沸騰!予算会議(レプロエンタテインメント)【観劇】と浅草散策
レプロエンターテイメントの「沸騰!予算会議」を浅草九劇で観劇しました。きっかけはアガリスクエンターテイメントの冨坂友さんが脚本・演出をされていたからです。
内容は部活の予算を高校生の生徒が決める会議でした。決められたルールと時間の制約のなかで、背景は個々に色々とありますが、各部活動の代表として臨む会議の熱量はまさに沸騰していました。会話のテンポも間もよくて105分間ずっと楽しめました。
決められた予算内で収めるために各部活動が要望してきた予算金額を削るという行為は、一般社会の会社のなかで日常的に行われていることです。会社で何かを購入するときは必ず「必要なの?」「費用対効果は?」と問われますからね。
モデルは千葉県にある国府台(こうのだい)高校で実際に生徒による「予算会議」が行われていたそうですが、現在は教育上の問題で行われていないようです。「教育上」って理由が気になりますね。
「教育」とは何なんだろう?改めて自分なりに考えてみました。
「予算会議」のような金銭感覚を学生のうちから養うことは社会に出て役立つ「教育」なのではないかと思いました。しかし、社会で役立つものだけが「教育」なのか?という疑問も湧いてきました。
劇中で吹奏楽部が高額の楽器を購入したいと要望したときに、他の部から「どんな楽器?」と質問されます。吹奏楽部の部長は「ドラえもん」を例に返答したときに観客が沸きました。「ああ、あれか」と思ったはずです。
でも「ああ、あれか」と笑えた人は「ドラえもん」を知っていたからです。「ドラえもん」を知らない人は「何のこと?」と疑問が残ったままです。
何が言いたいかというと「知識が多いほど笑いが増える」、つまり心が豊かになるんじゃないかなと思った次第です。
「教育」とは社会人になっても直接役に立たない知識も蓄えて、笑える機会を増やして(笑い以外にも気づきの機会を増やして)、結果、心が豊かになっていくものではないかと思いました。
あと、冨坂さんの脚本の特徴として「時間とルールの制約」がスパイスとして加わっていると思います。
以前観劇したアガリスクエンターテイメントの「SHINE SHOW!(シャイン・ショ―)」もカラオケ大会のタイムテーブルに沿って進行して、時間的に切羽詰まったやり取りが面白かったです。本作も残り10分の切羽詰まったやり取りは、役者さんの演技も見事で、観客も含めて会場全体で何とかしてあげたい気持ちになりました。そして最後には自然発生的に会場全体で拍手喝采となったのが感動的でした。
ちなみに折角、時間管理をしているのなら黒板の上にあった時計も初めから合わせておいた方が良かった気がしました。
会議資料では初日の開始時間が15:50でしたが開演前の時計が14:50になっていたのがちょっと気になりました。予算会議の最終日だけ場面転換で時計の針を合わせていましたが、他の日も会議時間内の時刻を合わせていればよりリアリティがあり、最後の時間との勝負も印象深くなったと思います。
あと会議全体は監査によるルールの理詰めでしたが、感情面では「私的なそういうこと」がキーワードになっていました。学校で「教育」以外に養う、もう一つの大切なものだと思いました。
さて、観劇が終わり退場時に書道部の机の上に会議資料が残っていたのでチラッと見てしまいました。そこには、可愛らしいキャラクターが落書きされていました。終始、予算会議には一定の距離を置いていた書道部部長らしく、リアリティがあるなぁと余談ながら思ってしまいました。
本文を読んで興味を持って頂いた方は、冨坂友さん脚本の「SHINE SHOW!(シャイン・ショ―)」をお薦めします。チケット販売中です。
観劇前後の浅草散策についてもご紹介します。