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【ショートショート】光の射すほうへ


生まれたとき、わたしには手足がなかった。暗い部屋に閉じ込められ、そこから身動きは取れなかった。

わたしはそれを、悲しいとは思わなかった。まわりに仲間が居たからだ。身動きは取れない。でも、彼らと意思疎通はできた。


孤独ではなかった。


暗い部屋に閉じ込められ身動きは取れない。孤独だったなら、きっと正気ではいられなかっただろう。

この世に産み落とされた理由なんてわからない。毎日のように吹く風に身を揺らしながら、わたしは考えた。



生まれた理由がきっとあるはずだ。



この暗い部屋には、1箇所だけ扉がない場所がある。そこから差し込む光に、わたしは希望を見出していた。

こんな暗い部屋はイヤだ。仲間はたくさんいる。でも、ここは自由じゃない。こんな場所は、抜け出すべきだ。


わたしは生まれたときより成長していた。大きく強くなった。光の差すほうへと、その身を伸ばす。

もうすぐだ。もうすぐわたしはここから飛び立つ。みんなのことは好きだ。でも、わたしはそれでも、外の世界が見たい!


孤独ではなかった。でも満たされなかった。孤独よりも怖いのは、自分のこころを殺すことだ。仲間は大切だ。でも、それでも……



わたしは、わたしだ!



わたしは光の差すほうへ、精いっぱい身体を伸ばす。わたしは光の外へと、その身を伸ばす!!









「あははは。ウバったら、鼻毛でてるって。ちょっとお、しっかりしてよ」

「えっ?ああ、マジじゃん。ほんと恥じぃ……」









ブチッ!



ここまで読んでいただきありがとうございます。
鼻毛って、ほんと不意に出てる




それでは、佐世保の隅っこからウバでした。


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