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世界自動車の約3割が日本車『自動車』*日本経済68業界

日経平均株価(225銘柄)で登場する
合計68業界の動向を紹介します。

輸送機器の『自動車』

日本の製造業を牽引する基幹産業。
1台当たりの部品数は2万~3万に及び、

鉄鋼、繊維など素材産業は自動車産業への依存が高く
設備投資や研究開発費等の波及効果も大きいです。

自動車産業は、
・国内全就業人口の8.2%
・全製造業の出荷額17.1%
・輸出総額17.6%
と高いシェアを誇ります。

生産体制はグローバル化が進み、
日本メーカーにおいても
現地工場は四輪車だけで35ヶ国(180工場)。

海外生産を含めた日本企業の世界シェアは
生産台数で3割程度ありますが、

2022年のウクライナ侵攻で
2023年までにロシアからは撤退。

中国においては現地勢の低価格攻勢で、
日本車の販売台数は2020年をピークに2割減。

▼業界動向
2014年→2019年 横ばい
2020年     下落
2021年→2023年 成長

▼業界平均
・売上高   :3兆3125億円
・営業利益率 :8.62%
・自己資本比率:39.97%
・ROE          :12.78%
・ROA          :6.48%

※用語の詳しい説明は文章下段の
 【経営の基礎知識】から確認できます。

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1位 トヨタ自動車株式会社
増収増益:売上45兆953億2500万円/24年3月期


24年3月期は日本企業初、
グループ連結の営業利益5兆円台を突破しました。

販売好調の反動を市場環境と捉え、
取引先や販売店への費用支援を行い、
成長領域にも積極投資。

25年3月期は減益となる見通しですが
ハイブリッド車(HV)の
世界販売台数は447万台の見込みで好調。

*世界シェアは約6割とされ
 過去最高だった24年3月期実績(359万台)を
 さらに上回る見立てです。

*レクサスを含むトヨタ単体の
 販売台数は24年3月期1030万台

*グループのダイハツ工業株式会社と
 日野自動車株式会社を含むグループ
 総販売台数は24年3月期1109万台

2016年にトヨタの子会社になった
ダイハツ工業株式会社と、
かつてトヨタ(自動車製造部門)を一部門としていた
株式会社豊田自動織機の
出荷停止があった日本を除いて、販売台数が増加。

レンタカー・カーリース事業は、
株式会社トヨタレンタリース横浜
株式会社トヨタレンタリース神奈川など、
1ブロックに1社で全国54社が店舗を出店。

東京エリアは、
トヨタモビリティサービス株式会社
(23区、武蔵野三鷹、成田空港)と、
株式会社トヨタレンタリース多摩に
ブロックが分かれています。


2位 本田技研工業株式会社
増収増益:売上20兆4288億200万円/24年3月期


想定為替レートは
前期よりも5円円高の1ドル=140円に設定。
円換算の海外売上高が目減りし減速。

主力市場の北米では、
ハイブリッド車(HV)をはじめとした
好採算車種が伸びて営業最高益が続いています。

中国では、
四輪車の年間生産能力を削減し、
現地メーカーとの競争激化に伴う
販売の落ち込みに対応しています。

グループ会社の
ホンダモビリティソリューションズ株式会社や
株式会社ホンダモビリティ南関東など9社が
運営している

Hondaのカーシェア・レンタカーサービス
「EveryGO」は福島、埼玉、千葉、東京、神奈川、
愛知、大阪、兵庫、奈良、福岡、佐賀、沖縄に
計248ステーションを展開。

また、
ホンダは世界シェア約30%のバイクメーカー。
株式会社ホンダモーターサイクルジャパンは、
バイクレンタルサービス「Honda GO」を展開。


3位 日産自動車株式会社
増収増益:売上12兆6857億1600万円/24年3月期


為替の円安効果で増収していますが、

主力のアメリカ市場で在庫が増えており
販売台数を伸ばすために
ディーラーに支払う奨励金が大幅に膨らみ
採算が悪化して営業利益は1割減少。
税負担や減損損失も増え純利益は3割減。

