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テレビ広告収入の増加と事業買収『マスメディア』*日本経済68業界

日経平均株価(225銘柄)で登場する
合計68業界の動向を紹介します。

情報・通信・広告の『マスメディア』

▼業界動向
2014年→2020年    下落
2021年                  回復(2019年水準)
2022年→2023年    下落

▼業界平均
・売上高   :1319億円
・営業利益率 :7.60%
・自己資本比率:56.0%
・ROE          :8.04%
・ROA          :5.58%

※用語の詳しい説明は文章下段の
 【経営の基礎知識】から確認できます。

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1位 株式会社リクルートホールディングス
減収増益:売上3兆4164億9200万円/24年3月期

売上の自社内比率約50%を占める主力事業、
人材派遣サービス事業を営むリクルート。

株式会社リクルートスタッフィングなど、
日本、欧州、米国、豪州でサービスを提供しています。

元々リクルートは人材派遣業界では5位でしたが
2007年、当時売上が2倍以上で業界1位の
株式会社スタッフサービス・ホールディングスを
買収し、勢力図を大きく変えました。

近年では、売上の自社内比率約30%の
HRテクノロジー事業が好調で、

円高のピークだった2012年に、
アメリカのIndeed,inc.を1130億円で買収。
2013年にIndeed Japan株式会社を設立。

人材派遣の人件費や、雑誌などの物流費が
掛からないため利益率が高いサービスとして
利益の自社内比率は約60%を占めています。

マスメディア(出版)の機能としては、
人材領域のタウンワーク(フリーペーパー)、
ゼクシィなど販促領域の情報誌などの
マッチング&ソリューション事業を展開。
(売上の自社内比率は約20%)

・人材領域のタウンワーク/リクナビ/リクナビNEXT等
・販促領域のSUUMO/ゼクシィ/じゃらん、
 ホットペッパー/ホットペーパービューティー等
・経営支援SaaS領域のAirペイ/Airレジ/Airワーク等

2024年7月、
過去最大6000億円規模の自己株式の取得を発表。
投資余力や市場環境を踏まえ、資本効率を改善する。


2位 株式会社フジ・メディア・ホールディングス
増収減益:売上5664億4300万円/24年3月期

マスメディア(地上波)として
パリ五輪など大型イベントの広告収入効果を期待。
全体の広告収入を伸ばして増収。

投資有価証券の売却益があった
23年3月期の反動減があり
24年3月期は最終減益になりました。

子会社の株式会社グランビスタホテル&リゾートが
24年6月に神戸須磨シーワールドとホテルを開業。
25年3月期は営業増益の見通し。

株主への利益還元や株価上昇促進などを目的とした
自社株買いは24年3月期100億円でしたが
25年3月期は150億円を予定しています。


3位 日本テレビホールディングス株式会社
増収増益:売上4235億2300万円/24年3月期

地上波のテレビ広告は
タイム(番組提供CM)収入が減少しましたが
スポット(番組と番組の間のCM)収入が伸びています。

※日本民間放送連盟の放送基準では、
 1週間のCM総量は放送時間の
 18%以内でなければならない。

また、在京キー局・在阪準キー局などが出資する
『TVer』でネット同時配信に乗り出しており、
21年から日本テレビ、22年からフジテレビ、
TBS、テレビ朝日、テレビ東京が開始しました。

