美術展鑑賞『エゴン・シーレ展』東京都美術館
東京都美術館で開催されていた『レオポルト美術館エゴン・シーレ展ウィーンが生んだ若き天才』を鑑賞した時のことを書いていきます!!
エゴン・シーレの作品は初めて観ますし、30年ぶりに50点が集結するとあって、「今見ないといつ見るの?」というノリで行ってきました。この展示には、クリムトの作品も観れるとあり、ワクワクしながら見にいきました!実際に見たことない画家の作品ってワクワクするんですよね〜!
結果、普段見ている風景画と違う新たな作品を多く観れ勉強になりました。
展示概要
●展示名:『レオポルト美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才』
●開催期間:2023年1月26日(木)〜4月9日(日)
●公式HP:https://www.egonschiele2023.jp/index.html#topics
●レオポルト美術館について
https://www.egonschiele2023.jp/museum.html
●展示構成
第1章 エゴン・シーレ ウィーンが生んだ若き天才
第2章 ウィーン1900 グスタフ・クリムトとリングシュトラーセ
第3章 ウィーン分離派の結成
第4章 クリムトとウィーンの風景画
第5章 コロマン・モーザー 万能の芸術家
第6章 リシャルト・ゲルストル 表現主義の先駆者
第7章 エゴン・シーレ アイデンティティーの探求
第8章 エゴン・シーレ 女性像
第9章 エゴン・シーレ 風景画
第10章オスカー・ココシュカ “野生の王“
第11章エゴン・シーレと新芸術集団の仲間たち
第12章ウィーンのサロン文化とパトロン
第13章エゴン・シーレ 裸体
第14章エゴン・シーレ 新たな表現、早すぎる死
ウィーン分離派
エゴン・シーレは、ウィーン分離派だそうです。ウィーン分離派については、美術検定の勉強でも出てきて言葉だけは知っていましたが、どうしてもイメージできなかったり、作風の違いとかがわからない状態でした。
しかし、今回の展示でウィーン分離派の様々な画家の絵を観てイメージがつき、勉強になりました。ウィーン分離派はクリムトを中心に1897年に結成された派閥です。装飾的な表現を特徴とし、幻想的なテーマや華やかさと不安を題材としています。本展示でも、様々なテーマを見ることができます。特に不安を題材としたものを多く見受けられました。
クリムトの影響
シーラが影響を受けたクリムトの絵やクリムトに認められたシーラの絵が展示されていました。絵を見ると背景にある四角い描き方などにクリムトの影響がでているのがわかりました。また、それ以外の自画像でも首の角度などクリムトに似た角度があり、発見するのが面白かったです。
シーラの絵は、普段描かないような角度から描かれる点が評価されているということが本に書かれていました。確かに、背中をエネルギッシュなのに、なぜか悲しく描かれてる絵や屈んでいる絵などをメインに描いており、今までにない着眼点で描かれているところが他の絵画展と違うと思いました。そういう視点で表現をしようとした考え方に魅了されるのかもしれません。
本展示の目玉である裸体
裸体の絵の展示は、薄暗い部屋に浮かばせることにより官能的に鑑賞できるよう工夫されていました。鑑賞者の想像力を掻き立てる造りになっています。
曲線や肉付き、素材の柔らかさ、なぜか赤い線などが入っている不思議さがまた艶やかさを出していて惹かれる展示群でした。
自画像を見て感じたこと
自画像を見ていてメインの自画像以外に第三者の手があるのに気づきました。
1つの絵だけでなく他の絵にも何枚か描いてあります。その手を抱くような感じで描かれているのです。自画像じゃない絵画にシーラ自身の背中ではないかと思う絵画も見つけました。
僕の推測ですが、シーラは何か助けや慈悲や愛などを求めていたのではないだろうかと思います。何か不安などと戦いながら救いを求めて絵を描いていたのかと思いました。
ウィーンは自我の探究ということが書いてあり自分と向き合うことで、そのように至ってもおかしくないのかなと思います。
展示でもシーラの言葉がありました。画家がどういう心境で描いたのか、何を考えてたのか理解するのに役に立ちました。そして、強い言葉に熱くなるものを感じました。
気になった3作品
No.14『ハイリゲンシュタットの聖ミヒャエル教会』(1902年)カール・モル
多色木版の作品で、木の影が建物に綺麗に版画されているところがなんとも言えず絶妙でした。ヴァロットンの版画を見た時は白と黒だけで表現されており、黒と白の表現が版画は凄いし、インパクトあるなーと思っていました。しかし、多色刷りで色も出ている版画も筆と同じで情景の色合いが出て綺麗だったなーと思い感動した作品でした。
No.30『シェーンブルン庭園風景』(1916年)グスタフ・クリムト均一でそのままうつした印象派のよう1番好きな絵
印象派モネのようなタッチで、印象派のように観たままの情景を描き、今にも動き出して次のシーンに移りそうな絵でした。
作品としては、本展示で1番好きな作品です。恐らく僕は人物より緑や青を使った風景画が好きなのだと思いました。クリムトといえば、金の輝かしい男女の絵『接吻 』ですが、風景画もとても素敵でした。
描かれた木々と水面に描かれた木々が均等に描かれており、並べられた木の間隔や高さが同じで感動しました。ポストカードがなくて本当に残念でした。
No.46『半裸の自画像』(1902ー1904年)リヒャルト・ゲル
解説を見るとよくわかるのですが、やり場の失った心は鑑賞者の背後を見て彷徨っているようです。人物の周りの青い色彩と渦のように描かれており、不安を明確に描き、客観的に心の中を描いているように思えました(説明しずらいです・・・)。
この絵画を見ていると今の私自身を映している鏡かと思いました。「何をしたいか」「今度どうなるのか」と悩んでいる自分自身のようです。だからこそこの作品に惹かれ、同時に不安になり共感しました。
ウィーン分離派は自我の探究ということを展示の章冒頭で書かれていましたが、まさにその通りだと思う作品でした。
いく前に見た公式ガイドブック
展示会に行く前には前提知識が欲しいので、公式ガイドブックを買います!