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AIなどデジタル技術を活用する『システム・ソフトウェア』*日本経済68業界
日経平均株価(225銘柄)で登場する
合計68業界の動向を紹介します。
情報・通信・広告の『システム・ソフトウェア』
▼業界動向
2014年→2023年 微増
▼業界平均
・売上高 :1395億円
・営業利益率 :8.84%
・自己資本比率:36.43%
・ROE :9.04%
・ROA :4.34%
※用語の詳しい説明は文章下段の
【経営の基礎知識】から確認できます。
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1位 NTTグループ
増収減益:売上13兆3745億6900万円/24年3月期
NTTは、
NIPPON TELEGRAPH AND TELEPHONEの略。
1985年、日本電信電話公社から民営化しました。
NTTグループの主要5社
・株式会社NTTドコモ(移動通信)
・東日本電信電話株式会社(固定電話など地域通信)
・西日本電信電話株式会社(固定電話など地域通信)
・NTTコミュニケーションズ株式会社(国際通信)
・株式会社NTTデータ(システムインテグレーター)
システムインテグレーターは、
SIer(エスアイヤー)と呼ばれ、
企業へのシステム導入に向けた
企画提案・設計・組立などを行うIT事業です。
データセンターなど海外ITサービスも好調。
地域通信事業は固定電話の需要減に加え、
老朽化した設備の入れ替えもありコスト増加で減益。
天気予報サービス「177」を25年3月終了。
電話番号案内サービス「104」と
紙の電話帳「タウンページ」発行は26年3月終了。
需要低迷が続く旧来型サービスを見直しています。
24年1月からの新NISAによる
株式分割を機に個人株主が増加しました。
(24年6月時点226万人と23年3月の2.5倍)
2位 株式会社日立製作所
減収減益:売上9兆7287億1600万円/24年3月期
送配電網や鉄道など社会インフラ事業における
豊富な受注残が業績に貢献しています。
冷蔵庫や掃除機などの生活家電をはじめ
調理家電や空調家電、コンピュータ製品など
電機メーカーとして高い知名度を誇ってきましたが
事業範囲は幅広く、デジタルによる持続可能な
社会実現を目指して、IT分野として
金融・社会システムなどの事業を展開しています。
実績としては、
工場インフラをシェアできるスマート工場や、
タッチレス化に対応する空中入力装置の開発など、
数多くのプロジェクトを手掛けています。
デジタルトランスフォーメーション(DX)推進支援など
情報技術(IT)分野の収益増も寄与して最終増益。
ちなみに、DXの技術として代表的なものは、
「IoT」「AI」「ビッグデータ」「クラウド」
「ICT(情報通信技術)」「RPA(自動化)」
「XR(仮想世界の知覚技術)」の7つです。
25年3月期は1兆円の投資枠を設定。
生成AI(人工知能)に3000億円、製造分野のDXや
グリーントランスフォーメーション(GX)に2000億円、
社会インフラ関連サービスに2000億円、
機動的なM&A(合併・買収)に3000億円。
日立製作所のグループで自動車部品を行っていた
日立オートモティブシステムズ株式会社が、
Honda系の株式会社ケーヒン、
株式会社ショーワ、日信工業株式会社を統合して
2021年1月に日立Astemo株式会社に社名変更。
2023年10月、
株式会社日立製作所は、日立Astemo株式会社の
出資比率を66.6%から40%に引き下げるとともに、
連結子会社から外して持ち分法適用会社にしました。
日立Astemo株式会社の業績が計上されないため減収。
代わりに、本田技研工業株式会社(Honda)が
日立Astemo株式会社の
出資比率を33.4%から40%に引き上げています。
3位 日本製鉄株式会社
増収減益:売上8兆8680億9700万円/24年3月期
高炉製鉄を主力事業として
特殊鋼/合金鋼/ステンレス/鋳鍛鋼の製造、
圧延加工(管/板/棒)など
鉄を中心とした金属製品を取り扱っています。
中国景気の悪化で鋼材の国際市況が低迷する中、
国内においても資材費高騰や人手不足の影響があり
建築向けを中心とした鉄鋼需要が伸び悩みました。
人件費や減価償却費などのコスト増加もあり減益。
23年12月、
アメリカ鉄鋼大手USスチールの買収を発表。
24年7-12月、約2兆円で買収完了見込み。
反対する全米鉄鋼労働組合(USW)や
アメリカ議員らの説得を続けています。
グループ企業の日鉄ソリューションズ株式会社は
製鉄業で培った日本製鉄の豊富な経験と
高度なIT力を活かしたソリューションを提案。
アメリカ、イギリス、中国、シンガポール、
タイ、インドネシアの6カ国の海外拠点とともに、
お客様のグローバルな競争力強化を支援しています。
早くからクラウド・コンピューティングに取り組み、
北九州市にサービス拠点を開設し東西二拠点化を実現。
より安全な運用と最新鋭のデータセンターや
クラウドを含めてお客様に最適な基盤を提供する
「NSFITOSセンター」を開設。
IoT・AI・5G・ビッグデータ・5G等のITを活用し、
お客様のDX実現を支援するために以下設立。
・2016年4月「IoXソリューション事業推進部」