23年10月に株式会社スタジオジブリを
約100億円で子会社化し、通期で寄与して増収。

政策保有株式(取引先との関係維持を
目的として所持している株式)の縮減を進めて、
投資有価証券の売却益を計上したため最終増益。

23年放送のドラマ「セクシー田中さん」の
原作者が亡くなったことを受けて、
ドラマ制作の新たな指針を策定。

原則、放送1年前には原作者側と制作者側で
ドラマ化の企画について基本合意をする。


4位 株式会社ベネッセホールディングス
増収減益:売上4108億1500万円/24年3月期

一人ひとりの 「よく生きる」 を支える

3つの軸で事業を展開しています。
・主事業である 「国内教育」
・事業の第2の柱 「介護・保育」
・今後の利益成長を牽引する 「大学・社会人」

「国内教育」事業では、
マスメディア(出版)の機能として
通信教育の進研ゼミ、こどもちゃれんじを展開。

[進研ゼミ]
一人ひとりの成長段階・個別ニーズに合わせて、
デジタル教材と紙の教材をお届けしています。

[こどもちゃれんじ]
幼児期に学んでおきたい多彩なテーマを網羅し、
興味を持つ、自ら考えるきっかけを作ります。

大学入試模擬試験「進研模試」をはじめ
英語4技能検定「GTEC」など
学校向けの教育支援をしています。

学習塾の進研ゼミ個別指導教室、
予備校の東京個別指導学院、
子供向け英語教室のベネッセビースタジオなど運営。

「介護・保育」事業では、
有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅など
全国330施設以上を運営。

他に、居宅介護、訪問介護、デイサービス、
高齢者向け配食サービス「ベネッセのおうちごはん」
介護資格講座、介護・医療職の派遣事業を展開。

「ベネッセの保育園」65施設、
「ベネッセの学童クラブ」21施設、
自治体から受託している学童クラブも19施設運営。

「大学・社会人」 事業では、
大学や専門学校等に向けに、
広報支援サービスや留学支援サービス等を提供。

就職支援サービスにとどまらず、
スキルの可視化やラーニング等、
キャリア形成の支援に向けたサービスも展開。

さらに、世界中にユーザーを持つ
アメリカのオンライン動画学習プラットフォーム
「Udemy」の事業パートナーとして、
個人・法人・行政や大学などに展開しています。

今後の事業戦略として
既存コア事業の変革計画を実施しています。

『コア教育』
商品価値や顧客基盤強化、
ニーズ多様化に対応する営業手法の再設計
などROI(投資利益率)評価による精度向上

『コア介護』
エリア拡大、病院・ケアマネジャーとの関係構築、
体験ショートステイによる入居意欲の向上

5位 株式会社TBSホールディングス
増収減益:売上3943億900万円/24年3月期

放送収入が回復基調で、配信広告収入も堅調。

23年6月に買収した
株式会社やる気スイッチグループホールディングスが
24年3月期で寄与して増収・増益したものの、
投資有価証券の売却益の反動で最終減益。

ソニー株式会社の経営不振で2006年に独立した
株式会社スタイリングライフ・ホールディングスを
2008年から子会社化していましたが、

24年5月にグループ企業の
株式会社ライトアップショッピングクラブ
(衣料品小売)の全株式を株式会社朝日新聞社に譲渡。

企業が株主に対して還元を行なう指標となる
配当性向(配当金÷当期純利益)を
40%目安(相場は20-50%)とする方針です。

経済・金融分野のニュース配信において、
アメリカのブルームバーグと提携し報道強化。

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【経営の基礎知識】これさえ分かれば大丈夫!

[ 損益計算書(PL) ]

売上高(客数 × 客単価)
−原価   :仕入など製造原価、人件費など売上原価
−販売管理費:営業活動費、物流、広告、水光熱など
=営業利益

−営業外損益:銀行利息、為替損益、株式損益など
=経常利益

−特別損益 :突発的な損益、固定資産の売却など
−税金   :法人税、法人住民税、消費税など
=当期純利益

営業利益率(=営業利益 ÷ 売上)
5%〜10%で優良な経営状況といえます。


年間の経営活動で得た当期純利益を
利益余剰金として自己資本(純資産)に加える。

ちなみに、自己資本(純資産)と、
銀行などから借りた他人資本を合わせた
「総資産」が会社のお財布になります。

自己資本比率(=自己資本 ÷ 総資産)
少なくても30%、50%以上で優良な経営状況。


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[ 貸借対照表(BS) ]

ROE(=当期純利益 ÷ 自己資本)
自己資本(純資産)は、返済不要な資産、
ROEは、自己資本利益率の略になります。
10%以上で投資価値があると判断されます。


ROA(=当期純利益 ÷ 総資産)
総資産は、自己資本(純資産)+他人資本(負債)、
ROAは、総資産利益率の略になります。
5%以上で投資価値があると判断されます。

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