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製品の原材料となるプラスチック等は石炭・石油から生まれる。耐久性、耐熱性樹脂など『化学・化成品』*日本経済68業界

日経平均株価(225銘柄)で登場する
合計68業界の動向を紹介します。

素材の『化学・化成品』

化学・化成品は、
石油、石炭、天然ガスを原料とする物、
製造過程で化学的処理がされた物を指し、

例えば、石油化学工業の
合成繊維や合成樹脂(プラスチック)等が該当します。

▼業界動向
2014年→2022年    成長
2023年                  下落

▼業界平均
・売上高   :4809億円
・営業利益率 :5.74%
・自己資本比率:48.42%
・ROE          :7.73%
・ROA          :4.98%

※用語の詳しい説明は文章下段の
 【経営の基礎知識】から確認できます。

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1位 ENEOSホールディングス株式会社
減収増益:売上13兆8566億6200万円/24年3月期


2010年、新日本石油株式会社と
新日鉱ホールディングス株式会社の
共同株式移転でJXホールディングス株式会社を発足。
2020年、ENEOSホールディングス株式会社に変更。

ガソリンスタンドを展開するENEOSは、
2023年4月時点での店舗数は1万2199店。

全国ガソリンスタンドチェーンの
合計2万3984店に対して約50%を占めており、
ガソリンスタンド業界での店舗数は圧倒的1位。

近年では「脱炭素」の取り組みが進み、
ガソリンスタンドの店舗数は徐々に減少しています。

主力事業である化石燃料(石油/石炭/天然ガス)の
開発・精製・販売などエネルギー開発では、
利幅は堅調に推移していますが、

備蓄石油の在庫評価益が
24年3月期は717億円あったところ
25年3月期はゼロになる見通しで減益予測。 

企業向け専門サービスとしては、
廃油などの産業破棄物処理を行っています。

25年3月期は過去最大2000億円超えの
自社株買いを実施する予定で、
自社株を除く発行済み株式の22.68%に相当。
(市場に出回る株式を減らして株価を上げる想定)

また、金属事業にも力を入れており、
新日鉱ホールディングス株式会社の流れを汲む
JX金属株式会社は、半導体などの材料となる
銅やレアメタルなどの非鉄金属の製造・販売から
資源開発、製錬、金属リサイクル、卸売まで
グローバルに展開する非鉄金属企業です。

なお、銅などは製錬(熱エネルギー等を利用して
鉱石等の原料から取り出す工程)により製造されます。

ENEOSホールディングスが取り扱う化学品には、
石油精製及びナフサ分解の留分で、
プラスチックや繊維などの原料となる
エチレン、プロピレンなどの「基礎化学品」と

耐熱性、光学特性、剛性などの機能がある
石化誘導品、不織布、光学フィルム、
炭素繊維などの「機能化学品」があります。


2位 株式会社日立製作所
減収減益:売上9兆7287億1600万円/24年3月


送配電網や鉄道など社会インフラ事業における
豊富な受注残が業績に貢献しています。

冷蔵庫や掃除機などの生活家電をはじめ
調理家電や空調家電、コンピュータ製品など

電機メーカーとして高い知名度を誇ってきましたが
事業範囲は幅広く、デジタルによる持続可能な
社会実現を目指して、IT分野として
金融・社会システムなどの事業を展開しています。

実績としては、
工場インフラをシェアできるスマート工場や、
タッチレス化に対応する空中入力装置の開発など、
数多くのプロジェクトを手掛けています。

デジタルトランスフォーメーション(DX)推進支援など
情報技術(IT)分野の収益増も寄与して最終増益。

ちなみに、DXの技術として代表的なものは、
「IoT」「AI」「ビッグデータ」「クラウド」
「ICT(情報通信技術)」「RPA(自動化)」
「XR(仮想世界の知覚技術)」の7つです。

25年3月期は1兆円の投資枠を設定。
生成AI(人工知能)に3000億円、製造分野のDXや
グリーントランスフォーメーション(GX)に2000億円、
社会インフラ関連サービスに2000億円、
機動的なM&A(合併・買収)に3000億円。

日立製作所のグループで自動車部品を行っていた
日立オートモティブシステムズ株式会社が、

Honda系の株式会社ケーヒン、
株式会社ショーワ、日信工業株式会社を統合して
2021年1月に日立Astemo株式会社に社名変更。

2023年10月、
株式会社日立製作所は、日立Astemo株式会社の
出資比率を66.6%から40%に引き下げるとともに、
連結子会社から外して持ち分法適用会社にしました。
日立Astemo株式会社の業績が計上されないため減収。

代わりに、本田技研工業株式会社(Honda)が
日立Astemo株式会社の
出資比率を33.4%から40%に引き上げています。

取り扱う化学品には、家電製品の原材料となる
合成樹脂(プラスチック)などがあります。


3位 日本製鉄株式会社
増収減益:売上8兆8680億9700万円/24年3月期


高炉製鉄を主力事業として
特殊鋼/合金鋼/ステンレス/鋳鍛鋼の製造、
圧延加工(管/板/棒)など
鉄を中心とした金属製品を取り扱っています。

中国景気の悪化で鋼材の国際市況が低迷する中、
国内においても資材費高騰や人手不足の影響があり
建築向けを中心とした鉄鋼需要が伸び悩みました。

人件費や減価償却費などのコスト増加もあり減益。

23年12月、
アメリカ鉄鋼大手USスチールの買収を発表。
24年7-12月、約2兆円で買収完了見込み。

反対する全米鉄鋼労働組合(USW)や
アメリカ議員らの説得を続けています。

グループ企業の日鉄ソリューションズ株式会社は
製鉄業で培った日本製鉄の豊富な経験と
高度なIT力を活かしたソリューションを提案。

アメリカ、イギリス、中国、シンガポール、
タイ、インドネシアの6カ国の海外拠点とともに、
お客様のグローバルな競争力強化を支援しています。

早くからクラウド・コンピューティングに取り組み、
北九州市にサービス拠点を開設し東西二拠点化を実現。
より安全な運用と最新鋭のデータセンターや
クラウドを含めてお客様に最適な基盤を提供する
「NSFITOSセンター」を開設。

