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ガラスは砂から、導電・耐熱材料は黒鉛から作る『窯業・土石製品』*日本経済68業界

日経平均株価(225銘柄)で登場する
合計68業界の動向を紹介します。

素材の『窯業・土石製品』

窯業(ようぎょう)は、
粘土、ケイ砂、石灰岩などの
非金属原料を高熱処理して、

陶磁器、瓦、ガラス、セメントなどの
セラミックス(窯業製品)を製造する工業。
窯(かま)を使用するため窯業と呼ばれます。

例えば、
砂などの材料を約1500度の高温で
溶かして「ガラス」を作ります。

黒鉛(天然/石炭コークス)からは、
導電材料・耐熱材料・潤滑剤・機械部品・半導体
家電製品などで使用される「ファインカーボン」、
タイヤやゴム等で使用される「カーボンブラック」、
鉄スクラップを電気溶解する「黒鉛電極」、
などの炭素材料、炭素製品を作ります。

▼業界動向
2014年→2021年    横ばい
2022年→2023年    成長

▼業界平均
・売上高   :8090億円
・営業利益率 :7.26%
・自己資本比率:48.39%
・ROE          :7.88%
・ROA          :5.21%

※用語の詳しい説明は文章下段の
 【経営の基礎知識】から確認できます。

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1位 株式会社日立製作所
減収減益:売上9兆7287億1600万円/24年3月期


送配電網や鉄道など社会インフラ事業における
豊富な受注残が業績に貢献しています。

冷蔵庫や掃除機などの生活家電をはじめ
調理家電や空調家電、コンピュータ製品など

電機メーカーとして高い知名度を誇ってきましたが
事業範囲は幅広く、デジタルによる持続可能な
社会実現を目指して、IT分野として
金融・社会システムなどの事業を展開しています。

実績としては、
工場インフラをシェアできるスマート工場や、
タッチレス化に対応する空中入力装置の開発など、
数多くのプロジェクトを手掛けています。

デジタルトランスフォーメーション(DX)推進支援など
情報技術(IT)分野の収益増も寄与して最終増益。

ちなみに、DXの技術として代表的なものは、
「IoT」「AI」「ビッグデータ」「クラウド」
「ICT(情報通信技術)」「RPA(自動化)」
「XR(仮想世界の知覚技術)」の7つです。

25年3月期は1兆円の投資枠を設定。
生成AI(人工知能)に3000億円、製造分野のDXや
グリーントランスフォーメーション(GX)に2000億円、
社会インフラ関連サービスに2000億円、
機動的なM&A(合併・買収)に3000億円。

日立製作所のグループで自動車部品を行っていた
日立オートモティブシステムズ株式会社が、

Honda系の株式会社ケーヒン、
株式会社ショーワ、日信工業株式会社を統合して
2021年1月に日立Astemo株式会社に社名変更。

2023年10月、
株式会社日立製作所は、日立Astemo株式会社の
出資比率を66.6%から40%に引き下げるとともに、
連結子会社から外して持ち分法適用会社にしました。
日立Astemo株式会社の業績が計上されないため減収。

代わりに、本田技研工業株式会社(Honda)が
日立Astemo株式会社の
出資比率を33.4%から40%に引き上げています。

取り扱う化学品・工業品には、
家電製品の原材料となる合成樹脂(プラスチック)や、
家電製品で使用されるファインカーボン
(導電材料、耐熱材料)などがあります。


2位 日本製鉄株式会社
増収減益:売上8兆8680億9700万円/24年3月期


高炉製鉄を主力事業として
特殊鋼/合金鋼/ステンレス/鋳鍛鋼の製造、
圧延加工(管/板/棒)など
鉄を中心とした金属製品を取り扱っています。

中国景気の悪化で鋼材の国際市況が低迷する中、
国内においても資材費高騰や人手不足の影響があり
建築向けを中心とした鉄鋼需要が伸び悩みました。

人件費や減価償却費などのコスト増加もあり減益。

23年12月、
アメリカ鉄鋼大手USスチールの買収を発表。
24年7-12月、約2兆円で買収完了見込み。

反対する全米鉄鋼労働組合(USW)や
アメリカ議員らの説得を続けています。

グループ企業の日鉄ソリューションズ株式会社は
製鉄業で培った日本製鉄の豊富な経験と
高度なIT力を活かしたソリューションを提案。

アメリカ、イギリス、中国、シンガポール、
タイ、インドネシアの6カ国の海外拠点とともに、
お客様のグローバルな競争力強化を支援しています。

早くからクラウド・コンピューティングに取り組み、
北九州市にサービス拠点を開設し東西二拠点化を実現。
より安全な運用と最新鋭のデータセンターや
クラウドを含めてお客様に最適な基盤を提供する
「NSFITOSセンター」を開設。

IoT・AI・5G・ビッグデータ・5G等のITを活用し、
お客様のDX実現を支援するために以下設立。

・2016年4月「IoXソリューション事業推進部」
・2017年10月「AI研究開発センター」
・2020年4月「エンタープライズ5G事業推進部」
 「DX&イノベーションセンター(DXIC)」
・2021年4月には「デジタル製造業センター」

