#15 さらば、オーストラリア編【オーストラリア海外研修】

ついにこのオーストラリア海外研修体験記も、15回まで来ました。
色々あった海外研修。この「色々」には色々含まれすぎていて、何が何だか分からないレベルですが、まあ、色々なんですよ。
泣いた日もあれば、泣いた日もあり、あの日も泣いて……って、確かに泣いた日は多かったんですけど。
それは初週のホームシック重症の頃や、滞在中に問題が発生したときのみ。
最後の週は、ついに帰国か……と感慨深くなっていました。
成長したことなどについては、また次のnoteで。
今回は、最終日のお話です。

閉まらないスーツケース

最終日の朝。
飛行機は深夜便に乗るので、それまでの時間はフリーです。
ホストマザーが、夕方にカレッジまで送ってくれます。そこが最後の別れであり、大学のみんなでカレッジからバスに乗って、シドニー空港に向かいます。
さて、最終日ともなると、いくらホームシックとはいえ、寂しくなります。
ステイ先の家の中を写真に撮ったり、ホストマザーと最後の朝食を食べます。
先程、フリーとかなんとか言いましたが、私には一つ、やるべきことがあります。
それが「パッキング」。
いや、前日に終わらせとけよ!って思いますよね。
でも、シャワーあびるかもしれないからタオル必要だし……普通に朝は起きるからコンタクトもクシも必要だし……と、なかなか仕舞えなかったんです。
なにより、夕方まで予定がないので、そんだけ時間があればパッキングなんてすぐ出来るでしょ!って思っていたんです。
しかし、これが初心者の落とし穴でした。
荷物を詰め詰め、お土産も詰め詰め、さあ、スーツケースを閉じよう……。
あれ、閉まらない。
ちょっとこの荷物動かしてみるか。
うん……閉まらないな。
あれっ!?と急に焦り出す。お土産もそんなに買っていないのに!空白あくくらい余裕もあるのに!
ただ、原因はわかりきっています。
本です。本。
この海外研修で、私、計19冊もの本を買ってしまいました。
うち10冊はコンプリートセットですが。コンプリートセットだから、一つの石みたいなボックスに入れられているんですけど。
この本たちが、重い上に場所を取る。
固いから変形もさせられないし、隙間に入れることもできない。
スーツケースの下の方に入れますが、分厚くて盛り上がっている。
そう、これが薄めの本だったらよかったんですけど、超大長編の分厚いやつを3冊買っているので、これが厄介。
他の液漏れが怖いのでビニールに入れると、またその分分厚くなる。
また頭をひねりました。パズルみたいにすればいけるかな、と思っても、やっぱり入りません。
日本にいる家族に、ラインで助けを求めました。
しかし、日本にいるので当たり前で、手伝ってはくれず、「頑張れ」の言葉をくれました。
マザーに頼るわけにはいかないので、一人スーツケースと向き合います。
結果、もちVSスーツケースの戦いは昼も越え、14時半くらいまで続きました。
勝ちました。勝ちましたけど、時間を失いました。
まあ、諦めずに郵送、なんてことがなくて良かったです……。
ちなみに、重さも空港に持ち運べる範囲内でした。
ただ、これ以上本を買っていたら、重さの時点でゲームオーバーだったかもしれません……これからは気をつけます……。

長いバス旅 シドニー空港へ

なんとかパッキングを終了できた私は、マザーに報告し、スーツケースを車に積んでもらいました。
そのあとは、リビングで一緒に映画を見ました。
作品は「POMS」。邦題は「チア・アップ!」。
普段、私は飲食を取りながら映画を見るタイプではないので、スナックバーを食べながら見るのは少し違和感でした。また、段々と家を出る時間に近づいてしまい、最後の方は流し見になってしまいました。
なので映画の感想をはっきりお伝えすることができません。
でも、明るくて楽しい作品でした。ところどころのユニークなジョークに、ホストマザーも思わず吹き出していました。
改めて、日本語版を見て、ストーリーをしっかりと理解したいと思います。
慌ててお手洗いを済ませ、手荷物をまとめて、いざ、家を出ます。
一ヶ月、ありがとう。あの、Wi-Fiが繋がらなくて何時間もかかった初日が懐かしいです。
車の中から、家を見送ります。

