フリー台本「ケーキとカフェオレ」(4人台本)作:書木持 沙羅
☆登場人物
さとみ 喫茶店に来たお客さん。女性
店員 喫茶店「憩い」の店員。性別不問
男店員 喫茶店「憩い」の店員。男性
課長 さとみの上司。男性
☆あらすじ
駅の中にカフェ
そこに来店してくるあ客さんたちは少し変わってる?
無さそうである話。
ゆっくりと流れる時間
何か特別なことがあるわけではなくて……
※太字はト書き
都内、ひっそりと佇むカフェ『憩い』にて
客たちは静かに、作業をしたり、話し合ったりしている。
お店のドアが開く、
新しいお客さんの来店である。
さとみ「ショコラケーキのケーキセットで、」
店員 「お飲み物はどうされますか?」
さとみ「カフェオレのホットで」
店員 「かしこまりました。」
さとみは財布を用意し、お金が足りているか確認している。
カフェオレを入れる店員。
男店員 「めちゃくちゃ可愛くないっすか?」
店員 「ん?誰が?」
男店員 「ほら、今来たケーキセットのお客さん」
店員 「へぇーあいうタイプが好きなんだ。」
男店員 「ま、そーっす」
店員 「じゃ、これ出してきて」
男店員 「はーい」
ケーキをさとみに提供する男店員
男店員 「こちら、ショコラケーキとカフェオレです。」
さとみ 「ありがとうございます」
さとみ、席につき、パソコンを広げる。
男店員 「お礼言ってくれる人、良いっすよね」
店員 「はいはい、手を動かしてね」
男店員 「何考えてんだろーな、カフェにいる人って」
店員 「えー、仕事のこととか、勉強のことでしょ」
男店員 「気になりません?」
店員「まぁ少し」
男店員 「覗いてみます?あの人が考えてること」
店員 「覗いてみるかー」
男店員 「よし、それじゃー
あの人が、カフェオレを飲みきるまで、
再生」
すると、店内のあかりが、一瞬ピカっと鋭くひかる。
さとみ 「今日だけ、今だけ
私はいい女になれる
仕事にやつれて、家は散らかってる
でも、カフェオレとケーキを食べる間だけ
世界一優雅な女でいられる気がする」
男店員 「仕事を頑張ってるだけで、いい女だと思うけどなー」
店員 「のんのん、そーじゃないのよ
常に完璧でいたがる物よ、女ってのは」
男店員 「えーそうなんっすか?」
店員 「あんたは違うかもしれないけどさ、インスタとか、
ユーチューバーとか流行ってるだろ?
モーニングルーティンとかさ、
あぁ、この人はこんな暮らししてるのに、
自分はって比べて悲観的になるんだよ」
一口さとみがカフェオレを飲む
さとみ 「またミスしちゃった」
仕事現場が映し出される
課長 「あのね、なんでこんな簡単な書類に時間かかってんの?」
さとみ 「すみません」
課長 「はぁ、僕だからこうやって時間をとって話してあげてるの。
他の人なら君、見捨てられてるよ」
さとみ 「はい」
課長 「じゃ、次これね」
書類をさとみに手渡す
それを見守る店員2人
男店員 「何すっか!あれ」
店員 「まぁ、社会に出れば、理不尽なことはたくさんあるからね」
男店員 「でも、あんなの脅迫と一緒じゃないっすか」
店員 「そうだね、きっと悔しかったろうな」
さとみ 「わかってるよ、くっそなんで、
仕事も碌にしてないような上司に言われなきゃいけないんだよ
やれば良いんでしょ!」
さとみ、パソコンに向かい仕事をこなしていく
家に移り変わり
仕事服のまま、メイクも落とさず、眠ってしまう
その部屋は、服やインスタント食品が床に転がり、
きれいな部屋とは言えない
男店員 「働くって大変っす」
店員 「そうだね、でもあんたも今、働いてるだろ」
男店員 「それとこれはなんか違うような」
店員 「自分のためとか、誰かのためとか
何かのために働ける人はかっこいいよ」
男店員 「確かにそうですね」
カフェに戻る
さとみがカフェオレを飲み干す
さとみ 「お会計、お願いします」
男店員 「はい、1100円です。」
さとみ 「これで」
トレーに2000円を乗せる
男店員 「あの!お仕事、お疲れ様です
ほんと、かっこいいっす」
さとみ 「ありがとうございます?」
男店員、会釈程度に頭を下げ、お釣りを撮りに行く
男店員 「お釣り、900円です
ありがとうございました!」