IoT・AI・5G・ビッグデータ・5G等のITを活用し、
お客様のDX実現を支援するために以下設立。

・2016年4月「IoXソリューション事業推進部」
・2017年10月「AI研究開発センター」
・2020年4月「エンタープライズ5G事業推進部」
 「DX&イノベーションセンター(DXIC)」
・2021年4月には「デジタル製造業センター」

※「IoX」=IoT(Internet of Things)、
 IoH(Internet of Humans)を含むソリューション

日本製鉄グループの化学メーカー
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社では、

コールタールやコークス炉ガスなどを
主原料とする石炭化学と、
ナフサや分解ガソリン、改質油などを
主原料とする石油化学を融合し、
基礎化学品を生産しています。

ベンゼン、トルエンなどの芳香族化学品、
スチレンモノマー、農薬原料、特殊溶剤など、
独自の製造プロセスと原料構成で
安定したコストパフォーマンスを誇っています。


4位 出光興産株式会社
減収減益:売上8兆7192億100万円/24年3月期


2019年、出光興業産株式会社が
昭和シェル株式会社を買収し、
2021年に新ブランドapollostationの展開を開始。

出光と昭和シェルの店舗を足した
ガソリンスタンド店舗数は
6127店で業界2位(シェア約25%)、
1位のENEOSは1万2199店(シェア約50%)
3位のコスモ石油株式会社は2627店(シェア約10%)

オーストラリアで石炭鉱山の開発規模を減らし
利益縮小。石炭価格の下落も重なり減益。

脱炭素に向けて4つの分野に注力。
環境負荷を抑えたブルーアンモニア、
合成メタノール、SAF(再生航空燃料)、
全固体電池向けの素材に投資を進めています。

取り扱う化学品では、
高透明、高耐久、高耐熱などの特徴を持つ
エンジニアリングプラスチックの製造を手掛け、
自動車・家電製品・光学など幅広いニーズに対応。

また、塗料などに利用される溶剤、
紙おむつなど衛生材の接着部などに使われる
粘接着基材などの機能製品を扱っています。

5位 パナソニックホールディングス株式会社
増収増益:売上8兆4964億2000万円/24年3月期


松下幸之助が1918年に
松下電器産業株式会社として創業。

「より良いくらしと持続可能な地球環境を
両立するために、カーボンニュートラルと
サーキュラーエコノミーの実現に挑み、
様々なインパクトを拡げていきます。」

主力の総合電機事業における各種機器の製造と、
住宅関連の資材販売を行なっています。

・通信機器/スマートフォン/PC
・防犯/防災機器
・家庭用調理家電
・エアコンなど空調機器
・テレビ/照明
・自動車部品(ライト/電装品)/カーナビ
・電動機(モーター)
・油圧/空圧機器/溶接機械
・半導体/電子部品/液晶製造装置
・電池/太陽電池
・住宅の建設資材(床材/内装材)
・住宅設備(システムキッチン/システムバス)

海外における家庭用エアコンや
電動機など電気設備資材の販売が堅調な好調な一方、 

投資分野のEV電池やヒートポンプ暖房は
市況の悪化で伸び悩みましたが、全社的に増収。

液晶関連の子会社解散に伴い
24年3月期は法人税などの税金費用が減ったため、
反動で25年3月期は減益の見通しです。

また、車載機器を手掛けている
パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社の
株式をアメリカ投資ファンドに売却しましたが

簿価(帳簿価額/純額)を下回る譲渡価格となったため
25年3月期以降に約500億円の損失計上を予定。

グループのパナソニックインダストリー株式会社が
家電製品に必要なプラスチックや機能フィルム、
電子回路、半導体などの材料を取り扱っています。

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【経営の基礎知識】これさえ分かれば大丈夫!

[ 損益計算書(PL) ]

売上高(客数 × 客単価)
−原価   :仕入など製造原価、人件費など売上原価
−販売管理費:営業活動費、物流、広告、水光熱など
=営業利益

−営業外損益:銀行利息、為替損益、株式損益など
=経常利益

−特別損益 :突発的な損益、固定資産の売却など
−税金   :法人税、法人住民税、消費税など
=当期純利益

営業利益率(=営業利益 ÷ 売上)
5%〜10%で優良な経営状況といえます。


年間の経営活動で得た当期純利益を
利益余剰金として自己資本(純資産)に加える。

ちなみに、自己資本(純資産)と、
銀行などから借りた他人資本を合わせた
「総資産」が会社のお財布になります。

自己資本比率(=自己資本 ÷ 総資産)
少なくても30%、50%以上で優良な経営状況。


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[ 貸借対照表(BS) ]

ROE(=当期純利益 ÷ 自己資本)
自己資本(純資産)は、返済不要な資産、
ROEは、自己資本利益率の略になります。
10%以上で投資価値があると判断されます。


ROA(=当期純利益 ÷ 総資産)
総資産は、自己資本(純資産)+他人資本(負債)、
ROAは、総資産利益率の略になります。
5%以上で投資価値があると判断されます。

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