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かつて気の置けなかった人たちと

 前々から使用している一人用の鍋を新調した。アルミ製の100均で買った代物だったのだが、持ち手のところが火に炙られ続けた結果、少しずつ崩壊し始めていたのである。そこで今回はそういうことのないようにと、同様に100均で売られていた土鍋を買ったのだが、これはこれで入る量が少ない。持ち手も小さいので下手をすると落として大惨事になりそうな気がして怖い。慣れるしかないか。

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 先日、学生の頃のコミュニティの集まりがあって、参加してきた。日頃あげる、TRPGやカードゲームを行うコミュニティとはまた別のコミュニティである。こちらもこちらでまあまあぶっ飛んだ人が多いところではあり、しばらく関わりがなかった為、参加するのは控えようと思っていたのだが、人数が少ないから参加してくれと言われて赴いた形である。

 前述の通り、学生の頃こそこのコミュニティにはよく出入りしていて、そこそこの中心人物になっていたりもしたのだが、それから数年経ってあまり集まることもなかった以上、少し気後れ感があった。最たるところはメンバーの顔と名前である。例によって、私は人の顔と名前を覚えることができない。もちろん、当時は頻繁に会っていた為覚えていたが、今となっては怪しいと言わざるを得ない。とはいえ、参加すると言った以上反故にする訳には行かないので、周囲の話に耳を傾け、その中で呼ばれる名前を聞いて思い出していくことにした。だが、この心配はある意味では杞憂だった。

 現地となった貸し会議室では、相変わらずのどんちゃん騒ぎ状態で、誰も彼も大騒ぎといった有様で、変わらないなぁとしみじみ思ったりもした。人の顔と名前を覚えていない為、その中へ入るのは難しいと思っていたのだが、どうやら顔と名前の不一致は私に限ったことではなくて、周囲ではしょっちゅう「名前何だったっけ?」「誰だったっけ?」というやりとりが繰り広げられていた。もはやそれをエンタメ扱いにして「私は誰でしょう」とくる人に問題を出している人もいたりして、その辺りはなんというか、さすがだなといわざるを得なかった。

 ざっくり4時間ほど過ごしたのち、お開きとなって、各々が帰る中、私は二次会に行こうかどうか悩んでいて、あまり目立ったことをしていなかった為、私が行ってもしょうがないんじゃないかと思っていたのである。しかし。思い切って二次会のグループに紛れてみると、なんでいるのというような目を向けられることもなく、代わりにキン肉マンの布教をされたので、受け入れてもらえていることが実感できてよかった。こういった、過去楽しくやっていたグループであっても、年単位で時間が過ぎてしまえば再び輪に入っていくことに不安を感じてしまうのは私の悪い癖である。そんなことをするようなメンバーではないとわかっているのに、そういったことを考えてしまうのだから、自分のマイナス思考はどうにかしたいものである。

 二次会はラウンドワンでオールするとのことで、さながら学生の遊び方である。個人的に嬉しかったのは、支払い等をする中で、ある人が言った「このメンツでオールで遊んでこの金額なら全然アリだな」という言葉である。実際に私も支払いの金額を見て安いと思ったのだが、その人の中で遊んで楽しいメンツの中に私が入っているということが嬉しかったのである。元々その人は例にもれずぶっ飛んだ人で、高身長で威圧感がありながら非常に優しく、口を開けば性癖について語り出すという色々な方向へ振り切れた人物であり、それ以上にリーダーシップと社交性を持っていることから密かに尊敬していたのだが、学生当時ならまだしも、今の時点でそう言われたことは、私を安心させてくれたのである。

 カラオケで他の人が熱唱するプリキュアに対抗して仮面ライダーを入れたり、ボウリングでカーブを投げようとしてひっくり返ったり、ダーツで明後日の方向に投げたと思ったら次の回で3本ともトリプルに入れたりと、様々なことがあったが、気づけばあっという間で夜が明けて、始発の時間となり解散した。やはり、こういったオールで遊び呆けるというのは非常に楽しいものである。翌日に仕事がないという注意点があるが。

 先に書いた通り、私は新しいコミュニティはもちろん、かつていたコミュニティにも期間を空けていると入りにくく感じてしまう。少人数であるなら問題ないが、大人数だと萎縮する。今回は大人数だったので、かなり辛い思いをしていた。しかし、そんなことを気にしていたのは私だけだったようで、周囲の人は普通に話かけてくれたし、私が話をふっても答えてくれた。考えすぎるというのは私の欠点だが、それが今回出ていたということである。コミュ障の悪い点と言えるだろう。

 次に会うのはいつなのかわからないが、是非また会いたいと思う。かつて気の置けない関係だった人たちは、数年経っても気の置けない人たちだった。それが知れただけでも、参加してよかったと言えるだろう。

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