トーキョー2

それから高校は部活の推薦でトントンと進み、大学をどうするか考える頃、またあの熱が帰ってきた。
おら、東京さ行くだ。

しかし親から実家付近の県内でという制限を設けられ、追加で一人暮らしするなら国公立という条件も付いてしまったことで、東京への夢は儚く散った。

高2の進路希望調査には、
第一希望 和菓子職人 
第二希望 ひよこ鑑定士か教育課程のある大学
という、担任を悩ませる希望を書いていた。
しかも同じクラスのムシコもあやのもひよこ鑑定士志望で、希少であるはずの希望者がクラス内に3人もいるというトリッキーな(うまい)現象が起きていた。
担任と両親に「大学を出てから考えても良いのではないか」と説得され、しぶしぶ受験を決めたが、普通科の大学生活に興味がなかった私は、というと格好良いが、実際は部活漬けの高校生活を送っていた私の絶望的な学習能力を補うべく、実技優先の美大に進学することに決めた。

こうなればこっちのもんである。まわりが自習室に通う中、人と違うことにドヤっちゃった勘違い高校生は、1人画塾の門を叩いた。

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