その55分間は「いろいろ要素がありすぎて間違いなく後世に語り継がれる」と、誰かが言った。
2023年3月5日、『ラブライブ!スーパースター!! Liella! 3rd LoveLive! Tour ~WE WILL!!~』埼玉公演Day.2を配信で視聴した。既に愛知Day.2を現地参戦済みで、その感想は以下の記事に書いていたが、今回は画面越しにも関わらず愛知を大幅に上回る衝撃を受けた。
やはり言及したいのはトレンド入りもした『 #最後のMC 』である。アンコールで4曲披露した後のMCの、9人各々が感想を言う部分だけで史上最長の55分を記録したのである。特に2期生4人の心の内が明るみになったのは大きい。そこで、2期生限定ではあるがMCの文字起こしをしつつ、個人的な感想を述べる(感想だけは後半で1期生の分も書こうと思う)。
1.絵森彩(鬼塚夏美役)
トップバッターが“最初からクライマックス”状態。いきなり感動させられた。我々ファンも当然察していた2期生の悩みや不安、プレッシャーという概念を初めて本人の口から明確に言語化したことが衝撃だった。衝撃という表現すら稚拙に感じるほど、我々のネガティブな想像さえも絶するレベルで彼女は深い深い闇の中で悩み、もがき苦しみながら闘っていたのかもしれない。「目標の自分もLiella!の一員ですって認めてあげられるようになるっていうことが、やっと実現できて」と、目標を達成した旨の自己評価をしたことでやっと救われる思いになった。
トリでも良いレベルの完璧なMCだったが、これは後に続く伝説の序章に過ぎなかった(これが全体的にお気持ち表明する流れを作ったとも言える)。
2.大熊和奏(若菜四季役)
評価軸が微妙に異なるとはいえ、あくまで“自己評価”という観点から見ると、先程の絵森とは対照的に「(キャラの)背中も見えなかった」「完成しない」というネガティブな評価が目立つ。自分に厳しすぎるのではないかと個人的には思うが、既にレベルを高く感じる今回さえも通過点に過ぎないと言うのなら、むしろ「頼もしい」という感想が相応しいのだろう。
3.薮島朱音(米女メイ役)
絵森は「Liella!の一員として相応しいのか」、大熊は「演じるキャラに近付けているのか」という評価軸だったが、3人目・薮島はとうとう「1期生との実力差」というパンドラの箱を開けてしまった。当然、前2人や鈴原も痛感していることではあるだろうが言及こそしていないので、この話は聞いていて辛すぎた。先輩より1年以上も遅れてスタートするという大きなビハインドを取り返すのは決して簡単な事ではない。
4.鈴原希実(桜小路きな子役)
これは重すぎる。「アイドルになりたい」夢と、「アイドルのように輝けない」現実との間で揺れる心。特別な存在になりたいのに何者にもなれないもどかしさ。前3人が『ラブライブ!』の枠内で話していたのに対し、鈴原だけは人生の根幹に関わる大きな悩みを打ち明けていた。
実はこういうタイプが一番多いのだと思う。アイドルや声優になるだけでも狭き門なのに、なれたとしても輝けるか否かはまた別の問題で、それを叶えられず困惑する女の子が日本にどれだけ多く存在することか。顔は可愛いのだから普通の人生を歩めば仕事でもプライベートでもチヤホヤされて、あまつさえ良い男を捕まえて幸せになれるのに、夢が大きすぎる故の苦悩、自ら選んだ茨の道。
鈴原はそんな星の数ほど居る女の子たちの一人に過ぎないのかもしれないが、だからこそリアルで切実すぎた。個人的には絵森と同じくらいグッと来た。
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以上が2期生4人の最後のMCである。各々が各々の悩みを抱え、もがき苦しみながらも答えを見つけた者、未だに迷い続けている者、様々ではあるが、2期生が4人ともお気持ち表明をしたのは極めて異例(もちろん最終日というのもあるのだろうが)。
しかし、これだけで終わらないからこそ“伝説の55分”になり得たのである。その後の1期生5人もお気持ち表明のバーゲンセール状態に。文字起こしは割愛させていただくが、残り5人の感想だけ簡潔に述べる。
5.青山なぎさ(葉月恋役)※感想のみ
4分03秒(有志計測)。「葉月恋はラブライブ!シリーズを応援して下さっている方全員に嫌われる人で居て欲しいっていうことを言われて……」。このぶっこみがネットをザワつかせた。それは流石に辛すぎるだろ。話としてはその後の2期7話で救われたという結びにはなっているものの、そこに至る1年以上も、ライブでのパフォーマンスで恋の可愛さを表現しようと必死だったと思うと……。あの青山が泣くって相当だぞ。
6.ペイトン尚未(平安名すみれ役)※感想のみ
4分25秒(有志計測)。絵森のように「自信を持って演じられているだろうか」という悩みは、みんな抱えていた時期があった。自分もそうだった。でも今はそんな時期を笑えるようになった。この言葉が全てである。現在進行形で苦悩している2期生の未来の姿を体現しているようでとても感慨深かった。
7.岬なこ(嵐千砂都役)※感想のみ
5分59秒(有志計測)。どうしても周囲と比べてしまいがちだけど「私は私らしくて良いんだって1個思うだけで自分なりの表現をみつけられる、新しい自分が見つかる」と表向きはファンの皆へ伝えたが、悩める2期生へのメッセージでもあったのだろう。加えて最後に「本当に強くて(大熊)、真面目で(鈴原)、真っ直ぐで(薮島)、負けず嫌い(絵森)。一人一人がすっごくキラキラしていてそんな2期生が私たち1期生の居るLiella!に来てくれて本当に良かったって幸せだって私は思います」と言い切ったのが格好良すぎる。
8.Liyuu(唐可可役)※感想のみ
6分19秒(有志計測)。コロナ禍でスタートしたLiella!がついに念願の声出し解禁となった今回への想いを熱く語った。スバラシイコエノヒトは観客全員。その上で「声出し無いライブも絶対絶対忘れない」と言ったのも感慨深く、制限下で行われた過去の公演も大切な思い出だから無駄にしたくはないという熱い想いが伝わった。
9.伊達さゆり(澁谷かのん役)※感想のみ
驚異の14分17秒(有志計測)。内容を整理すれば時間を半分以下に抑えられたのかもしれないが、そういう問題ではない。熱い想いをそのままぶつけたのが良かった。喋り方がAqoursのリーダー伊波を彷彿とさせたから、同じリーダーとして好感を持てたのもある。ただ内容がどうにでも出来ないシビアな問題なのが救われない。3期マジでどうするよ?
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MC55分で大幅に時間が押しているにもかかわらず、その後にバナナダンスをしたり、まさかのダブルアンコールとなったり、最後の最後に発表があったりと、あと新曲初披露もだが、現地に行っておけば良かったと後悔するレベルで至れり尽くせりだった。彼女たちの悩みがいつか解消され、笑顔になってくれることを切に願う。
あ、MCが気になる方は今すぐ配信アーカイブを購入しましょう。まだ間に合いますよ。