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業務用は回復基調『飲料・たばこ・嗜好品』*日本経済68業界

日経平均株価(225銘柄)で登場する
合計68業界の動向を紹介します。

食品の『飲料・たばこ・嗜好品』

国内大手ビール4社は
サントリー、アサヒ、キリン、サッポロ

▼業界動向
2014年→2019年    成長
2020年→2023年    下落

▼業界平均
・売上高   :6393億円
・営業利益率 :9.02%
・自己資本比率:51.44%
・ROE          :8.61%
・ROA          :6.20%

※用語の詳しい説明は文章下段の
 【経営の基礎知識】から確認できます。

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1位 サントリーホールディングス株式会社
増収増益:売上3兆2851億1000万円/23年12月期


1899年、大阪市で鳥井信治郎(1879-1962)が
葡萄酒の製造販売を目的とした鳥井商店を創業。
1963年、サントリー株式会社に社名変更。

ウイスキーなどスピリッツ事業、ビール事業、
ワイン事業、清涼飲料水事業、健康食品化粧品事業、
外食事業(パパミラノ、プロント、ハーゲンダッツ等)
など各企業を束ねる持株会社。

事業の主要な部分はアルコール飲料ですが
1980年代以降ほ清涼飲料水も主力商品。

2005年、アメリカのスターバックス社と提携し、
コンビニエンスストア販売用チルドカップコーヒー
「スターバックス・ディスカバリーズ」を発売。

グループの清涼飲料事業を行う
サントリー食品インターナショナル株式会社は
10月から値上げした「サントリー天然水」も好調。


2位 日本たばこ産業株式会社(JT)
増収増益:売上2兆8410億7700万円/23年12月期


たばこ事業が中心の会社ですが、
医薬品事業や加工食品事業も展開しています。

冷食・常温事業は
グループのテーブルマーク株式会社を中心に、
冷凍うどん、冷凍お好み焼、パックごはんなど
画期的な製法で製品を提供。

調味料事業は、
グループの富士食品工業株式会社を中心に、
本格的な調味香の調味料や酵母エキスなど
独自技術による製品を外食、加工食品業に届け、
アメリカ、アジアにも拠点を持ち展開しています。

24年12月期は、
たばこの販売数量が増えて増収。
海外で紙巻きたばこの値上げが浸透しましたが

円相場上昇(円高)による外貨建て借入金の
為替差損を計上して、減益になっています。

24年10月に米たばこ4位で
紙巻きたばこ専業のベクター・グループを買収。
(約3780億円で全株式を取得し完全子会社化)

紙巻きの事業拡大で原資を稼ぎ、
世界で普及が進む加熱式に投資を進めています。


3位 アサヒグループホールディングス株式会社
増収増益:売上2兆7690億9100万円/23年12月期


アサヒビール株式会社、アサヒ飲料株式会社、
アサヒグループ食品株式会社を傘下に持つ持株会社。

浅草の隅田川沿いにある本社ビルは
東京の新たなランドマークになっています。

1989年、有限責任大阪麦酒会社を設立。
1949年、朝日麦酒株式会社に社名変更。

村井勉社長(住友銀行時代の上司)に招かれて
1986年、樋口廣太郎が社長に就任
1987年、アサヒスーパードライが大ヒット。

2004年、沖縄県のビールメーカー
オリオンビール株式会社と包括的業務提携。

2011年、株式移転に伴い持株会社の
アサヒグループホールディングス株式会社を設立。

ヨーロッパで消費が回復し、
高価格帯商品が伸びて増益。

国内では2024年4月から酒類を対象に値上げ。
材料コスト増加を吸収し増益。

25年12月期は
オーストラリアの消費回復が遅れる見込みですが
ヨーロッパや国内でカバーする見立てです。

25年12月期以降の中期経営計画を
25年2月にも発表する見込みで
成長戦略に加えて株主還元策にも言及予定。


4位 キリンホールディングス株式会社
増収増益:売上2兆1343億9300万円/23年12月期


1907年、麒麟麦酒株式会社を設立。

1976年、三菱グループの小岩井農牧社と
共同出資で小岩井乳業株式会社を設立。

2007年、
キリンホールディングス株式会社に社名変更し、
持株移行への準備会社を麒麟麦酒株式会社に変更。

2024年、
株式会社ファンケルへの株式公開買付け(TOB)を経て
発行済み株式の約75%を取得して子会社化。
25年12月期は完全子会社化を予定。
ファンケルの株式段階取得の差損を計上して減益。

ファンケルの利益が全体を押し上げ、
北米での飲料事業や健康関連事業が好調ですが

ファンケルは小林製薬の紅麹問題の影響を受けて
サプリの販売不振で業績悪化。

小林製薬が供給先52社を明らかにしていないため
消費者にも不安が広がっており、ファンケルは
小林製薬の紅麹を使用していないことを公表。


5位 大塚ホールディングス株式会社
増収減益:売上2兆185億6800万円/23年12月期


1921年、徳島県鳴門市で大塚製薬工場が創業。

1953年、オロナイン軟膏を発売。
1964年、大塚製薬工場から四国以外の
販売部門を分社化して大塚製薬株式会社を設立。

1963年に設立された大鵬薬品工業株式会社で
1964年に栄養ドリンク剤「チオビタドリンク」発売

1965年、オロナミンCドリンクを発売。
1980年、ポカリスエットを発売。
2005年、OS-1を全国発売。

2008年、大塚製薬が株式移転を行い、
大塚ホールディングス株式会社を設立し
大塚製薬株式会社、株式会社大塚製薬工場、
大鵬薬品工業株式会社の持株会社となります。