シェアが低下傾向のアメリカ市場で
人気ガソリン車、新型「キックス」を発表。
需要が高まるハイブリッド車を
投入できないことによる機会損失を補っています。

レンタカー事業では、
株式会社日産カーレンタルソリューションが
日産レンタカーを全国約350店舗展開。


4位 スズキ株式会社
増収増益:売上5兆3742億5500万円/24年3月


日本やインドを含むアジアの販売が伸びて増収。
国内の値上げや高単価車の比率上昇で採算改善。

一方で、
ハイブリッド車(HV)、電気自動車(EV)や
開発費負担が重くコスト増加。

小型車に対応したHV新型エンジンを開発し
エンジンの小型化と燃費性能の向上を両立へ。
EV駆動装置も内製化する方針です。

レンタカー事業は、
スズキレンタカーを展開。

2019年に、
トヨタ自動車株式会社と資本提携しています。


5位 マツダ株式会社
増収増益:売上4兆8276億6200万円/24年3月期


アメリカでSUV販売を伸ばしながら
高価格帯へシフト。出荷台数の増加で増収。

為替の円安によるプラスはありましたが、
アメリカ金利高とディーラーへの奨励金負担で相殺。

25年3月期は円高に振れる予想のため、
為替レートを考慮しない外貨ベースで計算する
外貨建て資産は、評価損としています。

中国の長安汽車と共同開発した
EV・PHV「EZ-6」を24年9月に量産開始。
電動化で先行する中国市場に対応しています。

かつてマツダ株式会社が株式保有していた
株式会社マツダレンタカーは、

2009年、カーシェアリング事業に参入した
パーク24株式会社が最終的に株式を取得したことで

2011年、株式会社マツダレンタカーは
タイムズモビリティネットワークス株式会社に社名変更

2013年、マツダレンタカーは
タイムズカーレンタルにブランド変更された。

グループ会社の
マツダオートリース株式会社は、
個人、法人向けの自動車リースを行っています。

2017年に、
トヨタ自動車株式会社と資本提携しています。


6位 株式会社SUBARU
増収増益:売上4兆7029億4700万円/24年3月期

自動車、重機などを製造する重工業の企業。
2020年からトヨタ自動車株式会社の持分法適用会社。

販売台数が日本やアメリカで伸びたため、
ヨーロッパの減少を補っています。

想定為替レートを1ドル=142円と
24年3月期に比べて円高設定のため利益が減り、
研究開発費、販売費も増えているため、
25年3月期は減益傾向。

資本関係のある国内販売会社を
現状の33社から10社に集約する予定。
サービスの水準や経営効率の向上を目指しています。

円安の影響で販売台数が伸びて増収していますが、
主戦場のアメリカでは競争が激化。

高いブランド力の維持を優先し、
値引き合戦に負けて販売台数落としています。

販売店に支払う奨励金や
研究開発費が増加し、営業段階から減益。

主力車種「フォレスター」のハイブリッド車(HV)を
2025年半ばにアメリカで販売予定。

先行販売した全面改良車を
日本国内でも2025年以降に販売する見通しです。


7位 いすゞ自動車株式会社
増収増益:売上3兆3866億7600万円/24年3月期

ピックアップトラックの販売不振が
主力市場のタイで長期化。
トラックの販売もアメリカで低迷。

部品調達コストが期初の想定を上回り上昇。
利益を押し下げています。

普通免許で運転できるディーゼルエンジンの
小型トラックを2024年7月に新しく発売。

運転手が不足する「2024問題」に対応。
2024年1月に発売した電気自動車(EV)と合わせて
年5000台の販売を目指しています。


8位 三菱自動車工業株式会社
増収減益:売上2兆7895億8900万円/24年3月期


世界販売台数は前期比1割増の89万台。
インフレや高金利で景気が減速していた
主力市場のタイ・インドネシアが下期から回復増収。

一方で、競合との販売競争が激化。
ディーラーに支払う奨励金負担が北米などで増加。

米中勢が先行する電動化や、
ソフト開発の加速とコスト削減を計画しています。

2024年7月、
本田技研工業株式会社と日産自動車の連合への
合流を発表したことで
世界販売800万台規模の連合が形成されました。


9位 ヤマハ発動機株式会社
増収減益:売上2兆4147億5900万円/23年12月期


2024年12月期は、船外機の需要低迷、
自転車産業の在庫削減コストにより
下方修正しておりますが、

ブラジルやインドなどの新興国で
二輪車の高価格モデルの販売が伸び、
増収増益の見通しです。

イギリスのスポーツ車メーカー「ケータハム」に
電気自動車(EV)向けの基幹部品イーアクスルを供給。

2025年までの試作車完成に向けて、
小型軽量化した高出力部品の生産技術を磨く。

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【経営の基礎知識】これさえ分かれば大丈夫!

[ 損益計算書(PL) ]

売上高(客数 × 客単価)
−原価   :仕入など製造原価、人件費など売上原価
−販売管理費:営業活動費、物流、広告、水光熱など
=営業利益

−営業外損益:銀行利息、為替損益、株式損益など
=経常利益

−特別損益 :突発的な損益、固定資産の売却など
−税金   :法人税、法人住民税、消費税など
=当期純利益

営業利益率(=営業利益 ÷ 売上)
5%〜10%で優良な経営状況といえます。


年間の経営活動で得た当期純利益を
利益余剰金として自己資本(純資産)に加える。

ちなみに、自己資本(純資産)と、
銀行などから借りた他人資本を合わせた
「総資産」が会社のお財布になります。

自己資本比率(=自己資本 ÷ 総資産)
少なくても30%、50%以上で優良な経営
状況。

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[ 貸借対照表(BS) ]

ROE(=当期純利益 ÷ 自己資本)
自己資本(純資産)は、返済不要な資産、
ROEは、自己資本利益率の略になります。
10%以上で投資価値があると判断されます。


ROA(=当期純利益 ÷ 総資産)
総資産は、自己資本(純資産)+他人資本(負債)、
ROAは、総資産利益率の略になります。
5%以上で投資価値があると判断されます。

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