ええねん会議【毎週ショートショートnote】

「大丈夫でしょうか？」
「自信をもってプレゼンしよう」

念願の商品開発部門に配属されてから３年が経っていた。試作を繰り返して、満足のいく商品を完成することができた。

いよいよ通称『ええねん会議』を迎える。これまでの評価はずっと『精進』だった。

「先輩。なぜ『ええねん会議』と言うのでしょうか？」
「社長が『ええじゃないか』って言うと採用になるんだ」

「『ええねん』ではなくて『ええ』の方なんですね。では『ねん』の方はどういう意味でしょうか？」
「ああ、そっちは『年貢』ってつぶやくんだ」

「年貢？ですか」
「年貢の納め時ってことだな」

「それは、つまり…」
「まあ、他部署への異動だな」

３年で結果が出ないと『精進』が『年貢』に変わるとのことだった。

…

「…以上です」

しばらくの沈黙のあと、社長が立ち上がると阿波踊りのようなものを始めた。役員達も一斉に立ち上がって踊り始めた。

「やったぞ！ええじゃないかだ」
「先輩っ！辞表の書き方を教えてください」

（410文字）

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