「給食完食指導」信奉者がなぜ多いのか?
担任の数だけ給食ルールは存在します。
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さて、今回はたまにSNSでも話題になる、完食指導について考えてみました。
学校の先生にはなぜか「給食完食指導」信奉者がかなりたくさんいます。
年配の先生だけでしょ?
思いきや、いえいえ若い先生にも結構いるんです。
どうしてそうなってしまうのでしょうか?
その理由について考えてみました。
教員は様々な法の下、仕事しています。
学校給食法もその1つです。
そのため、学校給食を実施している公立小学校の教員は、学校給食法の規定に基づいて、最低でも以下の二点には配慮し、給食指導が求められます。
1️⃣栄養バランスや衛生に配慮した給食の提供
2️⃣児童生徒の食育の推進
教員は、学校給食法の目的を理解した上で指導しなければなりません。
当たり前のことですが、勝手に自分の信条や独自の学級経営方針で給食指導をねじ曲げてはいけないのです。
ですが実際には、ほとんど自分のやりたいように指導しているというのが現状です。
どうしても独自の給食指導をしたいのであれば、自分で学校をつくるしかありません。
学校給食法にその目的として、
とあります。
ちょっとわかりにくい文章ですが、
つまり、
給食指導において先生がするべきことは、
食育の推進
です。
学校給食法の目的を実現するために
以下の目標が達成されるよう努めなければならないとされています。
(1)適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること。
(2)日常生活における食事について正しい理解を深め、健全な食生活を営むことができる判断力を培い、及び望ましい食習慣を養うこと。
(3)学校生活を豊かにし、明るい社交性及び協同の精神を養うこと。
(4)食生活が自然の恩恵の上に成り立つものであることについての理解を深め、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。
(5)食生活が食にかかわる人々の様々な活動に支えられていることについての理解を深め、勤労を重んずる態度を養うこと。
(6)我が国や各地域の優れた伝統的な食文化についての理解を深めること。
(7)食料の生産、流通及び消費について、正しい理解に導くこと。
具体的な目標が7つ掲げられています。
すべて読んでも、完食というワードはありません。
ではなぜ完食なるのか?
おそらく、この(4)を拡大解釈をしたためです。
ここから、
「命をムダにしてはいけない、残したらフードロスになる、環境にもよくない、だから全部食べなさい。」
完食指導(食管を空っぽにする)をすれば、食育が推進されると思っているのです。
論理の飛躍も甚だしいですよね。
実際に残菜はどうなるかというと、肥料や飼料になります。捨てられるわけではありません(自治体によっては違うかもしれませんが…)
完食指導は、学校給食法第4条に規定されている
「学校給食は、栄養バランスに配慮し、衛生的に行われなければならない」という規定に抵触する可能性も考えられます。
牛乳がたくさん余っていて、牛乳を1リットル(1パック200㎖×5)飲むなんて子どももいます。
栄養バランスなど全く配慮されていませんね。
食べ残しをさせないためといって、子どもたちに無理やり食べさせると、食に対する嫌悪感やトラウマを抱かせてしまう可能性があります。
そうならないよう、
食事=楽しい
給食=楽しみ
となるように指導し、食育を推進しなければならないと言えます。
ゴールは食育の推進であり、無理してでも残菜0にすることはではありません。
文部科学省は、2019年に「食に関する指導の手引」を改訂し、
「完食指導は、児童生徒の心身の健康に配慮し、無理のない指導を行うことが重要である」
と明記しています。
これを、完食指導を気をつければやっていいと捉えてしまう教員がいたら、もう対処のしようがありません。
地獄の給食になります。
これは、アレルギー事故をきっかけに、無理して食べさせたり、クラス全体の目標などにはしないようにという注意喚起です。
以上、給食指導って何を指導するの?
でした。
それではまた!