道路はバスの通学路とはまた別の道を進むので、現在地は把握できませんでした。
でも、この地域で過ごしたこと、雄大な自然の数々は、忘れられません。
学び先のカレッジとは二時間くらいも離れた距離で、最初は朝早く起きなくてはならないことも辛かったです。
しかし、帰るときには、この地域に来ることができて、本当に良かったと思いました。
あっという間にカレッジに到着して、いよいよお別れのときです。
私はサブバッグを、スーツケースの手すりに取り付けました。あの、上からスポンとはめられるやつです。
するとマザーは、「何その技術!すご!」と驚いていました。
日本製かはわかりませんが、日本で買ったものなので、褒められた気分になって少し嬉しかったです。
現地の先生が道路のそばで待っていて、大学の子たちも二人くらい既に来ていました。
マザーに別れを告げるとき、自然と涙があふれました。
色々あったけど、一ヶ月お世話をしてくれたマザーに、感謝の気持ちでいっぱいです。
今も元気にしてるといいな。
さて、しばらくして大学のみんなが集まり、スーツケースをバスに乗せ、いよいよ出発です。
ここからシドニー空港まで何時間とかかります。
初日、私は飛行機で酔ってゲロゲロしたあとに、休む間もなくバスに乗ったので、とてつもなく調子が悪い旅でした。
このときも、もちろん不安でいっぱいです。
酔い止めも買ったけど、飛行機で酔わないか。またゲロゲロしちゃわないか。空港に向かうのは、緊張も不安もありました。
それでも、向かうしかない。
みんなでバスに乗って、バスが進み始めました。
始めはみんなも和気あいあいと会話で盛り上がっていましたが、徐々に声が少なくなり、後半はほとんどの子が寝ていました。
私は飛行機で眠りたかったため、今眠るわけにはいかないと必死でした。
その代わり、窓からの景色を見られて、とても楽しかったです。最初は高速道路で左右の木々くらいしか見えませんでしたが、シドニーに近づくにつれ、商業施設が多くなっていきました。
この辺りにも住んでる人がいて、たくさんの建物がある。
ここも観光できたら楽しいだろうな、と思いました。
世界って広い。一ヶ月過ごしても、行ってない場所が星の数のようにある。
そろそろ着いたかな、と思うと着いてないことが多くて、一体どこまで送ってくれるのだろうとドキドキしていました。
すると、ついに停まったところは、シドニー空港入口の目の前でした。
みんなで運転手さんに感謝を言って、バスを降ります。
スーツケースを持って、いざシドニー空港へ。
このときは引率の先生がおらず、説明も何も聞かされてない中、私たちだけで行動するしかありませんでした。
なので、みんなで右往左往。どこが搭乗ゲート?スーツケースはどこに預ける?そもそもチケットはどうやって発券するの?
みんなで協力しながら、なんとかして通過することができました。
この迷っている時間込みの、早めの送迎だったんでしょうか……。
中まで入って、ブランドものの空間に、大興奮しました。
空港の中は、今回初めて入る場所なので、羽田空港のときもそうでしたが、中にたくさんのお店があると知りませんでした。
フライトの時間まで自由行動。
マックでポテトを買うか迷いましたが、酔うことも考え我慢。ブランドもののお店を見て回り、その値段に驚愕して過ごしました。個人的に時計が好きなので、ずらりと並んでいる様は圧巻で感動しました。
友達が勇気を出して店員さんに値段を聞いていて、桁違いさに震えが走りました。
こんな風にのんびりと過ごしていましたが、フライトの時間が近づくにつれ、やはり私の心臓はドキドキし始めます。
酔わないかな。そのことで頭がいっぱいです。
水を飲もうと、自販機で購入します。400円もしますが、しょうがない。調子が悪いときは、水を飲むに限ります。
出てきたペットボトルを飲んで、ふと、キャップに書かれた消費期限が目に入りました。
それが、なんと私の誕生日だったのです。偶然にしても、すごい。
この時私は、そうだよな、とストンと思いました。
帰らなくちゃ。
まだ、日本でやりたいことがたくさんある。
そう思うと、不思議と緊張が消え、力が湧いてきました。
この戦い、勝ってみせる。

