プリクラの目が大きい問題に決着をつける
9月5日に放送された『マツコの知らない世界』、後半パートは『カワイイの最先端! プリクラの世界』だった(9/12(火)20:56までTVerで視聴可能)。
スマホの加工アプリの普及により一時は廃れていたプリクラ(プリントシール機)だが、リングライトを始めとする本格的な撮影設備や、ミリ単位で調整できる加工技術の進化などにより「プリが一番盛れる」とJKの間で人気が再燃しているのだという。
その進化したはずのプリ画像を見たマツコ・デラックス氏は「また宇宙人顔時代が来たの?」と、むしろ退化を指摘したのである。
“宇宙人顔”というのはおそらく目の大きさのことを言っているのだと思うが、私も数年前から薄々感じていたことである。例えばインスタで「#jkプリ」で検索すると、ほぼ全てのサムネ画像が目を大きく加工してあり、男の私からしたら違和感を覚えずにはいられない。
1.目が大きい理由
多くの男性が思っているはずなのに何故か長らくスルーされてきた「プリクラの目が大きい問題」に、ついにマツコ氏が決着をつけてくれた。小2でプリクラの魅力に取りつかれて以来ほぼ全てのプリ機を研究し続けるFJD(女子大生1年)永島歩花さんとの会話を書き起こしてみる。
目の大きい宇宙人みたいな顔を可愛いということにするほうが好都合。マツコ氏の推論に過ぎないが、言い得て妙だと思う。理由は複数あるのだろうが、私が気付いた点としては「元々の顔面レベルが高くない女子でも可愛くなれる」反面「元々の顔面レベルが高い女子は逆にレベルが少し下がる」ことで「均等化」された結果「全員可愛い」という平和的な着地になると思うのである。
同調圧力と言うと強い表現になってしまうが、若者は自分の主張を隠し、共感し合うことで協調性を保つ傾向にあると思う。その風潮の中で「均等化」されたプリ画像を可愛いと褒め合うのはごく自然の事なのだろう。まったく、女同士の「カワイイ」は本当にアテにならない。
2.メイク盛り機能が充実し過ぎている理由
番組内では実際に最新のプリ機を体験するコーナーもあった。フリュー社の『MY PALETTE』は目の大きさを3方向からミリ単位で調整可能であり、「目を大きくしろ」と言わんばかりの充実さ。しかも画像には無いが鼻や口の大きさまで変えられる。
しかし、それ以上に驚かされたのはメイク盛り機能の進化である。ベース、アイ、リップの各メイクを事細かく指定可能で、現実世界のコスメを用いた女性のメイクを忠実に再現しているのである。なんと「パーソナルカラー(イエベ春とかブルベ夏とかのやつ)」に合わせた加工もしてくれるらしい。
これも女子の美意識が高まっている象徴と言えよう。例えば某社のリサーチによると、JC・JKの実に8割以上がYouTubeを視聴しており、その約半分が美容(メイク動画と思われる)やファッションに関する動画を観ているのである。
このデータを見るに、JKどころかJCの時点で普通にメイクをしているのだろうか。いずれにせよ美意識の異常なインフレ化が窺える。
3.カップルプリは廃れるのか
ここまで来ると、もはや「女子の女子による女子のためのプリクラ」と化してしまっているが、男子もプリ機のブースに入ることを許される場合がある。いわゆる「カップルプリ」である。この場合、男の顔は一体どうなってしまうのか。試しにインスタで「#カップルプリ」で検索してみた。
……これはアカン。
何となく気付いてはいたが、男にプリは不向きである。一応、現時点で7.4万件もの投稿はあるのだが、近い将来、カップルプリは廃れる気がしてならない。男に不向きと言うより、女子も女子で……私に言わせてもらえば共倒れである。まあ、女子同士でやって可愛いと褒め合っていれば良いんでないの?
4.足し算は美学なのか
私の好きな言葉に「引き算の美学」がある。例えばファッションならトレンドアイテムを詰め込みすぎるとゴチャゴチャした印象を受ける。主張する服は1点に絞り、他はあえて地味にしたりする人は多い。カラーの組み合わせも3色までが理想と良く言われるが、実際おしゃれな人は「ほぼ2色」に抑えており、3色目はカバンなどで差し色を加える程度に留めている。「引き算の美学」とは言い得て妙である。
一方でプリクラの世界はこれでもかと「足し算」をしまくっている。足し算を美学とするのは西洋の文化らしいが、日本の女性にはそんなに合わない気がする。男がとやかく言うことでも無いのかもしれないが。まあ、女子同士で勝手に楽しんで下さい……。
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