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ケアレスミスの謎:筆算で見える算数の落とし穴

はじめて読む方にもわかるよう、毎度おさらいしています。
しばし、おつきあいください。

算数障害には、次の4つの領域があると言われています。
①数処理(数字・数詞・具体物の対応)
②数概念(基数性と序数性)
③計算(暗算・筆算)
④推論(文章題)

算数障害といえば、この4つのうちのどれかの理解に著しい困難を示します。
前回は、③計算(暗算・筆算)のうちの暗算(九九)についてでした。
暗算ができるようになるには、
①5の合成分解
※合成とは→1と4で5
※分解とは→5は1と4

②10の合成分解
③和が20までの数のたし算、ひき算
上記3つができていないといけないことがわかりました。
この3つに加えて、九九もできていないと、3年生以降の学習に差し支えることもわかりました。
今回はいよいよ筆算。
和が20以上の数のたし算、ひき算の筆算です。
これは2年生の1学期に学習する内容です。

例えばこんな子がいたとします

2年生のAさん(男児)
テストや宿題の計算ドリルの問題で、よく間違いをします。
正解している問題もあるので、筆算の方法自体を理解していないわけではなさそうです。
ですが、ケアレスミスにしては間違いが多い。
この子はどうしてこうなってしまったのか?
①10の合成分解が定着していない。
②20までのたし算、ひき算の暗算が自動化できていない。
③マス目に字をかくときにはみだしてしまう。
④継次処理能力(順序を追ってタスクを実行する能力のこと)が低い
⑤ワーキングメモリー(情報を一時的に保持して操作する能力、いわゆる短期記憶力)が弱い
⑥不注意
⑦位取りを理解していない。
これらが1つないしは、複合的にからみあってしまったのだと考えられます。

では、どうしたらよいのか?
何ができないかによって、手立ては変わってきます。
①10の合成分解が定着していない。
②20までのたし算、ひき算の暗算が自動化できていない。
であれば、遡って復習をします。
つまり、1年生の復習をするんです。
いわゆる既習事項の振り返りです。
それでも理解できなかったら、さらに数概念、数処理と遡って指導していきます。

③マス目に字をかくときにはみだしてしまう。
であれば、マス目がその子にとって小さいかもしれません。
もう一回り大きなマス目のノートにしてみましょう。
それでも改善しないのであれば、空間認知能力に課題があるかもしれません。
また、不器用がゆえにはみ出してるかもしれないので、発達性協調運動障害の可能性もあります。

④継次処理能力(順序を追ってタスクを実行する能力のこと)が低い
であれば、筆算の手続き表を書いて、手続きを忘れたら見れるようにするとよいです。
ただ、たし算とひき算の筆算の手続きはそれほど複雑ではありません。
むしろ、繰り上がりや繰り下がりの数をどう処理するのかで困っている可能性のほうが高いです。
ですので、繰り上がりや繰り下がりの数を書く場所や書く欄を設けるなどするとよいです。

⑤ワーキングメモリー(情報を一時的に保持して操作する能力、いわゆる短期記憶力)が弱い
であれば、これは④の継次処理能力との関わりも強く、計算結果を覚えていられない可能性があるので、繰り上がりと繰り下がりの数を確実に書かせていくようにしましょう。

⑥不注意
であれば、その子が集中したときに筆算ができるか確認をし、できているなら、集中できる環境を常に用意して、やればできることを実感させていきましょう。
さらに、ノートに筆算を書かせときは、問題がや答えが見やすいように、必ずとなりは1マスあける、下は1行あけるようにしていきます。
問題を書くときに数字を書き間違える子もいます。そういう子にはあらかじめ問題を書いたプリントを用意しましょう。

⑦位取りを理解していない。
であれば、位取りの復習をし、筆算を書く時には必ずマス目を使用し、
位をそろえることを徹底させていきましょう。
繰り上がりの数と繰り下がりの数も確実に書かせていくとよいです。
以上、たし算・ひき算の筆算についてでした。

参考になる方がいたら幸いです。


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