当方128の『ちょっとだけスケベな話』
おはようございます、当方128です。
みょー様の第五回『 #ちょっとだけコンテスト 』、2本目のエントリーです。
タグ検索する限り2人しか居ない「コンプリート」を達成したいと思い、過去4回で唯一不参加だった第一回のお題を選びましたが、実は初回が一番難しかったのですね……。
『触れられるときめき』
いつかの保健体育で、男子の8割は女子の身体に触れたい欲望を持っているという話を聞いた。私は全く共感できなかった。そもそもセクハラだし、その程度で快感を得られる男子共は何て稚拙だと思った。
私はワンランク上のマニアックな快感を知っている。触れるではなく、逆に「触れられる」ことである。能動では決して得られない、不意に訪れるからこそのときめき。共感してくれる人が一人でも居ることを願い、ちょっとだけスケベな話をここに残す。
14歳、教室にて
初めて女子の手が私に触れたのは忘れもしない中2だった。席が隣だった2ヶ月間、事あるごとに「バーカ、バーカ」と私を執拗に弄っていた小柄の女子。嫌われているとしか思えなかった。
休み時間、トイレに行こうと席を立ち、廊下に向かおうとした時だった。
「ねえねえ当方君」
私の動きを止めるように、その女子の小さい両手は私の左腕をギュッと掴んだ。聞きたいことがあったようだが、質問の内容は全く覚えていない。初めて知った女子の手の柔らかい感触。弱い力ながらもギュッと締め付けられる上腕二頭筋と腕橈骨筋。鼓動が止まらない左心房。僅か10秒の間に感じた全てを今でも忘れていない。
16歳、電車にて
7人掛けシートの端に座る高校1年の私。程なくして右隣に黒いスーツを着た女性が腰かける。彼女のパーソナルデータを全く知らないのに、黒いスーツというだけでしっかり者の大人に見える不思議。もしこんな姉が居たら自慢になるだろうなあ、なんて考えていたその時だった。
(スヤァ……)
微かに聞こえる寝息。自分のすぐ横で寝ているだけでも充分な刺激だったが、それだけで終わらなかった。コントロールを失った頭は電車の揺れに逆らえず、次第に私のほうへ向いていく。
(ピタッ)
長いストレートの黒髪が右肩に触れ、寄り掛かった状態がしばらく続く。しっかりしていると思った矢先の無防備というギャップ。この感覚は姉ではない、年上の彼女だ。目を覚ますまで、15分のドキドキな疑似恋愛を体験した16の夏。
27歳、居酒屋にて
友人がmixiでオタクの女性と知り合い、男2女2でオフ会を開くこととなった。男2の中に私は居たが、女性に対する免疫が皆無で、終始緊張していた。
「こいつ女と居るとといつも緊張するんですよ」
友人の一言で、飲み会のオタク談義は『女性に慣れる方法』という議題のグループディスカッションに切り替わった。様々なアドバイスを貰い、店を出て駅前で解散しようとしたその時だった。
「握手しませんか?」
女性の一人が突然の提案。少しでも女性に慣れて欲しいという願いからだった。私は戸惑いながらもゆっくりと手を差し伸べた。親以外の女性と手を繋ぐのは初めてだった。優しさと手のぬくもりが心へと伝う。あの日以上に感じたぽかぽかを私はまだ知らない。
36歳、眼鏡屋にて
つい最近、会社帰りに大手チェーンの眼鏡屋に寄った。若い女性店員が対応した。黒髪に眼鏡っ子というだけで萌えた。
フレームを私の耳元にかけ、ズレを調整しようと両耳を何度も触ってくる。しかも顔がとても近い。これでドキドキしない男は居るのだろうか。
マスクで口元は見えなかったが、時々笑う目が印象的だった。仕事の疲れも吹き飛ぶほどときめいた夜だった。ときめきトゥナイトだった(?)。
あとがき
エロ・下ネタ禁止ルールで『ちょっとだけスケベ』を書くのは塩梅が難しすぎました。第一回に参加された全ての皆様を尊敬します。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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