注目したニュース>
12/15日経 キオクシアホールディングス上場