抗精神病薬「レキサルティ」
抗がん剤「ロンサーフ」など医療用医薬品が好調。


6位 味の素株式会社
増収減益:売上1兆4392億3100万円/24年3月期


1907年に合資会社鈴木製薬所を設立し
1909年「味の素」の一般発売開始。

1943年、大日本化学工業株式会社に社名変更。
1946年、味の素株式会社に社名変更。

1958年、全額出資により、日本コンソメ株式会社
(現・クノール食品株式会社)を設立。

1960年代からはヒット商品を連発。
調味塩「アジシオ」、複合調味料「ハイミー」
マーガリン「マリーナ」、和風調味料「ほんだし」
中華合わせ調味料「Cook Do」、「中華あじ」
栄養剤「アルギンZ」、「アミノバイタル」を発売

アメリカのケロッグ社の提携で
「ケロッグコーンフレーク」も発売。

1990年、カルピス食品工業株式会社
(現・カルピス株式会社)が味の素グループ入り。

製造販売するL-グルタミン酸ナトリウムを
主成分とする「うま味調味料」は登録商標。

コーポレートスローガンは
「おいしさ、そして、いのちへ。」
(Eat Well, Live Well)

主力の調味料や食品は、
値上げの浸透による単価上昇で増収。

2025年4月1日に1株を2株に分割する予定。
投資しやすい金額に下げ、投資家の拡大を図ります。

味の素の技術は半導体の電子材料にも採用。
パソコンなどの高性能半導体(CPU)で使われる
ABF(味の素ビルドアップフィルム)という
層間絶縁材は全世界の主要パソコンの
ほぼ100%のシェアを持っています。

グループ会社の味の素AGF株式会社は、
飲食料品の製造、販売を行う食品メーカー。
(2017年、味の素ゼネラルフーヅから社名変更)

ボトルコーヒー「ブレンディ」は
2022年にサントリーフーズ株式会社へ
製造・販売が移管されていますが、
それ以外の製品は製造・販売を継続しています。


7位 コカ・コーラボトラーズジャパン
   ホールディングス 株式会社

増収増益:売上8685億8100万円/23年12月期

2024年4月にリニューアルした「綾鷹」が好調。
国内販売量も微増し、増収増益。

25年12月期は
24年に実施した値上げの効果が継続する見通し。
猛暑や備蓄用の需要増も利益を押し上げています。

株式会社伊藤園と連携し、
24年8月から愛知県で商品の共同輸送を開始。
全国に広げることで物流の効率化を進めます。


8位 サッポロホールディングス株式会社
増収増益:売上5186億3200万円/23年12月期


サッポロビール株式会社、
ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社
株式会社サッポロライオンの持株会社。

1949年、日本麦酒株式会社として設立。
1964年、サッポロビール株式会社に社名変更。
2003年、株式移転に伴い
サッポロホールディングス株式会社に社名変更。

2012年、恵比寿ガーデンプレイス株式会社を
サッポロ不動産開発株式会社に社名変更。

新型コロナウイルスの影響が落ち着き、
国内の経済活動が正常化している中、
業務用は回復基調、家庭用は軟調(下落基調)。

カナダやアメリカは感染症対策が進み、
経済再開が進んでいますが、インフレの影響で
ビール総需要が前期を下回っています。

シンガポールでは価格改定効果も貢献し
売上金額が堅調に推移。前期比106%の伸び率。

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【経営の基礎知識】これさえ分かれば大丈夫!

[ 損益計算書(PL) ]

売上高(客数 × 客単価)
−原価   :仕入など製造原価、人件費など売上原価
−販売管理費:営業活動費、物流、広告、水光熱など
=営業利益

−営業外損益:銀行利息、為替損益、株式損益など
=経常利益

−特別損益 :突発的な損益、固定資産の売却など
−税金   :法人税、法人住民税、消費税など
=当期純利益

営業利益率(=営業利益 ÷ 売上)
5%〜10%で優良な経営状況といえます。


年間の経営活動で得た当期純利益を
利益余剰金として自己資本(純資産)に加える。

ちなみに、自己資本(純資産)と、
銀行などから借りた他人資本を合わせた
「総資産」が会社のお財布になります。

自己資本比率(=自己資本 ÷ 総資産)
少なくても30%、50%以上で優良な経営状況。


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[ 貸借対照表(BS) ]

ROE(=当期純利益 ÷ 自己資本)
自己資本(純資産)は、返済不要な資産、
ROEは、自己資本利益率の略になります。
10%以上で投資価値があると判断されます。


ROA(=当期純利益 ÷ 総資産)
総資産は、自己資本(純資産)+他人資本(負債)、
ROAは、総資産利益率の略になります。
5%以上で投資価値があると判断されます。

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