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【ショートショート】赤い糸


男には、赤い糸が見えていた。

小指から小指へと繋がる赤い糸。ここ日本では、運命の人間同士が繋がっているといわれている。

男の小指に結ばれている赤い糸は、同じ職場の女と繋がっていた。




繋がっていたから、この職場で働きだした。


女と会話をしたことはない。そんな仲ではない。男は、それでも女の事をよく知っていた。

誰と仲が良くて、どんな服装が好みで、どんな食事をしているか。彼氏がいる事。ここ1ヵ月は性交渉がないこと。何時に家を出て、何時に帰宅するのか。就寝時間は何時か。何時に入浴をして、どこから洗うのか。排泄は1日何回か。排尿と排便の割合は。量は。

男は、女のすべてを知っていた。出会って1ヵ月ですべてを調べた。時にはカメラにその姿を収めた。もう、知らないことはない。男は女のすべてを知った。


行動に移る時だ。男は身支度を済ませ、女の帰宅を待つ。




帰宅した女は、部屋に立つ男に驚くが、すべてを理解し命乞いをする。そんな女の頭を、男は拳銃で撃ち抜いた。






「はい、地球防衛軍日本支部です」


「わたしだ。ピポムラス星人、討伐完了。死体の画像、生態についてのデータを転送する。確認後、報酬を頼む」


「いつもありがとうございます、ウバ様。確認後、報酬を振り込ませていただきます。今後も、地球外生命体の討伐、死体処理のご協力、お願い致します」




2000年。世界政府は、地球に棲息する地球外生命体を完全に駆除するため、地球防衛軍を健軍。

2024年現在。地球に棲息を認められた地球外生命体はいない……。


ピポムラス星人

人間に擬態し、地球で暮らす地球外生命体。人間を捕食するため、地球防衛軍より駆除の対象に指定される。



 





ノコリン星人

人間に擬態し、地球で暮らす地球外生命体。好戦的な生命体のため、地球防衛軍より駆除の対象に指定。



好物であるピポムラス星人との間に、赤い糸が見える能力を要する。


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