※「IoX」=IoT(Internet of Things)、
 IoH(Internet of Humans)を含むソリューション

日本製鉄グループの化学メーカー
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社では、

コールタール(石炭を高温乾留する際に
生成される油状物質)やコークス炉ガス
(石炭をコークス炉で乾留した時に出るガス)
などを主原料とする石炭化学と、

ナフサや分解ガソリン、改質油などを
主原料とする石油化学を融合し、
基礎化学品を生産しています。

ベンゼン、トルエンなどの芳香族化学品、
スチレンモノマー、農薬原料、特殊溶剤など、
独自の製造プロセスと原料構成で
安定したコストパフォーマンスを誇っています。


3位 三菱ケミカルグループ株式会社
減収増益:売上4兆3872億1800万円/24年3月期


2005年、化学メーカーの三菱化学株式会社
(現:三菱ケミカル株式会社)と、
医薬品メーカーの三菱ウェルファーマ株式会社
(現:田辺三菱製薬株式会社)との株式移転により、
両社の共同持株会社として設立されました。

化学品、医薬品、ガス、電池材料、
樹脂などの総合化学企業として
化学繊維(合成繊維、炭素繊維など)も製造。

具体的な繊維は、
ポリエチレン (PE)、ポリプロピレン (PP)、
ポリスチレン (PS)、ポリ塩化ビニル (PVC) の
など汎用樹脂(汎用プラスチック)、

耐熱性、耐摩耗性、耐衝撃性、
透明性、耐薬品性に優れているエンプラ樹脂、

ゴムと同様の弾性と高温加熱で軟化する
熱可塑性があるエラストマー(弾性化合物)、

木材パルプなどの植物由来の原料を使用し
安価でシルクのような肌触りのアセテート繊維

アクリル樹脂、炭素繊維強化プラスチック、
工業用化学品、石化原料、溶剤、樹脂複合材、
合成紙、製造工程材、電池材料、
ディスプレイ材料、イメージング部材、
照明材料、半導体材料、絶縁材料などがあります。

アクリル樹脂原料MMA事業も復調。
ディスプレイ向けフィルムや
半導体向けなどで高機能材料も伸びました。

石油化学事業の市況は回復傾向ですが
国内設備の過剰感が強く生産体制の最適化を進め、
資産効率やコスト構造の改革を進めています。

旭化成株式会社、三井化学株式会社と共同で
基礎化学品エチレン生産設備の脱炭素化の連携検討。


4位 TDK株式会社
減収増益:売上2兆1038億7600万円/24年3月期


1935年にフェライトの工業化を目的に設立した
東京電気化学工業株式会社が起源。

フェライト(酸化鉄が主成分のセラミックス)や
誘電体、圧電体などの電子材料をベースとした
電子部品全般のメーカー。

ハードディスクドライブ(HDD)用の
ヘッド部品(データを読み書きする部品)製造では、

2008年、アルプスアルパイン株式会社が
ヘッド部品の製造から撤退したため、
HDDメーカー以外でHDD用ヘッド部品を製造する
唯一のメーカーとなり最大手。

OEM(他社ブランド製造)市場のシェアは30%超え、
HDD用サスペンション(ヘッドを支えるフレーム)や
精密加工部品などを製造・販売しています。

スマートフォン向け小型リチウムイオン電池が、
生成人工知能(AI)搭載新機種や、
買い替え需要により伸びています。

電気自動車(EV)の販売減速や、
中国市場の減速で産業機器関連が伸び悩んでいます。

27年3月期を最終年度とする中期経営計画で、
連結売上高2兆5000億円、
営業利益率11%以上を目指しています。

ROIC(税引前営業利益÷投下資本)は、
27年3月期に8%まで引き上げる方針。
(7%以上で資本能力が良いと判断されます)


5位 AGC株式会社
減収増益:売上2兆192億5400万円/23年12月期


2007年、
旭硝子株式会社が創立100周年を迎えた際に
グループブランドをAGCに統一しました。

半導体向けの需要が回復し、
円安による増収効果もあり営業増益を確保。

バイオ医薬品の開発製造受託(CDMO)事業で
1183億円の減損損失を計上しています。

横浜市でCDMOの生産能力を拡大。
・25年から遺伝子・細胞治療薬向け
・26年からメッセンジャーRNA医薬品向け
約500億円を投じて各サービスを始めます。

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【経営の基礎知識】これさえ分かれば大丈夫!

[ 損益計算書(PL) ]

売上高(客数 × 客単価)
−原価   :仕入など製造原価、人件費など売上原価
−販売管理費:営業活動費、物流、広告、水光熱など
=営業利益

−営業外損益:銀行利息、為替損益、株式損益など
=経常利益

−特別損益 :突発的な損益、固定資産の売却など
−税金   :法人税、法人住民税、消費税など
=当期純利益

営業利益率(=営業利益 ÷ 売上)
5%〜10%で優良な経営状況といえます。


年間の経営活動で得た当期純利益を
利益余剰金として自己資本(純資産)に加える。

ちなみに、自己資本(純資産)と、
銀行などから借りた他人資本を合わせた
「総資産」が会社のお財布になります。

自己資本比率(=自己資本 ÷ 総資産)
少なくても30%、50%以上で優良な経営状況。

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[ 貸借対照表(BS) ]

ROE(=当期純利益 ÷ 自己資本)
自己資本(純資産)は、返済不要な資産、
ROEは、自己資本利益率の略になります。
10%以上で投資価値があると判断されます。


ROA(=当期純利益 ÷ 総資産)
総資産は、自己資本(純資産)+他人資本(負債)、
ROAは、総資産利益率の略になります。
5%以上で投資価値があると判断されます。

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