オバケレインコート【毎週ショートショートnote】祈りの雨【青ブラ文学部】
降水確率は80%だった。
小学生の息子と一緒にスタジアム観戦する約束をしていた。念のため息子に「今日はどうする?」と聞いてみた。スタジアムには屋根がないからだ。
「なんのこと?」というような顔をしていた。天候に左右される息子ではなかった。雨の日のスタジアムはいつもよりも熱い。天候に左右されないサポーター達が集まるからだ。
家を出るときはまだ雨は降っていなかったが、いつ雨粒が落ちてきてもおかしくない、どんよりとした黒い雲に覆われていた。
前半はしょっぱい試合だった。前半終了間際の失点も頂けない。前半終了後、息子はなにやらお祈りをしていた。
「お父さん、オバケレインコート出して」
ポツポツと雨が降り始めた。カバンからポンチョを取り出して息子に被せると、一瞬、嬉しそうな顔をした気がした。
試合の結果は見事な逆転勝ちだった。
「なにをお祈りしてたの?」
「前に観戦したとき、雨が降ってきて勝ったんだ。だから雨よ降ってくれって祈ったんだ」
(410文字)
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お題は「祈りの雨」です。
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