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決闘年越しそば【毎週ショートショートnote】

海津城にいる武田軍は膠着状態を打開するため作戦を立案した。妻女山を陣取る上杉軍を別働隊に攻めさせて麓の八幡原に追いやり、待ち伏せした本体と挟撃する作戦である。

八幡原に鶴翼の陣を敷いた武田軍は決戦早朝、川中島を包む深い霧が晴れた時、驚愕した。なんと、目の前に上杉軍が布陣していたのだ。車懸りで攻撃を仕掛けられ防戦一方の武田軍は壊滅寸前のところ、別働隊が到着してなんとか反撃することができた。結果、明確な勝敗はつかなかった。

両者睨み合いのまま、信玄と謙信は没し、豊臣秀吉の世となった。

川中島の戦いで疲弊した甲斐国と越後国は経済力を回復するために特産品の生産を奨励した。特産品を全国で販売するには秀吉の承認が必要である。

甲斐国は饂飩を、越後国は蕎麦の販売権を得るためお互い出し抜こうとしていた。そこで秀吉は一考した。

「大食い者を選び、より多く食べた方に販売権を認める」

日取りは大晦日に決まり、決闘の末、蕎麦が勝利したのだった。

(410文字)



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