長い夜、そして帰国

フライトの時間は、かなり遅れました。
大学のみんな、そして同じ飛行機に乗る人たちで待っていましたが、何があったのか、大幅に予定をずれていました。
困るのが、酔い止めを飲む時間。
フライトの30分前に飲めという指示があるのです。
しかし、予定時刻も過ぎ、いつ呼ばれるか分からない状況で、薬どうしよう!と焦っていました。
結局飲まないでいると、一時間以上してから急に呼ばれ、案内が始まりました。
そのとき私はちょうどお手洗いに行っていたので、慌てて荷物を持って、列に並びます。
薬、今か!?と思いましたが、でも、乗ってからも飛ぶまで時間かかるよな、と。
迷っているうちに、道を進み、気づいたら飛行機に乗っていました。
今回の座席は、通路側でした。大学側が勝手に決めるので選べなくて辛かったのですが、ここは運が味方をしてくれました。
まあ、前回は真ん中の席でゲロゲロして、左右にかけてはいなくても、迷惑をかけたのでね……。
着席してから、私は今だと思って薬を飲みました。
効いてくれよ、頼むから。
何分後かに、ついに飛行機が進み、離陸します。
離陸の瞬間は嫌いです(唐突)。体が押しつぶされそうになります。
また、行きも帰りも窓際でなければ、夜なので、ほとんど景色が見えません。
今度は窓から雲の上の景色、見てみたいな……。
機内食が運ばれてきますが、やはり私は食べることができませんでした。
せっかく初の飛行機で、機内食を楽しみにしていたのに、無念です……。
ひたすら酔わないことを祈りながら、眠くなるまで音楽を聞いて過ごします。
飛行機、なんであんなに真っ暗になるんでしょう。もっと明るい方が寝れるし、怖くないのに……。
しかし、私は帰りの飛行機で無事、眠ることができました。おそらく薬のおかげ。
気づいたら二時間くらい経っていて、嬉しくなりました。しかし、まだあと七時間残っている。
薬の間隔的に大丈夫だったので、また薬を飲んで、ぼーっとしたり音楽を聞いたりしました。
そして、長い長い夜が流れていきました。

朝になって、到着まであと一時間くらいほど。
私は、酔っていませんでした。
調子は悪かったのですが、吐き気はありませんでした。
嬉しくて嬉しくて、前の座席についている映画を見れる画面のところで、パズルゲームをしました。
途中で気持ち悪くなってやめましたが。
それでも、初めて飛行機が楽しいと思えました。やっぱり、空の上を飛ぶってワクワクする!
日本着陸が近づいてきて、最後の関門が残っています。
それは着陸時の揺れ。
タイヤが滑走路をこすれる音。
ここさえクリアできれば、完全勝利です。
さあ、来たぞ!
私は前の座席を掴んで、揺れに耐えました。他のみんなはそんなことをしていないので、一人だけ何やってるんだ、って状況ですが。
それ以上バウンドしないでくれ!と願いながら、飛行機が止まるのを待ちました。
そして、ついに飛行機が止まる。
勝った。乗り物酔いに勝った。
海外研修中の嬉しかったこと、トップ3に入る出来事でした。
飛行機を降りると、空気をいっぱい吸いました。
ただいま、日本。

海外研修 終

自分の飛行機に乗せたサブバッグ、なかなかベルトコンベアに流れてこないな、と思っていたら、随分と長い間流れてました。何回も見逃してごめんね。自分のじゃないと思ったんだ。
通路のところどころに桜が散りばめられていて、ああ、帰ってきたんだなと実感がわきました。
混み合っているお手洗いに行ってから、ゲートを通りました。
大学の先生のお出迎えがあるわけでもなく、現地解散だったので、結構最後はあっさりとしていました。
確かに大学のプログラムで行ったとはいえ、クラスも日常生活もバラバラだったので、一概に一緒だったとは言えません。
それでも私は、新しくできた他キャンパスの友人に、また遊ぼうねと声をかけました。
空港には家族が待ってくれていて、一ヶ月振りに再会を果たしました。
早朝だったので、まだ一日は始まったばかりでしたが、私にとっては海外研修の終わりの日でした。
ファミマでおにぎりを朝食代わりに食べ、一旦家に帰ったあとは、家族でお寿司屋さんに行きました。
ご覧の通り、日本食を大いに楽しみました。
家族や友達へのお土産を、家でテーブルに並べました。
意外に買っていたんだな、と思うと同時に、本当に海外に行っていちゃったんだと、今更ニヤニヤしてしまいました。
ベジマイトはまさかの好評でした。もっと買ってくれば良かった?
その日の夜、私は自分のベッドで眠りにつきました。
こうして、長い長い一ヶ月が、幕を閉じました。

体験記はまだ続きます

ここまで15回、読んでくださりありがとうございました。
これから海外研修に行く方の参考になると幸いです。
また、過去に海外研修や留学に行ったことのある方にも、楽しんで読んで頂けると嬉しいです。
海外研修は幕を閉じましたが、体験記はまだ続きます。
次回は、私が海外研修から学んだことをお話ししたいと思います。
また、その後も続ける予定です。
何かというと、ここからは「細々日記」になります。
今までの15回は、あくまで時系列に沿って、体験したことを書きました。
しかし、海外で体験することは、これだけじゃありません。
なので今後は、時系列は無視し、印象に残った体験・経験を書いていきます。
私自身、振り返りになって楽しいので、これからも多くの人に体験記をお届けしていきたいと思います。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
では、また。
自分、一ヶ月、本当にお疲れ様!!

追記
帰国してしばらくは、当分飛行機はいいかな……と心から思いました。

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