配信用マイクにSM58を勧める理由 is 何?

配信用のマイク探してる人に対して
勧めてる人が多いマイク。

コンデンサーマイクならオーテクのAT2020
ダイナミックマイクならSHUREのSM58



問:SM58を勧める論拠を述べよ。
但し「使ってる人が多いから」は
理由に含まれないものとする。


結論から申しますと、あたしゃSM57とか他のマイクをオススメいたしますよって話でございます。


なぜSM58のユーザーが多いかご存知か?


おそらくAT2020やSM58がおすすめに上がる理由は

・1万ちょっとで手に入る (2024年現在)
・使っている人が多い

この2点だと思います。

安いことには異論はないです。
大量に流通していることにも異論はないです。

でも、このマイクがどこで使われてるか
考えたことありますか?


SM58が活きる現場

一般的な住環境でAT2020のようなコンデンサーマイクなんて使いこなせるわけがねぇだろ、という話についてはこちらの記事でキレ散らかしておりますが

同じようにSM58が向いてない環境ってのもあります。


そもそもSM58が使われている環境はどこなのか。

それはライブハウスのような音が溢れている場所におけるPAです。当然練習スタジオなんかにも絶対に置いてあります。SM58に触ったことあるって人は高い確率でバンドやってた人だと思います。
※PA…広い会場にマイクやスピーカーを使って音を届けること。

ライブのステージは

爆音が出るギターアンプにベースアンプ
生音がとんでもないドラムセット
客席用のPAスピーカー
自分の声や楽器の音を確認するためのモニタースピーカーなど

結構にとんでもない音量が出る音源に囲まれています。
場所でボーカルマイクや楽器を狙う超汎用マイクとして活躍しているのがSM58です。


なぜPAの現場でSM58が使われるのか

PA用のマイクで特に重要な性能は
頑丈さハウりづらさだと言っても過言ではないでしょう。

SM58はそりゃあもう頑丈です。
メンテナンスしてなくても滅多なことじゃ壊れないし
ヘッドのグリルボールがボコボコになってもそのまんま使われてるSM58もたまに見かけます。

ハウりにくい(ハウリングを起こしづらい)ことも
大切な要素です。

ハウリングとは、「スピーカーから出る音をマイクが拾い、それがさらにスピーカーから出て…と無限に増幅される状況」のこと。
カラオケでマイクをスピーカーに向けると「キィィィン」ととんでもない音が出ることがありますが、それです。

ハウると耳に良くないことはもちろん、最悪スピーカーなどのPA機器がぶっ壊れます。

先述した通り、ステージには様々なマイクとスピーカーが設置されています。SM58はそういうPAの現場でボーカルを拾うために設計されたマイクです。
しっかり音を拾う至近距離で歌ってもヘッドのグリルのおかげでポップノイズが乗りにくく、マイクを持ってステージを動き回ってもタッチノイズが乗りにくく、しかもハウりづらい。

つまり、PA用として扱いやすいんです。
この手の設計のマイクの先駆けとして定番中の定番であり、デファクトスタンダードと言ってもいいでしょう。
どこにでもあるからスタッフさんも扱いに慣れてるし、「とりあえずこいつがあればなんとかなるやろ」というポジションにあるマイクだと言えます。


SM58って高音が弱いよ


本題に戻りましょう。

確かにSM58は世界中で使われています。
正確には、世界中のステージ上で使われています。
しかし、配信をしようと思ってこの記事にたどりついたあなたにとって、わざわざSM58を選択するメリットがあるのでしょうか?

PA用マイクは、雑音の多い環境にはとても強い特性を持っています。収録環境が音響的によろしくない環境なのであれば、私は迷わずPA用のマイクをお勧めします。
そんな環境でスタジオ収録用のコンデンサーマイク立てたら雑音拾ってしょうがないので使い物になりませんから。


SM58はどうでしょうか。

確かに安価で、グリルボールのおかげでポップノイズに多少強く、雑音に強いマイクです。

でも安くて雑音に強いマイクなら他にもあるし、家で使うならちゃんとしたポップガード使えますよね?

何よりSM58は高音の伸びが悪く中低音域の出方にすごくクセがあります。温もりのある音という表現をされることが多いですが、有り体に言えばかなりこもった音のマイクです。

SM58の音は配信に声を乗せる用途にゃ向いてない。
なによりクリアさが足りない。


SM58を選ぶぐらいだったら、もう少し高音が伸びて中低音がもっさりしないSM57の方が絶対綺麗に聞こえます。ポップにゃ弱いけどポップガード後付けすりゃいいし。

ちなみにこいつを改良したマイクがSM7bBETA57/BETA58です。予算的にいけるなら絶対こっち選んだ方がいい。

もちろんSHURE以外の音響メーカーも、同価格帯でもっとクリアなマイクをたくさん出しています。

ご予算的にいけるならば、指向性が狭くて雑音に強いハンドヘルドのコンデンサーマイクもありますし。

あけすけに言って
バンドマンでもない方が
わざわざSM58にこだわる理由が見当たりません。


ここまで読んでくださった皆さま
どうぞサウンドハウスとかの楽器屋でどうぞいろいろ調べてみてください(Amazonは音響メーカーじゃないところとか、ばったもんとかも多いからやめた方がいい)。
そして型番をYouTubeで調べてみましょう。比較動画がいっぱい出てきます。

安くない買い物ですからいっぱい調べてみてくださいね。

参照:The Time Preservation Society
Shure SM57 vs SM58 (Versus Series)

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