文字

 昔から、字が汚いと言われる。言われるだけでなく、自分でもそう思う。自分で書いた字を自分で読めないなどということが平気で起こる。

 一度、仕事中にファイルの表紙に「何月請求書」のように、タイトルを書くように言われた。字が汚いので自分じゃない方が良いですと言ったのだが、大丈夫大丈夫、どれだけ汚くても良いからと返されて、渋々書いて提出した。それから1年以上経つが、以降私がファイルにタイトルを書いたことはない。

 なので、できるだけスマホやらパソコンやら、手書きでなくデジタルで文章を書くことを心がけている。何せ、メモ書きをしても後から自分ですら振り返れないのである。そうした方が誰にとっても良い。

 宮部みゆきの小説『ステップファザー・ステップ』に登場する主人公の泥棒は、ミミズののたくったような字を書いてしまうから、学校に提出する資料をワープロで打っていたと読んだ記憶がある。気持ちがよくわかる。

 言い訳をするのであれば、私が左利きだということがあるだろう。箸も鉛筆も左で、右でやるものなどパソコンのマウスくらいのものである。それはそれで、仕事中にパソコンを操作しながら持ち替えずにメモを取れるので、便利ではあるのだが、そのメモが読めないのでは意味がない。

 日本語、に限らず、多くの文字はマジョリティの右利きにとって都合が良いように作られているので、左手で書こうとしたらうまくいかないのは当然だろう。習字の時など嫌で仕方なかったのを覚えている。

 しかし、左利きでも字が綺麗な人はいる訳で、調べてみると左利き用のペン文字練習ドリルなんてものもあるそうで、折りをみてやってみたいところである。

 こうしてやりたいことばかりたまっていくけれど、納得のいく成果は得られないまま今に至る。何か1つやり切るところから始めるべきである。

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