・2017年10月「AI研究開発センター」
・2020年4月「エンタープライズ5G事業推進部」
「DX&イノベーションセンター(DXIC)」
・2021年4月には「デジタル製造業センター」
※「IoX」=IoT(Internet of Things)、
IoH(Internet of Humans)を含むソリューション
4位 ソフトバンクグループ株式会社
増収増益:売上6兆7565億円/24年3月期
主力事業の携帯電話、固定電話などの
モバイル通信サービスでは、
2015年にワイモバイル株式会社を買収。
第99代内閣総理大臣菅義偉が
2021年4月以後から実施した
官製(政策)値下げの影響が一巡し法人事業も好調。
成長領域のPayPayなどを含む
ファイナンス事業も黒字の見通しです。
25年3月期の連結最終損益は、
4期ぶりに黒字転換する見通し。
ビジョン・ファンド事業の投資損益は
株高の影響で改善する見込みです。
傘下のイギリス半導体設計アーム社を中心に、
時価純資産(株式価値−純有利子負債(≒他人資本))の
拡大が続いています。
また、ソフトバンクグループが主導により、
アメリカの半導体メーカー
「エヌビディア社」が新規投資家として、
イギリス新興の自動運転技術会社
「ウェイブ・テクノロジーズ社」への
10億5000万ドルの資金調達を実施。
既存投資家のマイクロソフト社も
追加で資金調達を実施しました。
また、生成AIの開発に必要な計算基盤の整備に
1500億円を追加投資、
計算能力を現状の37倍と国内トップ級に増強。
世界の最先端モデルと
同水準の生成AI開発を進めています。
5位 KDDI株式会社
増収増益:売上5兆7540億4700万円/24年3月期
主力事業の携帯電話、固定電話などの
モバイル通信サービスは5G推進で通信料収入増加。
金融やデジタルトランスフォーメーション(DX)
支援といった非通信事業も好調です。
通信事業を軸として人と人、モノとモノを繋ぎ、
デジタルトランスフォーメーションを通じて、
次世代のビジネスや生活の発展を目指しています。
多様なケイパビリティ(組織的能力)を活かし、
働き方改革や業務の生産性向上を支援する
「コーポレートDX」
デジタルの力で経営課題や社会課題を解決する
「ビジネスDX」
さらにこれらを円滑に進めるための
「事業基盤サービス」 (データセンター・
コンタクトセンターなど) に取り組み、
お客様のビジネスをサポートしています。
TOB(株式公開買い付け)が成立した
ローソン事業も寄与し全体で増収増益。
株主への年間配当は5円増の145円へ。
運営に参画する共通ポイント
「Ponta(ポンタ)」をテコ入れ、経済圏を強化。
月額制の会員サービス
「auスマートパスプレミアム」との連携も構想。
6位 三菱電機株式会社
増収増益:売上5兆2579億1400万円/24年3月期
主力事業の空調・家電や
エレベーターやエスカレーターをはじめ、
鉄道車両・人工衛星などのインフラまで
幅広い電気製品を提供している会社です。
欧州における脱炭素化に向けた
再生エネルギー関連の
補助金政策変更などの影響で
ヒートポンプ暖房など
空調事業全体が伸び悩んでいますが、
業務用空調が好調となっており増収。
ファクトリーオートメーション
(工場の生産工程自動化)事業では、
材料高を受けて制御機器など主要製品を値上げし、
採算改善。純利益は2期連続の過去最高を更新へ。
自動車機器事業で、
自動車部品メーカーのアイシン精機株式会社
(トヨタグループ/現・株式会社アイシン)
電気自動車(EV)向け製品の新会社設立を合意。
物流子会社の三菱ロジスティックス株式会社を
セイノーホールディングス株式会社に
株式売却を決めるなど、事業構造改革を迅速化。
ネットワークセキュリティなど
システムインテグレーターの事業も行っています。
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【経営の基礎知識】これさえ分かれば大丈夫!
[ 損益計算書(PL) ]
売上高(客数 × 客単価)
−原価 :仕入など製造原価、人件費など売上原価
−販売管理費:営業活動費、物流、広告、水光熱など
=営業利益
−営業外損益:銀行利息、為替損益、株式損益など
=経常利益
−特別損益 :突発的な損益、固定資産の売却など
−税金 :法人税、法人住民税、消費税など
=当期純利益
営業利益率(=営業利益 ÷ 売上)
5%〜10%で優良な経営状況といえます。
年間の経営活動で得た当期純利益を
利益余剰金として自己資本(純資産)に加える。
ちなみに、自己資本(純資産)と、
銀行などから借りた他人資本を合わせた
「総資産」が会社のお財布になります。
自己資本比率(=自己資本 ÷ 総資産)
少なくても30%、50%以上で優良な経営状況。
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[ 貸借対照表(BS) ]
ROE(=当期純利益 ÷ 自己資本)
自己資本(純資産)は、返済不要な資産、
ROEは、自己資本利益率の略になります。
10%以上で投資価値があると判断されます。
ROA(=当期純利益 ÷ 総資産)
総資産は、自己資本(純資産)+他人資本(負債)、
ROAは、総資産利益率の略になります。
5%以上で投資価値があると判断されます。